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女性のいろいろ

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祭りは出産

民俗学者の吉野裕子先生は「祭りの原理」という論文で、神祭りとは出産であると結論づけていることがとても共感しました。

例として沖縄の祖神祭りを挙げているのですが、ある資料には祭りに奉仕する女性は裸体で山に入り、7日間の断食ののちに最後の夜はクナブリ(=性交)の真似をする。これを男が見たら神罰が下るという。

私たち神職は例祭など大きなお祭りの前は、斎戒といって神社に籠って身を清めます。
他宗教の場

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祭りは出産

民俗学者の吉野裕子先生は「祭りの原理」という論文で、神祭りとは出産であると結論づけていることがとても共感しました。

例として沖縄の祖神祭りを挙げているのですが、ある資料には祭りに奉仕する女性は裸体で山に入り、7日間の断食ののちに最後の夜はクナブリ(=性交)の真似をする。これを男が見たら神罰が下るという。

私たち神職は例祭など大きなお祭りの前は、斎戒といって神社に籠って身を清めます。
他宗教の場

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中世の巫女

中世の巫女

中世は民間ではまだ女系の家が多く、近代のような女性差別は文献ではあまり見受けられません。
むしろ現代よりも女性が活躍していた時代かも知れません。
ある本に「中世の金融業における経営者の半分は女性で、それだけ女性が稼いでいた時代」と書かれていたことが印象に残っています。

史料でも武家と巫女の金銭トラブルで所領を没収された事件があり、興味深いです。
武家側は「神子(みこ)と言いつつも女の盗賊だ。うち

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髪は女の命!と言いますが、神社で奉仕する巫女は必ず結べる長さがないと奉仕できません。それは髪飾りを付ける為です。

初めて巫女さんが髪飾りを付けているのを見た時、「うわぁ~~素敵!!」と思いました。
髪は神に通じるので、髪飾りを付けると言いますが、髪に熨斗を付けているのを見て巫女自身がお供えなのかな・・・と思いました。
初めて神楽舞を習ったときに先生は「神楽舞は神饌と同じく神様へのお供えです」と仰

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女性神職の歴史

女性神職の歴史

神主=男性という世間一般の印象が強い理由は、女性神職の数が全体の2割ほどと少ないだけではなく、実は、女性神職が認められたのは戦後になってからなんです。なのでまだ70年ほどの歴史です。

 戦前は法律で、女性が神職として奉仕することは認められていませんでした。
 しかし先の戦争で神職が出征し、さらに空襲等の混乱により、日本の神社は後継者不足に陥りました。この問題の解決が差し迫った事柄であったことと、

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日本で最初に出家したのは女性!?

日本で最初に出家したのは女性!?

私は仏教に関しては記事にできるほどの知識はありませんが、「日本のシャマニズム(下)桜井徳太郎著」にシャマニズムに関連する事項として、日本で最初に出家した女性について書かれており、とても興味を持ちました。

というのも、女性祭祀者の地位低下は仏教による影響がかなりあったのでは?と思うのですが、なんと日本人で最初に出家したのは女性のようです。

その方の名前は司馬嶋女(しばしまめ)。
仏教が大陸から伝

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女性神職ってどれくらいいるの?

女性神職ってどれくらいいるの?

世間では神主と言えば男性の印象が強く、神主の装束を着ていても巫女さんだと思われることが多いように思います。最近は巫女さんに見えるくらい若く見えるってことかしら、と開き直っているのですが笑

 さて、今日本に女性の神職はどれくらいいるのでしょうか。神社本庁による統計では、平成30年の時点で神職の資格を持つ人は全国に約21000人、うち約3500人が女性です。私の奉職している県では神職資格を持つ人が約

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扇

神社の神事でも茶道でも、女性は必ず扇を手に持ちます。
しかし、舞を舞うときや、意匠として描かれる時は必ず開いた形になる。
扇ってどちらの形が正式なんだろう?という疑問をずっと持っていました。
そんな時に、吉野裕子さんの「扇」を読んで改めて扇について考えさせられました。

今でこそ扇はあおぐ為の道具に過ぎませんが、元は風を表す呪具でした。そこからあおいだ風で魔を祓ったり、広げた形が数字の八になること

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稗田阿礼

日本最古の古典である古事記は稗田阿礼が暗唱したのを太安万呂が編纂しました。
柳田國男が稗田阿礼は女性で猿女君の末裔という説を述べているのを目にして、これまで古事記の内容について考えたことはあっても、この物語を語る稗田阿礼自身については考えたことがなかったので、新鮮な気持ちで読みました。
猿女君の祖先はアメノウズメで、天岩戸神話では神懸かりして神楽を舞った場面は有名です。
そういえば、アメノウズメが

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御陣女郎

御陣女郎
我が国では戦争に女性が加わることは古代からの習わしでした。
例えば、日本武尊が東征の際に橘姫を従えたのは一種の巫娼としての役割があったことが伺えます。
以前、古代は戦のさきがけとして女軍が戦勝祈願や戦局を占っていたことを記事にしましたが、今日はこのことを詳しく書いていきたいと思います。

時代が下って武士が台頭してきた頃・・・鎌倉時代は木曽義仲に仕えた巴御前が御陣女郎として有名でしょうか

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巫道(ふどう)

巫道(ふどう)

先日、恐山のイタコを始めとする東北の民間巫女についての本を読みました。(桜井徳太郎著「日本のシャマニズム」)
神職って民間の祈祷師や巫女を下に見る傾向がありますが、この人たちの修行や祈祷の様子を知って女性の祈りの本義を伝えているのはこの人達かも知れないと思いました。

東北の民間巫女(イタコやイチコ、オナカマなど)は誰でもなれるものではありません。
その修行は想像を絶する過酷さで、今だったら絶対ド

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薬師講

薬師講

薬師講
今日は色っぽい話です笑
毎月8日は薬師如来の縁日と言われています。

明治時代頃の話になりますが、兵庫県のある村の正月の薬師講では40歳前後の後家さんと37歳の厄年にあたる女性が若衆入りしたばかりの15歳前後の男子と一緒に一晩お籠りするという習慣がありました。
まず、般若心経を誦え、それを若者に教えます。次に西国三十三か所のご詠歌をあげます。これだけでもかなりの時間がかかるので、一休みとい

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月待講

月待講

(今日は血の話なので苦手な方はスルーしてください)

日本の地域社会には、十九夜(十九夜観音)や二十三夜に女性が積極的に集まる講がありました。これは月を祀り、子授けや出産、育児の安泰を願います。
月と女性と聞くと明らかに生理現象と結びつきます。それは神秘的な体験であると同時に女の不浄でもありました。

女性は経血を洗った水を川に流すことにより、血の穢れを広めるとされ、血の池地獄は女性が堕ちる地獄だ

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