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詩『結石のネックレス』

ユリイカ2024年9月号で選外佳作に選ばれました。

河原で拾ってきた石を
濃い灰で覆われたような石を

積む

空腹の中枢に
栗鼠みたいな頬袋に
曲がった外反母趾の角に

風や雨に削られて
廻ったり転がったり
研磨されていったシェイプ

ふわふわ、と飛んでゆきそうな魂の碇を下ろす
石を積む
積んでゆく

いつかみんな死んで腐敗して
形あるものは崩れてしまう
明日の風を読みながら
日々の頁を捲ってゆく

萎れたいのちに土を撒く
散ったいのちを炎で焼く
形のない死者の魂に観察されている

世界に明白な輪郭はないから
テディベアみたいな二の腕をぎゅっと抱きしめる
手のひらの器に花を挿したいんだ
みずうみは体内にたっぷり眠っている
肥料は無地の母乳を提供する
こどもを産んでもいないのに
乳ばかりが実るように熟れてゆく

昔からブラジャーが嫌いだった。

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456字

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