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「サヨナラ」と書いた手紙なんてだいたい来ない。

男は、はっきりと別れを口にしない生き物らしい。
多くの女はその逆だ。
別れたくなった理由まで包み隠さず伝えて、相手の存在そのものを焚き上げてしまおうとするのが女の別れの作法だ。

男はそのてん、まあよく濁す。責められたくないし、悪者になりたくないし、なんなら「いざという時のために」完全には縁を切りたくないらしい。

「サヨナラ」と書いた手紙をくれる男は誠実なほうだと思う。よっぽどの事がない限り、男は女を振りたくないのだ。
振るときは振るときで、相手から別れを切り出すよう仕向けるか、そうでなければ本音を50層くらいのオブラートに包んで伝えてくる。なるべく相手を傷つけず(そのことによって自分も傷つけられないために)やんわりと逃げたいらしい。

たしかに私自身、
「あなたとはもう会わない」なら人生で何度か口にしたが、
「君とはもう会わない」と言われたことはない。言われなかっただけで二度と会うことが無かった男も山ほどいるけれど、しれっとあとになってから連絡をよこしてきた男もたくさんいた。

雲隠れしようとする男を、女は責める。
洞穴から引きずり出して、白日のもとですべてを自白させようとする。
「本当のことを言ってほしい」と詰め寄っても、それはたいがい徒労に終わる。暖簾に腕押しもいいところで、おおよそ歯切れの悪い答えしか返ってこない。
仕事が忙しいとか、君はひとりでもやっていけそうだからとか、嫌いになったわけじゃないとか、俺じゃ君を幸せに出来ないと思うとか。
たぶん真っ赤な嘘ではないんだろうけど、本心でもない。
本心は隠されていることに女は直感的に気づくから、尚更責めたくなる。

じゃあ本音はなにか。
ざっくり言えば、飽きたか、ほかに好きな女ができたか、重くなったか、要約すれば相手が邪魔になったのだ。 ああ、考えただけで心が凍る。
でもヒドイ!とは言えない理由がある。

なぜなら、男だけじゃなくて、女だって立派にエゴで動いているのだ。
「恋なんていわばエゴとエゴのシーソーゲーム」ってミスチルも歌ってるよね。

愛されたいから。自分で満たせない自己愛を相手に埋めて欲しいから。将来の安心をさせてほしいから。安定した生活基盤を与えて欲しいから。
「邪魔になった」のは、エゴとエゴの交渉に敗れた結果であって、女側の「愛していたのに捨てられた」は、すなはち先行投資の失敗を意味する。望んでいたリターンが無かったから傷ついている以上、それは本当の意味での愛ではないのです。
恋愛に被害者も加害者もない。


※※※

だからと言って、「勝てばいい」って意識で動けば幸せになれるわけでもないのが男女関係。

これがビジネスの交渉と違って、恋愛に複雑さと深みを与えている部分なんだけど、
やはり人間同士の深い関係である以上、心を開いてぶつからなければ得るものもないと、私は思う。
小手先の手練手管を書いた本はたくさん発売されていて、名著と呼ばれるものもいくつかあるけれど、
(ここからちょっとスピリチュアルな話だけど)そういう表面的な「成功/失敗ベース」の物事の見方自体が、もう時代的にすこし古い気がしている。

時代はハートの時代に移行している。
どれだけ自分と向き合って、ポジティブもネガティブもすべてをひとつの経験として捉え、その果てに自分を受け入れ、愛して、そして他者にも同じものを分け与えられるか。

ビジネスも恋愛も教育も、どんな分野であれ、ベースには時代的な共通意識ってものがある。

SNSを使った相互監視と、愛なき「イイ人信仰」の高まりがもう限界まで来てて、あとはもう崩壊するしかない。(ほんと反吐が出るような風潮ですよね)
だからこれがぶっ壊れた後には、
個々を尊重した真の調和と愛の時代が来るんじゃないかなぁ。
ただの希望かもしれないけどね。


※※※

で、サヨナラと書いた手紙さえ受け取れなかった女子たち。
恋愛はフェアで被害者も加害者もなくて、もっと言えばポジティブもネガティブもなくてすべては自分を知ってゆくための経験。

とは言え、ムカつくもんはムカつくよね。
「命乞いをする奴の顔を踏みながら海に沈めたい」と思ったことくらい、私にもある。しかも一回じゃない。

ムカつく気持ちを無かったことにすると予後が悪いので、
あなたを傷つけたクソ野郎のことは頭の中で何回殺してもいいんだよ(微笑)

彼の幸せなんか願わなくていいし、思ってもない「ありがとう」を思わなくてもいい。
「彼の悪口を言ってるあなたの顔は醜い」みたいなクソジャッジに踊らされんな。偽善者になってもいいことなんかひとつもないし、むしろ被害者意識を募らせて余計醜くなってくだけだ。
だから、膿は出し切りましょう。

そうして、憎しみを放出しきったところに、自分を助けてくれる気づきと、真の光があるのだと思う。


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