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人生を懸けて磨き上げた会社に、新たな活路を。功績を誇りに変えて、社長としての幕引きを描く|Behind the Scene①PART1

こんにちは。M&Aアドバイザーのかきもとみさです。

今回は、今年夏にM&A成約を果たした売主社長へのインタビュー企画、第1弾!弊社HPに掲載した記事をnoteでも公開しちゃいます!

2022年8月に成約をした森塗装工業株式会社の森敬社長へ、M&Aについてお話をお聞きしました。

■取材協力:森塗装工業株式会社 代表取締役社長 森敬様
(取材執筆:代表 柿本美沙)

■プレスリリースはこちら:三和建設、森塗装工業の全株式取得(子会社化)

柿本:塗装の専門業者である森塗装工業。約60年に渡り事業展開できた要因や会社の強みをお聞きします。

「先義後利」で築いた一流企業との取引基盤。高い倫理観を持つ従業員たち

森塗装工業のメインのお客様である、西武鉄道グループやセゾングループなどのお客様の事業拡大についていけたおかげで事業基盤ができました。先代社長からは「誠実に、誠意をもってお客様に良い仕事をするということが、1番の営業なんだ」と教え込まれ、ずっと心掛けてきました。

社訓は「先義後利」、「共存共栄」、そして「誠意」。別に普段から「うちの社訓はこうだぞ」と口に出しながら従業員を育ててきたわけではありませんが、「義」を重んじてお客様に対応することで、結果的に利益は後からついてくる、という考え方を大事にしてきました。

「私以上に」と思うほど、従業員はしっかりとお客様に対応しようとする姿勢が強いです。口には出さないけど「そこまでやらなくても」と思うようなことも結構あります。だけど彼らは、強い責任感と、お客様に満足してもらいたい一心で取り組んでいるので、現場の職人への指示などは私以上に厳しく指示ができます。本当に良い従業員に育ててこられたなと実感しています。

柿本:M&Aを検討されたきっかけを教えてください。

世の中の変化に応じて会社の再起をかけるべく。三和建設の力を借りる英断へ

新型コロナのことを含め、世の中は大きく変わってきています。例えばネット通販の売上が増えると百貨店売上が右肩下がりになっていく。そういう中で、お客様も売上が上がらないと修繕費や設備投資もかけなくなる。店舗もどんどん閉店していく…。当社への仕事量も減ってきていました。

約30年間、自分なりに販路を広げたり、いろいろと試みていましたが、1年くらい前から「自分のやり方ではこの先は通用しなくなるな」と感じ始めて。第三者の力を借りてでも会社を変革していかない限り、会社は生き残っていけないと思うようになりました。

そんな中、M&Aのお相手を探し始めたわけですが、三和建設さんのHPを初めて見たとき、「こんなに志の高く良い会社が同じ建設業界にあるんだな」と大変魅力を感じました。従業員を大切にする、従業員を育てる。「つくるひとをつくる」という社訓なんて、当社の社訓と似ていて。当社の従業員も「きっと三和建設のHPを見ただけで『この会社は良いな』と思ってくれるに違いない」とすぐに思いましたよ。

柿本:トップ面談を4月に行った後、三和建設からも前向きな意向をいただき、特に大きな問題もなくスムーズに進みましたね!
8月下旬には調印式を無事に迎えることができました。
いよいよ従業員へM&Aについての説明会を実施。その時の様子をお聞きします。

大切な従業員への説明。その反応は?

最終契約の締結式を8月18日に行って、翌週の月曜日の夕方に従業員に話をしたんですけど、緊張しましたね。今回の話は、従業員が納得してくれないことには困ってしまう話なので…。結局、思い返すと私が一方的に話してしまって、当日は私の気持ちはあまり伝わらなかった気がします(笑)。

私自身は1年間もの間、いろいろと考え、やっとここまでたどり着いて「皆にも喜んでもらえるかな」と思っていたわけですけど、彼らからすれば、寝耳に水で。「いきなりそんなこと言われても困るよ!」と、案の定、ビックリされてしまって。

驚きは、徐々に前向きなエネルギーへ・・・

翌日以降、ひとりずつ呼び出して、どんな気持ちで今回の話を受け止めたのかを確認しながら、よく話をして不安を払拭していきました。

各人と、三和建設の森本専務と3人でも面談をしたのですが、中には、会社の問題点や今後の展望をA4の紙にびっしり書いた紙を用意して、森本さんに意向を聞くような熱心な者もいました。

自分や他の従業員の雇用のことを一番心配していていた者も、初めて説明した日は厳しい反応だったものの、その後ある日、「今回、社長が決断したことは、タイミングとしては一番良かったのかもしれませんね。」と言ってくれました。従業員同士も話をしていることだろうし、(リーダー格の)彼から、私にそう言ってきたということは、従業員の総意なんだなと感じて、安堵しましたね。

これからは、現場の従業員の口から「今後のことを考えて社長が決断したんだ」「英断だったと思う」と話をしてくれるでしょうし、従業員から周囲の人たちに伝わるのが一番説得力があると思っています。

単なる「提携」では叶わない。覚悟が伴う「M&A」だから、会社を救う解決策になる

第三者の力を借りたいと思ったときに、例えば他の会社と「業務提携しましょう」と話をしたって、そんなのは口約束にしかならない。それでは相手の会社だって自分の会社が可愛いのだから、うちの会社のことなんか本当の意味では心配なんかしてくれない。でも、お金を出してくれる人であれば、大きな買い物をするわけだから、本気になって真剣にうちの会社のことを心配してくれる。だから、その代わりとして自分はもう社長を降りて、次の代に任せて、私が補佐役に回ることがすべてを解決することだと思ったんです。

真剣に森塗装のことを心配してくれる方々が近くに付いていてくれるのは心強いことだし、それが三和建設のように価値観を同じくする立派な会社が相手であれば、こんなに良い話はないわけで。そのあたりも従業員には説明をしたので、理解してくれたのではないかなと思います。

新しい風を迎え入れ、これからもお客様から選ばれ続ける会社へ

お客様に話をするときには、「これからもお客様に可愛がってもらえる会社として永続させていきたいと思い、舵を切りました。」と説明をしています。大半のお客様が「良い話じゃないか。森さんが残っていてくれるというのなら安心だし、良い判断だったと思うよ。」と言ってくれています。

私自身が自分のやり方に固執して、年齢とともに柔軟性も欠けてきて、そのせいで従業員のやる気や能力を十分に引き出せていないこともあったと思います。だから今後、私ができなかったことを手掛けてもらって、新しい森塗装工業の形ができると良いなと思います。そういう姿をこれからも見守っていきたいと思っています。

柿本:本当に最高のM&A成約でした!インタビューはPART2に続きます。


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