みるこちゃん

愛と性のお焚き上げブログ。 心理カウンセリング取得中のスピリチュアルヒーラー。

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マガジン

  • 沼戦記〜私的性愛全史〜

    2014〜2019年、東京の夜の底で起こった裸の遍歴全記録。 いろんなところに書いたり書かなかったりしたものを、ごく個人的なお焚き上げのために棚卸し&清書する。 テーマソングは、みくれいか「海とあなたの物語」です。

最近の記事

欲望の花道

たとえば男の人にとって、 「あなたはお金を持ってるから素敵」 と言われたら、それはイマイチ褒められた気がしないんじゃないだろうか。 一部の富豪とか、資産こそがアイデンティティと化している成金のオッサンを除き、一般的にはそれってべつに褒め言葉にならないよね? 結局、興味があるのはカネと、カネによって得られる体験なだけで、俺のことなんかどうでもいいんだなと。 恐らく自分だって同じように感じるはずなのに、 鏡越しに顔を合わせている背後の男は、 「不倫だからいいんだよ。旦那さんの

    • 沼戦記②〜my white night〜

      2014年8月の日記 「結婚しても保守的にならない、その感覚の原動力は何なの?」 鶯谷の汚い定食屋で、彼がわたしに聞いた。 朝5時半の店内には、酔い果てた客とホームレスしかおらず、ブラウン管のテレビが静かに聾話者向けのニュースを流している。 「保守的になる過程には、自分に対する嘘があるでしょう。それに気付いてしまったら、無視することができない」 すこし考えて、わたしは答えた。 「大切なものはひとつじゃないもの」 彼とは、一昨日知り合った。 ******

      • 沼戦記①〜イントロ〜

        ある気鋭のアーティストのインタビュー記事をネットで読み漁っていたら、見覚えのある名前が飛び込んできた。 そのアーティストの対談相手であり、記事の執筆と構成を担当したライターは私の知人だった。 向かい合ってフランクに笑い合う2人の写真が掲載されていた。 この人のこんな表情はみたことがないと思った。 「いまの私でも、あんなひどいことを言えるのかな」 思わずそう考えたのは、雑誌の中の彼は、私の知っている彼よりずっとすてきだと思ったからだ。 東京へ来たばかりの私にとって、ここで生き

        • 愛の喪に服す⑦〜恋の未成仏霊をやっつけろ〜

          そもそも私がnoteを始めたのは、彼との関係が壊れてしまった悲しみを癒すためだった。 あれから1年半の間に、私たちの関係は修復と断絶を繰り返し、その過程で私の彼に対する愛着は音も立てずに乾いていって、さいごは身も蓋もない軽蔑に姿を変えてしまった。 あの日私が愛だと思ったものは一体なんだったのか。 相手を軽蔑の対象に至らしめたのには大きな理由がある。 彼には、その場の感情に任せて別れを宣言してしまう情けない癖があった。 それを「癖」だと言えるのは、感情のほとぼりが冷めたあと

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        • 沼戦記〜私的性愛全史〜
          2本

        記事

          酒とナンパとスピリチュアル〜歌舞伎町哀愁伝〜

          酒を飲んで落ち込まないことがない。 飲み始めてはや15年になるが、分別のついてきた近年の方が、その落ち込みの度合いがひどい気がする。 若い頃は、合コンで暴言を吐こうが、記憶を無くしてマンション前の側溝で寝ようが、国道の中央分離帯でタコ踊りをしようが(実話)、ナンパしてきたBMWのフロントガラスに「氷結レモン」をぶっかけようが(やめて)酔いが覚めればけろっとしていた。 終電前に宴席がお開きになる。 そしてシンデレラの魔法が解けるように、夜風に当たって酔いが覚めるに従い

