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ダンボールの前で泣いた

パパ&ママ「引越し・就職祝い」

そう熨斗がかかったバームクーヘンが届いた。

その段ボールの前で私は泣き崩れた。


別にバームクーヘンなんか好きじゃない。
正直、今焼き菓子なんかいらない。

必要な物は現金とか人手だったりする。

でも込み上げるものを抑えられなかった。

家族の温かみに涙
達成感に涙
虚しさに涙
寂しさに涙
悲しさに涙
嬉しさに涙

もう何かわからない。



「何か欲しいものあったら送るよ、お菓子も入れようか」

そう母からのLINEが1週間前に来た。
私は冷たく
「なんでもいい。とりあえず米」

そんな返信をした。

引っ越し1週間前の私はひとりぼっちで気持ちも頭も一杯一杯だった。
こんな大変なのに家族は誰も助けてくれない。

実家とは距離があるから仕方がない。

でも、私が大変な時に
「なんか欲しいのあったら言って」って。。

他になんかないの。それだけ?

無責任な声かけだな、と、LINEに苛立ちしか感じれなかった。

モノが欲しいんじゃない。そんなん自分で買える。

今はお金の余裕が欲しい。
気持ちの余裕が欲しい。
安心感が欲しい。
誰かそばにいて欲しい。

でも私は言えない。

お金ちょうだい。
こっちきて。

その甘えができない。
親にお金を貸してが言えない。寂しいが言えない。

変なプライド。

せめて罪悪感なく言えるのが
『食べ物を送って』

そんな注文。

実家は農家だ。その食材を欲することしかできなかった。


もどかしさとか、自分の辛さが親に伝わらなくて苛立ちに変わる。
そんな気持ちで一人で引っ越し、転職をした。

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1,381字

新卒入社→適応障害→退職の社会人1年目に起こったお話。

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