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短編小説作品集1

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初期の短編小説集。物語の中の日常を伝えられますように。
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#詩

【歌詞っぽいブラック詩】不信感

【歌詞っぽいブラック詩】不信感

きっと空は青いのに 色眼鏡で見る 不信感

あの子のフォローは 私が好きだから?

それとも 仲良しのあの人に
馴れ馴れしくしないか監視するため?

「私は教養人です」と 大きく謳う記事

なんであなたがイジメのことについて語れるの?

自分が駄目と言うことを 自分でしていることに何故気が付かないの?

そっとしておくのが大人の流儀

でもね わからない

あなたの考えが

あなたは信用していい人

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『渡り鳥への手紙』

『渡り鳥への手紙』

冬の晴れた日、
手の届きそうな青空に
柔らかい生クリームを流したような雲が
鳥の形に見えて、
あなたが渡り鳥と一緒に
この土地に帰ってきたのではないかと思いました。

その日が来ては手に取って、
「ああ、そろそろ出そうか。」などと思っては、
また同じ場所に仕舞ってしまうこの思いを、
今年は手紙にしてみても良いでしょうか。

あなたは、10歳も歳上だったけれど、
歳の近いお姉ちゃんという感じで、

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『ベッドを抜け出して。』

『ベッドを抜け出して。』

動の世界が寝静まって、
白い月と遠慮がちに輝く街空の星が、
ゆったりと世界を見守る。

暖かいベッドから抜け出し、
毛糸で編まれたカーディガンを羽織る。

素足で触れるフローリングは、
まるで他人のように冷たい。

コンビニで買った、冷やし忘れた赤ワインを
ただの透明なグラスに注ぎ、
台所に立ったまま、一口飲み込んだ。

ワインが喉元を通ると、
そこだけが熱くなった。

静かな真夜中。
全てが眠っ

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『モノクローム』

『モノクローム』

他人(ひと)に振り回されるとき、心の内はざわざわと音を立てる。
自分が他人を振り回してしまうときも、何だか落ち着かない。
どちらのときも、わたしの気持ちは波立ってしまう。

言葉の波が一気に押し寄せると、わたしの心は迷い、流されそうになる。
波に揉まれ、手足をばたつかせながら、何とかせねばと懸命に判断を急いでも、
答えはすぐには見つからず、波は一層激しくなるばかり。
少しで良いから、考える時間がほ

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