          酒とナンパとスピリチュアル〜歌舞伎町哀愁伝〜

          今更なんて思わずに急かされたいのか、急かされたくないのか。妙齢女子、それぞれの性と愛。

          「訴えられる覚悟はできてるの」 「今日も2人で、興信所対策の話をしてた」 「毎日、朝から晩までずーっとLINEしてる」 「でもやっぱ、ただの遊びなのかな?」 「捨てられたらどうしようって、そんなことばっかり考えてる」 「立場はわきまえてるつもり、でも依存してしまってる」 「今日も安定剤飲んだ、辛い」 鍵のかかったSNSアカウントを覗くたび更新される呟きは、日を追うごとに重く苦しいものになってゆく。 それが毎日降り続ける雨と重なって、さらに私の心の彩度を落とす。 女ともだ

          今更なんて思わずに急かされたいのか、急かされたくないのか。妙齢女子、それぞれの性と愛。

          ありきたりな親密さ

          誕生日の2日後に、知り合ったばかりの男性と食事をした。 彼が予約した新宿のイタリアンは個室だった。 お手洗いから戻ると、店員が花火を灯したバースデイプレートを部屋に持ってきた。 「おめでとう」 と彼は言い、私は驚いて、そしてありがとうと言った。 彼には配偶者がおり、なおかつ恋人もいるという話だった。 二軒目のバーは私が持った。 並んでウイスキーを飲んでいると、いちどだけ彼はスリットの隙間から私の太腿に指を這わせてきた。 やっときたか、という思いで、私は素知らぬ顔をしてい

          ありきたりな親密さ

          誕生日には花を贈って、なんて。

          きのうで35歳になった。 ふつうに出勤して、ふつうに働いて、1日を終えた。 あんなにいろんなことがあったのに、メッセージをくれた男はひとりもいなかった。こんなもんか、と、思った。 それでも、毎年お祝いをしてくれる家族や、欠かさずメッセージを送ってくれる女友達がいることだけでも、私はとても幸せなのだと思う。 このごろつくづく思うに、 もういろんなことを潔く諦めて、さっぱりと生きたい。 田舎の、亡くなった祖父の屋敷にでも引越して、早寝早起きにヨガを日課として、近所の人たちの話

          誕生日には花を贈って、なんて。

          かつて私を愛した人の中に、果たして私自身はいるのだろうか。(愛の喪に服す、後記)

          2月の終わりに別れたY氏と、とある事情で連絡を取った。 別れたばかりの頃、藁にもすがる思いで頼った占い師には、 「Yさんは別れたつもりなんかないです。そのうちまたシレっと連絡してきますわ」 と言われたのがもうひとつき以上まえのこと。 「あなたナメられてますねん。ペットみたいな扱いやから、今はお仕置きされてるだけやわ」 半信半疑でその言葉を聞きつつ、たとえもう一生会えなくても、無様に彼を待ち続けたりしないよう、私は私の人生にきちんと帰ろうと、そう思いながらこの2ヶ月を過

          かつて私を愛した人の中に、果たして私自身はいるのだろうか。(愛の喪に服す、後記)

          「おっちょこちょい」という地獄を生きることについて。

          「天然ってさー、簡単に言えばただの馬鹿だよね」  高校時代の友達が言った言葉をふいに思い出したのは、汗だくになってタクシーに乗り込んだ時である。 先週の土曜、身内の結婚式のため、ヘアセットを予約した。自宅の最寄駅の美容院をホットペッパーで検索したのだが、最寄り駅と隣駅は名称がよく似ているので、そそっかしい私は間違えるに違いない。そう思い、細心の注意を払って何度も確認し、ちゃんと「自宅最寄り駅」である「○○駅」の近くの美容院を予約したはずだった。 そして、当日、家を出て美容院ま

          「おっちょこちょい」という地獄を生きることについて。

          短編小説:「あした、新宿で愛は死ぬ」

          iPhoneの縦長の画面をスクロールしながら、指の感覚が麻痺してゆくのを感じた。 胸の真ん中から発した絶対零度の怒りと嫉妬は、体の芯を一瞬にして凍りつかせ、わずかな体温を急激に奪ってゆく。 口の内が急激に乾き、唇がひび割れるような気がした。 体は凍結しているのに、情報を処理する脳だけが忌々しいまでに活性化していて、私の神経は、逃れようの無いちいさな箱のなかへぎゅうぎゅうに詰め込まれてゆく。へたり込みそうな身体をよそに、頭の中の小さなモーターだけがオーバーヒートしながらシューシ

