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どんな起業家でも、リモートで、テック大国アメリカで拡販するコツ

こんにちは。ニューヨークでデザイナーをしている mihomi です。ところで私は外人コミュ障です。英語が苦手な訳でもないのですが、ノリノリであることがディフォルトであるお国柄に、少し気後れしてしまいます😅 。ありがたいことで、それでも今日まで15年以上、デザインでご飯を食べています。今回はそんな私が考えた、テック大国アメリカで販路拡販するコツです。外人が少し苦手、資金不足、時間が足りない、その他いろいろな理由から北米進出を断念してしまった、起業家のあなたへ贈ります。

イントロ

テックビジネスで北米進出したい起業家の皆さんは、先ずベイエリアに行かなきゃダメでしょ、と思っていませんか?でも、もし日本にいながらにして、自社製品やサービスをアメリカ経由で世界に拡販するチャンスがあったらどうでしょう?今回はその可能性についてまとめてみました。

ベイエリアにおける日本スタートアップを取り巻くハンデ

最新のジェトロベイエリア日系企業実態調査によりますと、シリコンバレーベイエリアに拠点を置くことが確認された日系企業数は1,035社で、前回調査の2018年から13.4%増加したそうです。中でも注目したいのが、1,035社のうちIT関連企業が19.1%、そして、事業形態としては、スタートアップ関連が6%強もいるという点です。

前回調査のまとめ記事の流れから、嬉しいことに、シリコンバレーでのエコシステムを活用し、世界マーケットを視野に入れる日本スタートアップが増加傾向にあるようです。しかしここで問題が。グローバル展開に興味はあるものの、日本からシリコンバレーを直で目指すことへの不安や懸念です。

例えば、

• ベイエリアの家賃 & オペレーションコスト高すぎ
• 時間かかりすぎ
• 知り合いいなさすぎ
• 英語力なさすぎ
• たった3分で、VCにエレベーターピッチとか無理すぎ

など。

しかも、このような ↓ 理由から、北米進出を躊躇してしまった起業家もたくさんいるのではないでしょうか。

• そんなにアクセラレートしなくても良いし
• やっぱり白人怖いし
• 日本好きだし
• とにかく ”言語不問のコミュ障” だし😅 ( ...そのお気持ち、わかります )

英語での熱いライブ・コミュニケーションが当たり前の日常で、英語がネイティブでない日本人が、ベイエリアのキラキラ枠に入り込むのは至難の業かもしれません。

しかし、それでもなんとか、自社製品やサービスを、ベイエリアに行かずとも、アメリカや世界中のクライアントに販売してみたい、と試行錯誤中のあなたへ、ニューヨークに住む自称外人コミュ障、プロのデザイナーが推奨する究極のストラテジーをご紹介したいと思います。それは、

究極のストラテジー:最新のデジタルマーケティングを最大活用し、見込み顧客の抱えるペインポイントに最高の解決策を提供する

ことです。そして数あるデジタルマーケティングの中でも、以下 ↓ に掲げるポイントを全て押さえることにより、海外からのリードを確実にゲットし、最終的な受注、クロージングへと繋げることができるのではないか、と私は考えます。

ポイント#1 : 
外国人顧客のために機能性が高く見た目の良いB2B企業サイトを構築する。

ポイント#2
 : 
顧客一人一人にカスタム化したEメールマーケティングに注力する。

ポイント#
3
コンテントマーケティングで、見込み顧客をハッピーにする有益なコンテンツを発信する。

続いてその可能性と信憑性についてポイント毎に詳しく解説していきます。


ポイント#1. 外国人顧客のために機能性が高く見た目の良いB2B企業サイトを構築する

• 新型コロナによるB2Bビジネスのオンライン化

まず始めに、EC市場を取り巻く変化からお伝えします。世界的パンデミックの影響で世の中のあらゆるものがオンラインにシフト。パンデミック初期にはECサイトの売り上げも急上昇しました。

マッキンゼー&カンパニーのレポートによると、アメリカで2020年のQ1においてのイーカマースの普及率は、直近3ヶ月で約16%から34%へ。たった3ヶ月で2009年から2019年の10年分を遥かに越える成長を遂げました。驚きの数字ですね。

それに伴いB2B のリード獲得方法もオンラインへと確実にシフトしています。最新のマッキンゼー&カンパニーによるB2B ビジネスについてのサーベイ(Survey: US B2B decision-maker response to COVID-19 crisis)によりますと、

