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1.5 あえて今、「校則がない」と言われる学校に通っていた話をする #みらいの校則 -続編-

↑の記事が思った以上に伸びているので、
もう1年以上前に書いた↓のnoteを読み返してみた。
どちらも同じ高校(自分の母校)について書いたものである。

このnoteの内容を全くと言っていいほど覚えていないのだが、
校則が全くない、という自由な環境の中で「自分たちで学校を作り上げていく」、いわゆる"自治"というものが求められていたことは確かで、
この"自治"に関する議論が度々行われていたのも確かだ。


過去のnoteで私は、

「自主的な活動と自治的な活動の違いは何か」

という問いに対して、

「自主的な活動とは、『個人個人』が物事に取り組む際に自らの考えや判断に基づいて行う活動である。つまり個々の意思や責任が問われる。
一方で自治的な活動とは、集団生活の中での問題を明らかにしてそれを自分たちで解決していく活動である。つまり『集団』としてのまとまった意思や考えを持って方向性やルールを決定し、協力していくものである。」

と解答している。今でも概ね考えは変わっていない。

例えば学校に存在する「こんな理不尽な校則を変えたい!」というのは、自治的な活動の1つなんだろうな。集団としてまとまった意見(というか反発)が明らかに目に見えていたからこそ、そこで行動を起こそうと思った人がいたわけで。


だからこそ自分たちがやっていたことは「自治」で、校則がない学校を自分たちで責任持って作り上げていこう、という活動であったのかが甚だ疑問であるのだ。

私たちがやっていたのは、あくまで自主的な活動なのかもしれなくて、意見交換をするというよりただ意見のぶつけ合いをして、対立して、論破しようとしていただけなのかもしれない。
それは自分や自分の身近な人のための主張で、学校を集団生活のためのより良い場所にするもの、では決してなかったのかもしれない。


では私たちが議論しなければいけなかったものは一体何なのだろうか。


校則があった場合であれば、
それを変えようと行動を起こす人たちはかなりの数の反発してくる大人と議論を重ねるだろうし、「こんな厳しいルールは嫌だ」なんていうわがままのような言い方では到底要望は叶わないわけで、根拠を明確にして主張をするだけではなくて、
そもそもその校則は何のためにあるのか、できたきっかけは何なのか、どうしてこの先も必要なのか.....ということに対して相手の考えに耳を傾けなければならないといけない。




では私たちのように校則がなかった場合は?

「自治」という集団で1つのものを作り上げ、責任を持っていくということを続けるためには、シンプルにもっと対話の機会が必要だったのかもしれない。
その対話のためには1つでも多くの意見を吸い上げる必要があったが、それはあまりにも難しいことだった。

なぜならそもそもの問題点として、「『自治』に関して他人事である人が多い」という状態が続いていたからだ。この状況を変えることができなかったし、私も正直どんな行動をとれば良いのかわからずじまいだった。

そもそも自治とか自由とか、小難しいことを考えずに自分が好きなことをやり、勉強を頑張って普通の楽しい学校生活を送りたい人がたくさんいたのだから。
その人たちはおそらく校則があっても、そのルールの中で自分の自由を謳歌できる人だったのではないだろうか。

彼らは「自治」に対して当事者意識を持つことができなかったのかもしれないし、
あるいは当事者意識を持つほど現状に疑問や不満を抱いていなかったのかもしれない。



話を戻すと、対話の機会を作ったとしても、議論に参加する生徒は一部であったし、それは総意ではなかった。
生徒同士の対話だけでなく先生方との対話もおそらく不十分で、こちらの意見を押し付けるばかりで全く向こうの意見を聞かず、いざとなったときに責任だけ取らされていた先生たちはどう思っていたのだろうか。


「自治」というのは最初からうまくいくわけではないし、同じ形のままずっとそこに存在しているわけでもない。
人が変われば考え方が変わるし、考え方が変われば学校の風土や雰囲気も変わる。
考え方の変化に、自分たちはついていけていたのだろうか。
学校の変化を、自分たちでつくっていけていたのだろうか。


当時も討論会のような場で「自治」そのものの定義について話し合われていたと思うが、それは何か1つのルールを作って生徒たちを統制するより何倍も難しいことであった。
けれど今1つ思うのは、自分たちの「自由」を見出していくためには「自治」という責任を伴う行為、集団での意思決定が絶対に必要だったのだ。




「校則がない」ことは自由をくれる。
自由は私たちに責任をくれる。

私たちは私たちの集団生活の場に、何を与えることができたのだろうか。

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