          短編小説:「あした、新宿で愛は死ぬ」

          短編小説:「鯖を弔う。」

          水平線が複雑な色合いに染まりながら、夜が終わってゆくのを眺めていた。 紺色とオレンジのドレープを引いたような空の裾が、時空の境目で凪いだ海と混じり合うその様を、眺めていた。 海岸通りを走るタクシーのエンジン音だけが規則的に鼓膜を揺らす、午前5時半。 暖かい車内で、この時間がずっと続けばいいと私は思っている。 2時間後の私が、何をどう受け止め、どこにいて、何をしているのかは、今は考えたくなかった。 海岸通りを抜けると、車は片側二車線の県道に出た。対向車は少ない。大型の長距離ト

          短編小説:「鯖を弔う。」

          「サヨナラ」と書いた手紙なんてだいたい来ない。

          男は、はっきりと別れを口にしない生き物らしい。 多くの女はその逆だ。 別れたくなった理由まで包み隠さず伝えて、相手の存在そのものを焚き上げてしまおうとするのが女の別れの作法だ。 男はそのてん、まあよく濁す。責められたくないし、悪者になりたくないし、なんなら「いざという時のために」完全には縁を切りたくないらしい。 「サヨナラ」と書いた手紙をくれる男は誠実なほうだと思う。よっぽどの事がない限り、男は女を振りたくないのだ。 振るときは振るときで、相手から別れを切り出すよう仕向け

          「サヨナラ」と書いた手紙なんてだいたい来ない。

          翳りゆく部屋、翳りゆく春〜セフレ沼でつかまえて〜

          しくじった。 そう思った時には、既に私はどろどろになって男の腕の中にいる。 顔も体も美しいこの男は、自分の美しさをよくわかっていると見え、私の身体を抱きとめてひとときも離れない。それが女の心に杭を打ち込むことを知っている態度だった。 小雨の降る日比谷公園で、夜の花見をした。 そこから地下鉄に乗り、歌舞伎町へ向かう雑踏の中で、右耳のピアスホールが裂けた。 どこで裂けたのかもわからない。 ただ、気がついた時にはお気に入りのピアスがなくなっていて、耳朶に触れる右手には奇妙な

          翳りゆく部屋、翳りゆく春〜セフレ沼でつかまえて〜

          愛の喪に服す⑥〜エネルギー残穢問題〜

          ゴミみたいな別れ方をしたY氏からはなんの音信もないまま10日が経つ頃に、別の人と知り合う機会があった。 本来切り替えの早い私は、もうその頃にはY氏のことは清算しつつあって、わりと波動の高い状態で新しい人に会った。 私は彼の知識量の豊富さとか、内面の静けさに興味を持って(容姿もよかったし!)、初めて会った日から毎日やりとりをするようになった。 相手も私を気に入ってくれているのが伝わった。 そのやりとりは、主に彼が自分の価値観や好きなものについて語り、それに対して私がリアクショ

          愛の喪に服す⑥〜エネルギー残穢問題〜

          幸せな「聞き上手」になるには

          土曜日に初めて会ったその新しい知人は、1週間で30時間は自分のことを語った。 私の知らない音楽や文学やアートのこと。価値観や生き方や夢について。 何杯かのウィスキーやカプチーノを使ってそれらを全部吸収しようとした私は、急に自分が小さくなってしまったような錯覚に囚われて、始まりかけた関係の前に立ち止まる。 「聞き上手」だと、会った人によく言われる。 それはおそらく、私が相手の「自分語りスイッチ」を押すのが上手いからだろう。 幸せな聞き上手になるにはじつはひとつの大きな条件が

          幸せな「聞き上手」になるには