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"褒める"ことにより問題は解決するのか? 3

昨日の夜はバンキシャという番組で竹内結子さんが亡くなったというニュースを改めて見ていた。そこで話をどう持っていくのかと思いきや、出てきたのはNPO法人。いわゆる「SOSを第三者に伝えませんか、電話でもLINEでも相談待ってます」みたいな。こういうことを決して無駄だとは思わないけれど、"死ぬ"という覚悟まで(その直前まで)達してしまった人間が、そこでわざわざ自分のことを第三者に相談しようなんて思うのか、甚だ疑問だ。話を聞いてくれる人がいたとしても、やっぱり自殺を決断する人は少なくないし、誰かに理解してほしい、相談したいなんていう段階は飛び越えていってしまう人も多い。なぜ自殺という選択をした彼女の話の後にこの話をしたのか、あまりに綺麗事すぎて私には到底理解できそうにない。
ご冥福をお祈り申し上げます。


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そんなことは置いておいて今日は「ケーキの切れない非行少年たち」(宮本幸治 作)の感想(というか自分用メモ)を書いていく。

98ページより

「クラスの下から5人」の子供たち

・知的障害の定義は「IQが70未満である」こと
・以前は85未満だったこともあったくらいだ。故にIQ70〜84の子供たちは「境界知能」と言われる。
・クラスで下から5人の子供たちは、SOSサインを出しているのに周囲から気づいてもらえていない可能性がある。
・診断(病名)がつかない。境界知能の子供たちは知能的に(数字だけ見れば)問題はない、とされてしまうために支援を受けられない。病名がないことにより周囲の理解を得られない。


122ページ〜より

子供のいいところを見つけて褒めること

・褒めることが大切なんてことは教師も流石にわかっている。でも効果が(生徒の様子に改善が)見られないことも多いのが現状。
・褒めることで本当に根本的解決はできているのか?
・褒める以外に「話を聞いてあげる」ということがあるが、根本的な解決につながっているのか?(気持ちを受け止め落ち着かせるという意味では効果はある。)
・例えば「勉強ができない」子に他のことはできると褒めてあげたり、勉強が進まなくてイライラしてたんだね、と話を聞いてあげたりすることはできるが「勉強ができない」という事実は変わらないので根本的な問題の解決にはなっていない。

でもやっぱり褒められたら嬉しい人が多いんじゃないのかな?と個人的には思うけれど、「褒めて伸ばす」だけではダメなのかな、とも思う。前に小さい子どもを叱る際に "先にその子を褒めてから叱って、また最後に褒める"というような"プラスの言葉でマイナスの言葉を挟む"ということによって子供が「一方的に叱られている」、あるいは「恐怖に押しつぶされている、自分はダメなんだと自尊感情が下がっている」なんていう状況になりにくい....という教育方法(?)を聞いたことがある。

ただもちろんこの本で対象としている子供(少年)に関してはそんなものは意味がないけれど、褒めるとか叱るとかそういうことよりも、直接的な支援が結局大事だったりするのかな。その子ができることを増やすための支援をするとか、まずはその子のことを理解するとか。まぁ結局その「支援」の中身がアバウトすぎて難しいのだけれど、確かに言えることは「知的障害に対する理解・知識の習得」が必要だということなんだろうなぁ。全体像を理解しても個人差があるからこそ、結局は時間(長期間の支援)や経験が(指導する側には)必要なんだろうな。


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152ページ〜より

子どもの心に扉があるとすれば、その取っ手は内側にしかついていない

・普段から大人が見本になって「正しい規範」を子供に見せることは重要。
・自分が変わるための動機付けには自分に注意を向け、見つめ直すことが必要。
・少年たちが変わろうとするきっかけ
①集団生活における様々な人との関係性の中で自己への気づきがあること
②様々な体験や教育を受ける中で自己評価が向上すること
・大人は子供が「気づきのスイッチ」を自ら入れられるように様々な気づきの可能性のある場を提供し、スイッチを入れる機会に触れさせることが大事。


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この本についてはこれでおしまい。


子供の心の扉に、内側しか取っ手がついていないかもしれないというのは少し悲しいかな。時には誰かに外から無理やりこじ開けてほしい時だってある。誰かから飛び込んでほしい時もあるような気がする。
逆に言えば内側からしか開けられないくらい、子供達の内面(内部)には守りたい感情なんかがたっくさんあるのだと思う。子供が自ら心の扉を開けてくれるように、辛抱強くその扉の向こうに向かって語りかけることも、大切にしていきたいなぁと私は思っている。

あわよくば子供たちが初めてその扉を開く時、外の世界が明るいと良いなぁ、と願わずにはいられない。


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