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【小説】b.(b)011
一度も就職活動をしたことないが、欲望に塗れた平凡な人間だなと自己分析している。いち子どもの時分から、特段優れたところはなく、外見も能力も平均以下だった。早くから自分自身を見限っていたから、期待もなく、理想などを思い浮かべることもなく、地に足のついた10代を送っていたのだが、性欲だけは並外れて強かった。
部活はせず、勉強も落第しない最低限しかせずに、私はずっと街頭に出て、女に声をかけた。かといっ
【『mommy』映画批評】ドキュメンタリーとして本当に面白かった!けど、冤罪かと云われると、、、
事件における検察と警察の役割と関係性
最重要証言者不在
鑑定はなんのため?
動機がないというけれど
最後に
事件が起こり、被疑者が犯行を否定したとき、検察や警察は犯行を立証し、当然有罪に持っていこうとするよね。
警察は被疑者や関係者の供述、物的証拠をせっせと集める。そして、検察は供述、物的証拠を基に、被疑者が事件を起こした筋書きを描いていく。背景なんかも含めてね。
当然、この筋書き
【小説】b.(b)010
食事を取るため等に使用するベッドに固定してある台に、読みかけの本を伏せて、トイレに行って帰ってきたら、誰かに盗られていた。
動かないでいるのも不健康だから隔離病棟のフロアをウォーキングしていると、他の患者が話しかけてきて、一方的な本人しか分からない冗談や卑猥な言葉をぶつけてくる。
医者や看護師は終始諦めている。口では空っぽの希望を口にするのだけれど、眼や笑顔や動作が私達に、諦めてどうか問題を
【小説】Ib.(b)009
とにもかくにも私の1日は忙しく回っている。朝は5時に起きて、水道の浄水を常温でコップ1杯飲む。寝ている間に私の身体から出ていく水分を補給する。パジャマを脱いで姿見で全身を映す。裸の私がそこにある。スタイルが良いとか胸の形が綺麗だとか大学の子が誉めたり羨ましがったりするほどに私は自分の身体が好きではない。であるからこそ、毎日こうして身体におかしなところがないか検分してるのだ。決して自分に酔ってるだ
もっとみる【小説】Ⅰb.(b)008
美大の教授なんてのは、一皮剥けば狂人であって、何をやらかしてもおかしくないと思っている。教授が自分の作品とSEXしてるのは、エロ漫画家が自分の作品でセンズリしてるのと大して変わらない行為だと思っていたのだが、アダルトサイトに投稿された動画は、単なる変態というだけでは片付けられなかった。
『美大の名誉毀損教授w』
大学の崇から送られてきた動画は、手ブレが激しく、時々撮影者の指なんかが映り込んでし
【小説】Ⅰb.(b)007
きっかけはなんだろう。そうだった。欲しいダウンがあって、大学に着て行きたくって、お金がないのにカード切って、買ったは良いものの、着てみたら袖が足りなくて、なんだかもの凄いダメなことを自分はしてしまったんじゃないかっていう罪悪感と、十何万のカード負債があって、ずっとびくびくしながら生活してた。
「便所掃除やるようなもんだから。」
街で声かけられた人にすぐお金を稼げるからなんて、怪しい誘いに一方で
【小説】Ⅰb.(b)006
好きな音楽家が好きな芸術家の作品が好きになり、それが高じて美大を目指した。もちろん現役ではどこにも引っかからず、浪人することになった。実家には居づらくなり、住む場所と生活費と予備校代が手に入る仕事を探していたが、条件に合うのはビデオボックスか風俗のスタッフだった。とりあえず、どちらも面接した。
ビデオボックスは待遇こそ良かったが、仕事中はずっと店舗内に居続けることが辛そうだった。客がオナニーし
【小説】Ⅰb.(b)005
なんとなく足が向いたから、私は今は夫に占拠されている、元は私の実家に行くことにした。夫の作る芸術とやらが、私には全く理解できず、一度だけ実物を見せてもらったが、まだ人間の形を成してない胎児がそのまま大きくなったような、等身大のパン生地みたいな外貌は、正直グロテスクに思えた。
「私には、よく分からないけど、なんか凄い。」
と私は声を振り絞った。それが、お気に召したのか、その日の夜、珍しく夫は私を雑
【小説】Ⅰb.(b)004
唐突と思われるかもしれないが、私は子供の頃からゲームのテトリスが好きだった。ブロックの隙間に形の合ったブロックがうまく嵌ると、胸がすっとすくような想いがした。私の両親は、ゲームは子供の可能性を潰すと信じて疑わなかったので、自宅にはゲーム機が一つもなかった。だから、私は父親がテーブルや玄関の下駄箱の上に置きっ放しにした小銭をこっそりと持ち出し、駅前のゲームセンターに通って、テトリスに興じた。ふと隣
もっとみる【小説】Ib.(b)002
私は一介の大学教授で燻っているような人間ではない。しかも私の肩書きである特任教授とは甚だ身分が心許なく、毎年の学生の履修登録数によって次年度の雇用が更新されるというから噴飯ものだ。
私は私の芸術をこよなく愛している。この大学は無知な輩ばかりで、真の芸術を理解しようなどという人間は一人もおらず、ただエゴイズムを吐き出してるだけの烏合の衆だ。
大学があてがってきたのは、研究室と呼べる代物ではなく
【小説】Ib.(b)001
四季が巡り、春らしい長閑な気候の一日は、本来であればごくごく平凡な休日だったはずである。
娘の沓子はお昼ご飯を食べたあと、小一時間昼寝をして、午後3時過ぎに目を覚ますと、行ってくるとだけ言い残し、外に出かけた。
私は自宅で次の日の仕事の準備をしていて、妻は1週間分の食料を買うため、区境にある比較的品質が良く、良心価格の大型スーパーに車を走らせた。
17時を過ぎても沓子は帰って来なかったのだ
独善(ひとりよがり)001
昇華がしたい。
日々、ストレスが溜まる。しかし、ストレスというのは便利な言葉である一方、捉えどころのない概念であって、もう少し正確に表すならば日々、生きる中で生じる精神への圧迫や負荷がどんどん堆積する。
某の場合、仕事よりも家庭でのストレスが大きい。
しかし、家庭というのはなんとも不思議な空間で、ストレスが溜まる場所である一方、ストレスの解消の場でもある一筋縄ではいかない陰と陽が混在している。何