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Naked Desire〜姫君たちの野望

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舞台は西暦2800年代。 世界は政治、経済、そして文化のグローバル化並びにボーダーレス化が進み、従来の「国境「国家」という概念が意味をなさなくなっていた。 欧州大陸にある、…
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#姫君

Naked Desire〜姫君たちの野望

「なになに……うわぁ、なんなのこれ?」私は、見ている風景が、どす黒い雲で覆われる感覚に襲われると
「はいはい……げっ、なにこれ……」と、フリーダの身体が硬直し
「ねえ、いくら何でもひどくない、これ……」抑えた口調で話すアネットだが、彼女の全身からは、苛立った憤りがわき上がるのが見て取れる。
私たち3人の目に飛び込んだのは
「『神聖』なる帝国の皇女達の、ふしだらな異性関係」
というタイトルのゴシップ

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁-36

「あなた、この国の皇女ってわかってる? それもただの皇女ではなく、高い皇位継承権を持った皇女である立場なの。そんな人間が、公衆の面前で暴漢に襲われた。それが原因で、護衛の人間が責任を問われ、その座を追われるかもしれないということを、マリナはどう考えるのよ?」
言葉遣いこそ丁寧だが、その口調は、反論を許さないといわんばかりに冷徹だ。そう、彼女は職務のためならば、悪魔にもなれる

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−30

「ちょっと、私の話を聞いているの! マルガレータ・ハンナ・オクタヴィア・マルゴット!」
エミリアは私を怒鳴りつけながら、グイグイとアタシの右手首を引っ張った。
彼女はさっきまで、アタシと向かいの席に座っていたはずだが、いつの間にか隣に移動している。呼んでも反応がないので、頭に血が上ったのは間違いない。
どうやら昔のことを思い出しているうちに、彼女の話を上の空で聞いていたらし

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−29

「ちくしょう……これじゃ、エルヴィラの方がまだマシだわ。私ってバカよねえ。本当に人を見る目がない。宮廷で生き残れるのか不安になってきたわよ! マルガレータ・ハンナ・オクタヴィア・マルゴット、あなたのために使った私の時間とエネルギー、今すぐ返して!」
エミリアは一気にまくし立てると、テーブルに突っ伏して号泣した。
「ごめん、ごめんよエミリア・パトリシア・クラリッサ・アリアンナ

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−28

「お気に召したなら、新品買ってきてあげようか? 使いかけを他人にあげるわけにはいかないしね。タオルも、色違いのものでよければ、それと同じタイプのものがいくつかあるから、あげようか?」
とアタシがいうと、彼女は手に持っているチューブとタオルを見た。
「いいんですか? お姉様」
「いいのいいの」
「ありがとうございます、お姉様。それでは、両方ともいただきますね」
というと、義妹

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第一章 心の壁−26

以前から、エミリアのことをよく思っていなかった皇帝付き侍従の一人が、皇帝にエミリアがそばに控えていない時に「エミリア皇女に乱心の気あり」と、あることないことを吹き込んだのである。
だが彼女がかわいい皇帝夫妻は、その意見に耳を傾けないどころか、その侍従をきつく叱責した。その侍従は左遷され、その話はそれで終わり……のハズだった。
だがエミリアを快く思っていない連中は、それでめ

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第25回 心の壁ー25

「構うものですか。本当のことだもん」アタシは、コーヒーをすすりながら言った。
「お姉様はよくても、ほかの人間はそうは思いません。ちょっとした一言で何もかも喪った事例は、枚挙に暇がないでしょう」
気がつくと、エミリアの口調はさっきまでの丁寧調から、ややきつい言い回しになっている。まずい、いささか調子に乗りすぎたか。
「ご忠告、痛み入るわ」
「反省のポーズだけならば、そこらの

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第一章 心の壁−24

「お姉様に、どうしても見てもらいたいものがあります」
義妹はそう言いながら、黒色のクラッチバッグから、一冊のファイルを取り出し、それを私の前に差し出した。
彼女のいわれるまま、アタシはそのファイルに視線を向ける。
「ま、立ち話も何だからさ、座って話そ」と言いながら、アタシは彼女に、執務室のソファに座るよう促す。「コーヒーでいいよね?」
「はい、お姉様と同じもので」エミリアは

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第一章 心の壁−21

「う、う、うーん」
アタシは裸のままベッドの中で両腕を上げて、勢いよく身体を伸ばした。
デジタル時計の表示は、朝の6時20分を過ぎていることを示している。
自分の左側に視線を向けると、隣で寝ているはずのオトコがいない。
なぜ、オトコが隣にいたのかって? そんなの決まってるじゃない。楽しんでいたからよ。
さて、ここで自己紹介といきますか。
アタシの名前はマルガレータ・ハンナ

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第一章 心の壁-20

「悪いが、もう一度言ってくれないかな。どうも年のせいか、耳が遠いものでね」
部屋の主は視線を逸らせたまま黒革の椅子にふんぞり返り、せわしなくパイプをいじりながら返事をした。
「ですから代表、エルヴィラの襲撃は失敗しましたとご報告しているのですが」
男はいくぶん顔を青ざめながら、部屋の主に先ほどいった言葉を繰り返した。
男の説明を聞いた部屋の主は、視線を逸らしたまま「フーッ」

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第一章 心の壁−19

「おいテメェ! さっきから黙って聞いていれば、いい気になりやがって」
キャサリンが今にも殴らんばかりに、キャサリンがつっかかってきたのを、私は彼女が羽織っている服の袖を引っ張って制止した。
「もうやめようキャサリン。こういう人間には、なにを言ってもムダだよ」
「クラウス、あなたにはがっかりだ。もう少し、分別のある言い方ができる人だと思っていたんだけどな」しょんぼりした表情を

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁-18

極めて事務的な口調で話しかけるヴォルテーヌ警部に対し、ラッシャーは露骨に嫌そうな表情を浮かべた。
「殿下には、どんな質問をしたのですか」
「それは、あなたが知る必要はありません」
「私は忙しい」
「私だって忙しいのです。ですが、これが私の仕事なのでね。ラッシャー総店長、是非事情聴取にご協力願いたい」警部は、慇懃な口調でラッシャーに声をかける。
「イヤだ、といったら?」

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−16

「だったら、社員やアワマネに後を任せて、とりあえず現場に足を運ぶべきだったのではないですか?」フリーダは執拗に食い下がる。
今彼女が口にした「アワマネ」とは、アワリーマネジャー(以下HM)という、社員不在時に店舗運営を担うアルバイト社員のことで、全アルバイトの頂点に位置する。小規模店舗では2~3人いるが、グラーツ総本店だと、20人以上のHMがいる。この時間帯でも、最低4~5

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−15

私は素早く、キャサリンがいる方向に姿勢をかえた。
彼女はアクア色の無地のシャツの上に、濃紺のノーカラージャケットを羽織り、前のボタンは開けている。下半身は、ジャケットと同じ色のレギンス、黒のパンプスという格好で、私の目の前に立っている。
近衛兵といっても、軍服を着用するのは国家や軍隊の儀礼行事がある時だけで、普段はスーツで勤務する。キャサリンに率いられた近衛兵も、全員がス

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