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平成最後の日

「新しい元号は『平成であります』」

小渕官房長官が額ババーン!の瞬間、私は高3だった。


あの日は今回の元号改正と違って天皇陛下の病状が年末から次第に悪化していた。長かった「昭和」という時代が終わろうとしていた。

世の中はバブルに湧きたち、
唯我独尊状態だったのだが、
今で言う「忖度」「自粛」でバラエティやドラマなど娯楽が日本から消えた期間でもあった。

テレビは白黒画像の過去映像を流し、
戦争や高度経済成長を駆け抜けた64年(ほぼ63年だが)昭和という時代が終わる不安と混乱の中にあの日はあったのではないだろうか。

あの日は、私にとって遠い過去でもないが
職場の若い子はほぼ平成生まれでそれすら知らないのだ。
31年という年月を私もまた駆け抜けてきたなぁ…と
否が応でも思い知らされる。

この度の令和は祝賀ムードに湧きたち、
令和記念商品など自粛、忖度することなくお店に並んでいる。素敵な事だと思う。

平成最後の日、意図としなかったが3ヶ月に一度の
乳腺外科の検診日である。
健康が一番だと思っていたけど、それすらあっさりと裏返ってしまった。
価値観などというものは体験であっさりと変化する。


今は健康も病気もどっちも仕方ないことだと考えが変わった。病気も忌み嫌わず受け入れるしかない。
だってしょうがないじゃないか!…と脳内えなりは言う。がんは慢性病の時代なのだ。
告知された時、看護師さんが私があまりに悲観しないので
「諦めてます?」と聞かれたが「1ミリも諦めてねえわ!むしろ前のめりですけど!」と思った。

イヤねえ、他人ってイメージですぐレッテル貼るのよ。がんになったって言うと必ず「そう言えば痩せた」…と言われる。
1グラムも痩せてねえし!もともと痩せてるだろ!


専門職の勉強、就職、仕事、結婚、出産、夫の仕事柄
ワンオペ育児からの姑との同居…と平成という時代を精一杯文字通り駆け抜けてきたが今日が最後の日である。


平成が終わろうとする9月に乳がんと子宮頚がんになって、イマココでお世話になっているのだが乳がん発覚で「ああ、もう頑張らなくていいんだな」と思ったことも確かだ。向かい風の中を必死でペダルを漕ぐような日々だった。

人の生き方は千差万別、
平成…いろいろあったけど私にとっていい時代だったよ。自分のこと、他人のことに一所懸命に関わり
喜怒哀楽の全てを味わった気がする。

令和がどんな時代になるのかなんてわからない。
それでもまたきっと必死のパッチで生き抜くだけである。走馬灯のページは多い方が絶対に面白いと思うんだから。

子どもをなんとか自立させたことだし、
緩やかな風に吹かれて自分のペースで歩いていける。
やっとその時がきたのだ。
やりたい事をやって行きたい場所に行く。
病気がもたらしてくれた新しい価値観を携えて
私は今日も生きている。



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