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特別養子縁組について考えていたあの頃

昨年、不妊治療に進む前に養子縁組を考えていたことがある。

その理由は、とあるカフェで夫が養子縁組の新聞記事を見せてくれたのがキッカケだった。

他にも、当時は色んな知り合いの方々から「養子という制度もあるよ」と教えてもらったり、妊活雑誌の巻末に必ず養子制度の話題が取り上げられていた、というのもある。

そこで、母親や20年の付き合いがある元職場の先輩にも相談してみることに。

この2人に関しては「あなたのことを昔からよく知ってるけど、そんな器量はないと思う。

本当に思いやりがあって、人助けの心がある人じゃないと無理だよ。あなたは違う。昔から知ってるけど、そういう人間じゃないでしょう。

私はあなたのそういう性格好きだけど、一般的にみて決していい人ではないと思う。←全人間性を否定する先輩(笑)

それに、自分の子供でさえ凄く大変なのに。他人の子供を育てるというのは、本当に並大抵の神経では務まらないのよ。あなたは軽く考えすぎている」と、猛反対された。

母に至っては「あんた、そんな人間じゃないでしょ?」と一言てフルボッコ。

この時は何故こんなことを言われているんだろう、と正直わからなかったけど、今冷静に思うと母と先輩のいうことが理解できる。

確かに、私はこれまで損得勘定で生きてきたような人だもの。物凄く冷たい人間でもないけど、慈悲の心はない。

だから婚活記事も書けるのだと思うし。そもそも恋愛記事ってね、どこかで割り切りの精神がないと務まらないから。

その後、それでも子供を持つことを諦められなかった私は、養子縁組について詳しく調べるようになる。

養子には、普通養子縁組、特別養子縁組と種類がわかれていること、特別養子縁組にならなければ子供を自分たちの戸籍に入れられないこと、さらに特別養子縁組には年齢、経済力、数年はどちらか一方が子育て重視で育てられるかどうかが問われるなど、厳しい条件があることを知った。


また、特別養子縁組で赤ちゃんを授かったらすぐに戸籍を移せる訳ではなく、一年間は「育てられるかどうか?」を査定される。この一年が養親にとって酷な時間となる。

さらに、特別養子縁組はいいことばかりではない。

まず、不妊治療との併用はNG。不妊治療でダメだったらと併用するのはダメとのこと。

しかし養子縁組にも年齢制限があるので悩ましいところ。特に特別養子縁組の年齢制限は45歳あたりとか。

*芸能人の武内由紀子さんが、高齢で2人も養子を迎え話題になっているが、あれはレアなケースらしい。

そして、養子縁組には経済的に育てられない、10代の妊娠、子供が沢山産まれすぎて育てられない、妊娠したけど男に逃げられた、性的被害、風俗や水商売で客の子供を身篭った……などという理由が多いと言われてはいるが、それだけではない。

インスタなどで「特別養子縁組」タグを辿ると、障害児の多いこと、多いこと。ダウン症のみならず、背が大きくならない、体に何らかの疾患があるといった子供の写真がずらずらと出てくる。

今は出生前診断が出来ることもあり、産まれる前から赤ちゃんの障害を調べることができる。なんでも、なかには障害がわかった途端に養子相談をする親が絶えないのだとか。なかには少し育てて、障害がわかり育てにくくなると相談に来るとか……。

養子について調べるようになり、改めて子供を持つってなんだろうなと考えさせられた。そして、自分は一体どうなのだろうかと。

もし自分に子供ができて、出生前診断をして障害がわかったら。産んで育てる覚悟ができるだろうか。自分の子供でもわからないと思ったのに、他人の子供を受け入れられるだろうか。

そこで、その頃からダウン症や18トリソミー、障害持ちの赤ちゃん、幼児のインスタをチェックするようになった。

最初は拒絶反応もあったとはいえ、毎日眺めているうちに、だんだんその子たちが可愛いと思うようになった。今でも、とある21トリソミーの女児のインスタ垢のファンである。

夫も病院でダウン症や障害児の診察に当たることが多いが、21の子は愛嬌が良くて可愛いそうだ。

ただ18トリソミーの子に関しては、産まれても数ヶ月で死んでしまうことが多く、火葬後に親が投稿したメッセージが涙で読めないこともしばしば。

障害児においても、21トリソミーと18トリソミーで大きな違いがあることを、養子縁組やインスタで学んだ。

さらに夫が医療職で障害児を診る機会が多いため、色々とリアルな実情を教えてくれるというのもある。

妊活雑誌には「不妊治療がダメなら養子縁組という選択もあります」といったインタビューが多く取り上げられている。

私もキラキラした特別養子縁組記事を読んでいいなと思った人間の1人だが、よくよく調べると決していいことばかりではない。

そもそも、お腹を痛めて産んだ子を手放すって、よっぽどの事情があるケースがほとんどである。

親に持病があるというケースも多いらしく、子供が遺伝してるケースも少なくない。

さらに、特別養子縁組では、基本的に赤ちゃんを選べない。

新生児がいいと希望できるところもあるらしいが、なんでも新生児でさらに女の子は育てやすいからと競争も高いのだとか……。

ちなみに愛知の有名な特別養子縁組サービスでは、養子の性別、障害は選べない。どんな子供でも受け入れられるかどうかが条件。

また、サービスによっては障害児を断ったら、登録ごと解除されるというところも。

婚活や結婚相談所のように、相手を自分の希望で自由に選ぶことはできない。よく考えてみれば通常の妊娠出産でもそうなのだから、仕方ないといえばそれまでだけど。

改めて考えてみて、私は自分のお腹で育てた子なら受け入れられるかもしれないが、そうじゃなければ厳しいかもしれない……と思い直した。

そもそも、私は今のフリーライターの仕事が好きだ。大変な思いをして、仕事を犠牲にしてまでして、果たして他人の子供を育てられるか。

うーーん。
難しいかもしれない……。

でも、万が一。万が一。

どうしてもって思ったら、考えるのもアリかもしれないから、最後の選択として検討しておこう。

そこまで考えた挙げ句、結局私は体外受精に踏み切ることとなった。

体外に踏み切ったのは、特別養子縁組制度に登録したら不妊治療ができなくなるという理由もあった。そして、人生の選択を増やすために治療期限は41歳の誕生日までと決めた、

今は、あの時特別養子縁組について色々調べて良かったと思っている。

知らなければ、ダウン症の子供達のインスタを見ることもなかったし、障害児への理解も深まらなかった。

子供を健康に産み、育てることの大変さを知り、改めて両親に感謝できたのも大きい。

妊活や不妊のスランプで悩んだ事がきっかけで、学びが増えた。

もし、若い頃にトントン拍子で子供を授かっていたら、何も知らぬままだった。

きっとこれは、神様が私に与えた試練なのだと思う。「命を大切にしなさい」「体を労りなさい」という神様からのメッセージだと信じている。







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