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お茶の時間

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#お茶

雨宿り茶会へようこそ

雨宿り茶会へようこそ

お茶。雨の日のお稽古が、実はけっこう好き。

お茶室の中はとても静かだから、屋根や地面を打つ水の音がよく響く。

掃き出し窓から、冷んやりした雨の匂いが入ってくる。

雨の音を聴きながら、苦くて熱いお茶をのむ。

湿気でぼうっとなった身体がめざめて、意識がはっきりする。

 *

お菓子は、杏をのせたういろう。

ああ、もう水無月なのだとはっとする。

もうすぐ1年が半分終わる。半年のけがれを清め

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花のいのちに心を添わせる

花のいのちに心を添わせる

お花を習いはじめました。

もともと、野に咲く花はとても好きなのですが、今までは、生きている花を鉄の鋏で切って、剣山に刺していく勇気がどうしても出なかったのです。

でも、大好きな花の前で写真を撮ってもらったら、どうしても、花たちともっと仲良くなりたくなりました。

以前から通っている茶道教室の先生が、隣の部屋で華道も教えていることを知っていたので、「先生、お花も教えていただけますか?」と思い切っ

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たとえば1杯の、お茶を差し出すように。

たとえば1杯の、お茶を差し出すように。

息継ぎみたいだな、と思うことがある。

週末の、お茶の稽古。

ふだん、仕事に没頭し家族と向き合い、合間に大急ぎで最低限の家事をしていると、あっという間に1週間が過ぎていく。

特に、コロナ禍で家にいる時間が長くなってから、水族館のマグロみたいにぐるぐると、同じところを回り続けているような気がすることもある。

そんなときお茶の稽古に行くと、明るい水面に顔を出して、深く息を吸い込んだときみたいに、

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お茶室の「一期一会」

お茶室の「一期一会」

お茶の稽古。

この冬最後の筒茶碗。

筒茶碗は、ふつうの抹茶茶碗よりも縦に長くてお茶が冷めにくいので、寒い季節に使う。

茶碗を拭く「茶巾」の扱いが変わるので少し難しい。

 *

筒茶碗を見ると、思い出すお茶の先輩がいる。

お仕事柄、指が長く手先が器用な方で、筒茶碗のお点前がとても美しかった。

コロナ禍で会えなくなってしまったけれど、お元気かなあ。

また一緒にお茶が飲めるかな。

1杯の

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茶道でマインドフルネス

茶道でマインドフルネス

お茶の稽古。

今朝はベテランの先輩と、3人だけだった。

静かな茶室に、お釜の湯が沸く音(松風)と、衣擦れの音が響き、流れるようにお点前が進んでいく。

私も流れを滞らせないよう、集中して、雑念が入らないように手を動かす。

茶筅を振りながらふと、茶道はマインドフルネス、「今、ここ」に意識を集中することに似ているなと思った。

1杯のお茶を美味しく点てる。

そのことだけに意識を向けていると、ふ

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