以下 ↓ のような興味深い結果となっています。

• 大中小企業において、オンラインでの接客やリモート営業はこの先、B2B go-to-market の主流モデルになるであろう。

• コロナ後に於いても、コロナ以前のような、対面での営業方法には戻ることは期待できない。そして20-30%の顧客は、今後一切対面での営業を望まない。

• 90%以上の購買決定権者が、今後長期的に、リモートやデジタルモデルを希望し、4人のうち3人は、それが既存客や見込み顧客にとって、コロナ以前の営業方法より効果的(今までと同等かそれ以上)だと信じている。

• 99%の B2B 顧客は、end-to-end デジタル セルフサービス モデルで、大部分の人がとても安心して$50,000 (約505万円) か、それ以上の購入をするであろう、と主張する。

• 5人のうち4人は、ビデオ会議でのコネクションは電話や音声のみよりも極めて重要で、それに好意を寄せている。

B2B の営業スタイルがコロナをきっかけに、デジタル・リモート営業にシフトしてしまい、今後もその傾向が続くであろうという見解のようですね。


• アメリカのミレニアル世代の台頭

そしてこの流れをバックアップする立役者がいます。そう、アメリカのミレニアル世代です。アメリカでは、労働力の35%以上がこのミレニアル世代。その彼らの73%が、今のビジネスにおける購買決裁権を持っています。最新テクノロジーの恩恵と、B2Cでのオンライン・ショッピングと共に成長してきたミレニアルは、B2Bにおいても違和感なくそのプロセスを選択します。彼らはインターネットで情報収集、他社との比較検討を経て、自分のペースで自分の好きな時間に購買決定をします。そして、なるべく時短でミニマルな購買行動を旨とします。その為には、洗練されたビジュアルと、使い勝手の良いユーザー・エクスペリエンスを兼ね備えたB2Bウェブサイトが必要となるのです。そして、この B2Bウェブサイトこそがデジタルマーケティングの要。24時間365日、あなたの会社をプロモーションし続ける最強のマーケティングツールとなる訳です。

そして、この最強のマーケティングツールを最大利用するには、ターゲットのバイヤージャーニー( 見込み客が新しい製品やサービスに出会い、比較検討から購入に至るまでに辿る一連のプロセス )にマッチングした、機能性が高く見た目の良いB2Bサイトを構築することが必要です。

それには先ず、 ターゲットの設定と目的を具体的にする ( 誰に、何を伝え、何をしたい・してもらいたいのか ) ことが大切です。

ターゲット例:
♦︎ 28歳、女性、アパレル業 ECサイト・マネージャーに、あなたの会社のソフトウェア・サービスのバリューを伝え、導入を検討してもらいたい

そして、ターゲットのバイヤージャーニーの分析をもとに、彼らの問題を理解し、それに見合う最高の解決策を提供することを目指しましょう。次に具体的にウェブサイトに搭載したいアイテムの詳細です。


あなたが欲しいリードを獲得するための実装必須アイテム10選

01. 効率的なCTA:
コンバージョンに繋げるための効果的な流れとその導線、資料ダウンロード、デモ申込み用のクリックボタンの設置。

02. キレのあるコピー:
顧客の言語で、彼らの心に突き刺さる言葉を選出。日本語からのオート翻訳に頼らない。

03. 証明:

導入事例、取引先一覧、ソーシャルプルーフ(カスタマーレビューや、テスティモニアル、SNSリンク)など。

04. 良質のコンテンツ:
オウンドメディアを使った顧客に有益な情報や解決策を提供するためのビジネスブログ。スタイリッシュなビジュアルや動画だと更に可。YouTubeのオンラインサロンや、スパーチャット、ライブ配信機能などを使えば、顧客との距離を更に縮められるチャンスが。

05. 顧客とのコミュニケーション:
チャットロボ、FAQ、コンタクトページ等、顧客と接点を持つための手段。

06. 会社概要:
企業ミッションや、ストーリー性のある貴社独自のエピソード、チームメンバーの紹介。

07. お知らせ欄:
季節や期間限定のお知らせを、見やすい位置に配置。

08. 製品やサービスの説明ビデオ:
事業内容が複雑な場合には、口頭での説明の他に、アニメーション使ったエクスプレイナービデオが効果的。あなたのターゲットが英語圏にいるならば、日本語から英語へのサブタイトル表示より、ターゲットに合わせた言語でのナレーションの方がインパクト大。

09. 高性能&ハイスペック:
マルチ言語(あなたのターゲットが英語圏にいるならば、英語での表記はマスト)、スーパースムースなUX・UI、レスポンシブサイト、高速ロードタイム、世界対応のドメインとSEO対策などのオプティマイゼーション。

10. 魅力的なデザイン
ブランドガイドに沿ったデザイン。外国人にアピールするわかりやすくシンプルなデザインを軸に。日本人好みのごちゃごちゃ感、いわゆる可愛い系や癒やし系キャラはいりません。男目線だけにならない。無意味な長いイントロは逆効果。色使いはスッキリと。

