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Naked Desire〜姫君たちの野望

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舞台は西暦2800年代。 世界は政治、経済、そして文化のグローバル化並びにボーダーレス化が進み、従来の「国境「国家」という概念が意味をなさなくなっていた。 欧州大陸にある、…
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2019年8月の記事一覧

Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−8

ギムナジウム(高校)に進学しても、相変わらず他人との会話や集団行動が苦手だったクラウスは、校内で孤立していた。
修学旅行前に開かれたホームルーム(HR)でクラウスは、クラスメートのいじめを理由に、ギムナジウム(高校)の修学旅行を拒否すると宣言した。いじめ問題は、心ある数人のクラスメートが動いたことで解決したが、結局彼は修学旅行を、無断で欠席した。
修学旅行は原則として、同一

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−7

「クラウス、起きないと遅刻するよ。さっさと支度しな」
クラウスと呼ばれた青年は、母親の罵声を目覚まし代わりにして、自室で目が覚めた。
う、うーんと彼はベッドの上で背伸びをすると、壁に掛かっているデジタル時計を見た。
時刻は、朝8時に近い。しまった、また寝過ごした。急がないと遅刻する。
ベッドから飛び起きて洗顔を済ませ 、身支度をする。今日の格好は、白地の丸首シャツと青色のデ

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−6

「とにかく、お姉様はオルガと仲直りしてください。でないと、情緒不安定なあのオンナのことだから、周囲の人間に突っかかるのは目に見えてますわ。私だって、彼女に当たり散らされるのはもうたくさん!」
エミリアは感情を露わにして私を怒鳴りつけると、足早にダイニングを出た。
私はテーブルに視線を落としたまま、長いため息をつくと、いずこから「チッ」と、舌打ちをする音がする。
その方向に視線

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−5

声の方向に視線を向けると、清楚な雰囲気を漂わせた一人の令嬢が、恭しく頭を下げた。
彼女は、ルイーゼ・ヴィクトリーヌ・エリナ・ビルギット・フォン・ゾンネンアウフガング=ホッフヌング。私の妹だ。
「おはよう、ルイーゼ。ずいぶん早いのね」
「わたくしがが早いのではなく、お姉様がお寝坊なのですわ」
やや険のある口調で、妹が応じる。
妹の食卓に目をやると、皿の料理はきれいになくなって

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁-4

「チッ」キャサリンは、忌々しげな表情で舌打ちした。
その表情には「話を逸らそうとしてんじゃないよ」という感情が浮かんでいた。
「夕べ、何か飲み食いしたか?」
キャサリンは夕べのことを私に尋ねた。
昨晩、私がオトコと一戦を交えていたことは、彼女もわかっていたはずだ。
夜分に上流階級の令嬢が、オトコを自室に引っ張り込むというのは、私たちの世界ではよくあることだ。もちろんキャサリ

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