【小説】Ⅰb.(b)004
唐突と思われるかもしれないが、私は子供の頃からゲームのテトリスが好きだった。ブロックの隙間に形の合ったブロックがうまく嵌ると、胸がすっとすくような想いがした。私の両親は、ゲームは子供の可能性を潰すと信じて疑わなかったので、自宅にはゲーム機が一つもなかった。だから、私は父親がテーブルや玄関の下駄箱の上に置きっ放しにした小銭をこっそりと持ち出し、駅前のゲームセンターに通って、テトリスに興じた。ふと隣を見たら、けむくじゃらのおじさんがズボンを脱いでいたり、好きなもの買ってあげるか