それではここで、日本にも進出している外資系大手テックB2Bの実際のウェブサイトで、実装必須アイテム10選がどのように使われているかを検証してみましょう。


• mihomi 特選:B2Bウェブサイト上位3社

先ずは私のイチオシの第1位、zendeskから。参考ポイント満載なので特別に詳しい解説も付けました。

ZENDESK

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zendeskは、デンマーク発ですが、シリコンバレーをベースに、世界150カ国でカスタマーサポートツールの開発・提供を行っています。凄まじくボリューミーなウェブサイトですが、きちっと整理整頓されています。このサイトは、斬新なブランドカラーやフレンドリーなイラストレーションを使用し、ジオメトリックな形状をうまく取り入れたアイコンやイメージと、日本人にも突き刺さる、説得力のあるコピーライティングで構成されています。最高にスムースなユーザーエキスペリエンスと、程よい感じのインタラクティブな動きで、とても心地よく仕上がっています。通常、外資系ソフトウェアサービス企業のサイトには、日本語でのエクスプレイナービデオがありません。しかし、こちらは日本語にも勇敢にトライしており、顧客目線であることを忘れません。また日本語でのブログまで用意されており、さすがはカスタマーサービスのプロ。至れり尽くせりのおもてなし、といったところでしょうか。

ではここで実装必須アイテム10選がどのように使われているか、アイテム毎に見ていきます。

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01. 効率的なCTA:見てすぐわかるボタン
02. キレのあるコピー:日本人クライアント用に書き下ろしたコピー
05. コミュニケーション手段:定位置に置かれたお問い合わせボタン
09. 高性能、ハイスペック:日本語対応


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03. 証明:日本企業のクライアントをアピール
04. 良質のコンテンツ:有料メディアサイトのような日本語ビジネスブログ


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06. 会社概要:なるほどのオリジナルストーリー


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08. 製品やサービスの説明ビデオ:日本語版の製品説明ビデオ(激レア)


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10. 魅力的なデザインジオメトリックな形状を基調にした全カスタムデザインのユニークなブランディング


続いて第2位です。

ASANA

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asana はタスク管理のツール開発とサービスを提供をする企業で、世界190カ国で活用されています。

コーラルのブランドロゴが良く映える白色系の背景色と、シンプルなグリッドを効率的に使った、美しく機能的なサイトです。とてもスムースで使い勝手の良いユーザーエキスペリエンスを軸に、無駄なデザインの駆け引きに囚われることなく、内容にフォーカスしやすいサイトデザイン。時々現れるアニメーションや、暗色のカラーブロックがちょうど良い視覚効果となり、サイト全体をピリッと引き締めています。このサイトにも言えることですが、ダイバーシティをプッシュするグローバル企業の特徴として、多種多様な人々のイメージをフィーチャーしていることが挙げられます。asana のミッションの一つである、クリーンで透明性の高い企業であることが、全体的なデザインを通じて伺える、素晴らしい仕上がりになっていると思います。

そして第3位へと続きます。

TWILIO

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Twilio は、クラウド型コミュニケーションの API の開発・実装サービスを行うグローバル企業です。商品数が多いので、こちらもかなり内容の濃いウェブサイトですが、カード状の動く商品ラインアップを中間に配置し、全体的にうまくまとめています。無料サインアップボタンを何とか押してもらいたい感がヒシヒシと伝わる、効果的な導線作りが印象的です。赤のブランドカラーを基調とし、多くの色を使っているわりにはとてもスッキリとしたサイトです。今知らせたい旬のメッセージを伝えるためにサイト最上部に配置されたお知らせ欄は、サイトの新鮮度保持に効果的です。残念なのは、ホームページ以外のページは日本語対応でないこと。ここで一気にページ離脱率が上がってしまいそうでハラハラしてしまいます。

いかがでしたか?

2020年に発表された、富士通総研 経済研究所「大企業のデジタルマーケティング取り組み実態調査」によりますと、デジタルマーケティングがビジネスに貢献していると回答する企業が多い中、「商品情報をWebサイトに掲載して最適化したら、海外からメールで問い合わせが来て受注につながった(BtoB製造業)」という、嬉しいリアル体験もあります。機能性が高く見た目の良いB2Bサイトがあれば、日本にいながらにして、海外から優良リードを獲得するチャンスは十分にある、と言えることが少しお分かりになりましたか?

