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小説

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過去、現在、未来これから書く小説をご紹介していきます。より古いものは、冴生いずみ名義で以下のサイトでも読むことが出来ます。 http://tranquilizer.biz/sel… もっと読む
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「Water Labyrinth 水の迷宮」あらすじ

一匹の蝶に導かれ、日頃から夢多き私という主人公が、日常と表裏一体のように存在する非日常側へ、放浪する話。しかし、そこは5つの国から成る五角形の宇宙で、万物は木火土金水から構成される、つまり陰陽五行の世界。自分は選ばれしものとただ過信している私は、与えられた分さえ全う出来ない愚かな存在だと思い知らされることになる。神でもない人=私は過ぎたものを望まず、地に足をつけて留まるべき場所で努力すべきだと諭される。遠くに見えている城は近づくほどに輪郭が曖昧にぼやけ、実際は無に等しいものと

「Water Labyrinth 水の迷宮」 5

5角、

有料
300

「Water Labyrinth 水の迷宮」 4

4角、

有料
300

「Water Labyrinth 水の迷宮」 3

3角、

有料
300

「Water Labyrinth 水の迷宮」 2

2角、

有料
300

「Water Labyrinth 水の迷宮」 1

1角、

有料
300

金喰い虫

     ―幼虫―  自分が這っていく通りに葉っぱの端が綺麗になくなるように、人のすねを見事にさっぱり喰いつくすのが、その虫の習性だった。  日がな一日くねくねしているだけで、食べては寝てをくり返し、頭はほとんど無に等しく、自分の私服を肥やすことのみしゃかりきで、もっぱら成長するだけの単細胞。  ごく特異な趣味の者には偏愛され愛玩されることもあるが、多くの者にはどちらかと言えば疎ましく忌み嫌われ、仮に無害だとしても取るに足らない存在。眺めて飽きないか、

痙攣

※筆名:冴生いずみで過去に出版。 佐々木氏のご厚意で「京都アスタルテ書房」にも置いていただいております。氏亡き後、やむなく閉店となるところでしたが、多くの惜しまれる声に奥様とご子息で継続運営されることとなり、安堵しました。 https://getnews.jp/archives/609264

疫病神

そう、それは、疫病神。 守りに入るのが嫌だった。子供のままでいたいのとそれは本当にイクオールなのか。普通になるのに何故こんなにリスクを背負わなきゃいけないのか。自分は何者なのか。他人は何故いとも簡単に普通に生活できるのか。生きることより生活することが大変だった。生活しなければ生きてゆけないのなら、死んでも良かった。月が出ていた。心がさめざめと泣いていた。夜が好きだった。よく一人で歩き回った。個人的な悩みではなかった。使命をかせられて、この世に生まれて来たと感じていた。だ

半端人間

私の窓には景色はない。私の窓には窓がある。近い春を待つ名も知らないつぼみの花の鉢が、そこに並んでいる。静かすぎる。何が起きても可笑しくないこの都会で、何も起こらないという不安と焦りが常に胸中に渦巻く。不自然と自然の境界線がはっきりしなくなっている。おだやかすぎる。平穏は決して幸福ではない。少なくとも現代人の幸福とそれはかけ離れている。誰もが変わったことはないか、何か面白いことはないかと思いながら、怠惰な毎日を送っている。人からうらやまれる状態にある者でさえ、人生が変わってしま