Jon Fosse(ヨン・フォッセ)と言って、どのくらい聞き馴染みがあるだろうか? 私はやはり、2023年ノーベル文学賞発表の際、ながらで聞いていたラジオから流れて来たニュースで聞きかじったのが最初だ。
1959年9月29日、ノルウェー西部ハウゲスン生まれ。同国のベルゲン大で哲学と比較文学を学び、83年小説『赤、黒』で作家デビュー。詩や児童文学なども手掛け、90年代に本劇曲『だれか、 来る』を発表。世界的な劇作家としての地位を確立し、「欧州で最も多く上演された現代劇作家」
The Gifts of the Body (1994) 『体の贈り物』連作短篇(本書)は、2001年に当初雑誌始動でマガジンハウスから刊行され、2004年に新潮より文庫化。2020年にはその版を5刷重ねている。ほとんど無名の海外文学作家が雑誌にいきなり周年記念号などの特集で起用登場することは珍しく、それは一重に高い信頼と人気を集める日本においてはもはや別格の翻訳家、柴田元幸氏の審美眼と熱量に負うところは多い。
淡々とした情景描写と簡単な会話のみで書き進められていく、書き過
1924年カフカがこの世を去り、奇しくも安部公房が生を受けた。カフカ没後100年、安部公房生誕100年にあたる今年2024年、その4月に、あのポール・オースターが亡くなった。カフカの魂は何度も衝撃と共に姿形を変え国境を越えてこの世界に現れる。
The Invention of Solitude (1982) 『孤独の発明』の出現。その言葉、表現に私たちは打ちのめされた。カフカの再来と騒がれ、アメリカ文壇はもちろん、海を越え、本人が望むか否かに関わらず、いわゆるニューヨーク三