では、次に、究極のストラテジー第2のポイント、について説明します。


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ポイント#2. 顧客一人一人にカスタム化したEメールマーケティングに注力する

医療保険、専門的サービス、製造、テクノロジー、金融業などに携わる企業を対象に行ったサーベイ、アメリカ Sagefrog 社の最新版、「2021 B2B MARKETING MIX REPORT」によりますと、マーケティングのどの領域に一番多く投資をしたかと言う質問に対し、第一位は、ウェブサイトのデベロップメントで、51%の企業が比重を置いたとし、デジタルマーケティングは第二位で、41%でした。ここで注目したい点は、多くの企業が、世界的なパンデミックが、今までなかなか現代風にならなかった B2Bウェブサイトやデジタルマーケティングの普及を一気に押し上げた、と感じていることです。

そしてそのマーケティングの内訳としては、Eメールマーケティングと答えた企業が最多で、次に SNS や SNS広告、そして、ブログやコンテントマーケティングへと続きます。

数あるデジタルマーケティングの中でも、特にEメールマーケティングが注目されるのには理由があります。最大のベネフィットは、SNS広告やコンテントマーケティングに比べ、Eメールマーケティングは顧客との一対一でのコミュニケーションが実現しやすいということです。また、Eメールのデザインツールは以前に比べ格段に進化し、無料のツールも充実してきました。顧客のデータを分析し、行動履歴やパターンに合わせたカスタマイゼーションを追加することで、彼らが欲しい情報やサービスをピンポイントで提供することができるのです。SNS広告などはライフスパンがとても短く、タイミング次第では無駄足に終わってしまいます。ですが、Eメールマーケティングなら、あなたのターゲットに有益な情報を、段階的・継続的、に与えることができるのです。彼らとの距離を徐々に縮め、信頼を勝ち取ることで最終的なコンバージョンに繋げることを目指したいところです。

続いて、最後のポイント、究極のストラテジー第3のポイント、についてお話しします。


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ポイント#3. コンテントマーケティングで、見込み顧客をハッピーにする有益なコンテンツを発信する

あなたの顧客は常により良い解決策を探しています。前述したように、ビジネスにおける購買決裁権を持つミレニアル世代を惹きつけるために、B2Bサイトにおいても、B2Cサイトには欠かせなくなったコンテントマーケティングを取り入れることが重要です。

あなたの会社の製品やサービスのアピールはもとより、最新の業界ニュースや、見込み顧客のペインポイント、彼らの ”知りたい” に直接働きかけ、彼らをハッピーにさせる有益な情報を文字に起こし、将来的なコンバージョンに繋げる集客を心がけたいところです。

高品質なコンテンツは、あなたの会社のアセットになります。見込み客にとって価値のある記事を根気よく発信し続けることにより、あなたの会社の認知が上がります。そしてその記事がシェア・拡散される機会が増えることは、SEOによる検索ワードの順位向上にも繋がります。知名度が上がれば、あなたが望むアメリカ人見込み顧客が、あなたの会社の製品やサービスについてもっと知りたい!とコンタクトフォームのボタンを押さずにはいられなくなるでしょう。


まとめ

以上、様々な理由から北米進出を諦めてしまった起業家のあなたにでも、日本にいながらにして、自社製品やサービスをアメリカ経由で世界に拡販する究極のストラテジーを、その可能性と信憑性を交え紹介しました。もう一度言います。重要なポイントは、デジタルマーケティングを最大活用することです。見込み顧客である外国人ウケする、機能的で見た目の良いウェブサイトや、カスタマイズされたEメールマーケティングで集客し、彼らのニーズや要求を満たす良質なコンテンツを定期的継続的に提供することで、彼らをハッピーにし、最終的なコンバージョンへ繋げることです。

日本の少子化、製造業の頭打ち、アジア各国からの安価なサービスの流入により、日本国内だけでのビジネスシェア拡大には限界があります。それに加え、新型コロナの影響で日本経済の先行きは更に不透明に。しかし、リモートが主流になりかけている今、どんな起業家の皆さんにも、最新のデジタルマーケティングと外国人ウケする魅力のあるデザインで、日本にいながらにし、アメリカを超えグローバル展開するチャンスがあるはずです。本稿で紹介したストラテジーが、一人でも多くの起業家の後押しとなり、日本経済の活性化に繋がることを切に願います。


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私は、ニューヨークのアートスクール卒業後、数々のリアルワールドでのプロジェクトを通じ、本物の ”ビジネス戦略としてのデザイン” を習得しました。アメリカ式デザインで世界的に活躍されたい方、なんだかよくわからないけれど、ご自身のコーポレートサイトに危機感を感じている、テックスタートアップ関連の方、あなたの会社の魅力を最大限に引き出すブランディングに興味のある方など、こちらまで お気軽にご連絡ください。

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