time will tellも思い出せない夜に


2019年11月3日。
文化の日の黎明、何もこないバス停で、
お隣の国の女性と、英語で愛を語った話、ここはアジアで大阪、歴史の街で、天下の台所だった。

noteも開設する前で、帰ってきて鍵垢でTwitterに書き殴った内容を、下書きとおき、ここにあげなおします。
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今起こったことをありのままに話す。
コンビニでのコピー作業の帰り、夜中も喫煙所のベンチを撤去しない別のコンビニにいったら、電話中の先客の男がいた。

別に路上喫煙禁止区域ではないけれど。今日は座って夜を眺めたい。
男がいなくなるまで、と思い、結局、そのすぐ近くのバス停で、オプション1mmを吸ってストロングゼロを飲んで耽っていた。昼間だったらありえないが、誰も何も来ないバス停は、夜の大人の秘密基地。

そしたら見てすぐわかるコリアン女性に英語で話しかけられて、最初はやばい奴か私服警察かと思ったけど、煙草を一本求められた。紙巻はそれが最後だっただけに、私は葉巻の英語表現さえ忘れていて、リーフシガレットとか身振り手振りをするしかなかった。
全然伝わんなくてスマホでググって、
「ラストワン、エンドディスワンイズシガー」と言ったら、「ストロング?」と聞かれたけど、「オンリーマウス、no・・・」と自分の肺がある場所を叩くに止まった。

火をつけてあげて彼女が吸い始めてから、「テイストグッド?」と聞いたら、やっぱり「ストロング・・・」と言われ、
あなたの、その最後の紙巻煙草とこれを交換しないか、と提案された。

間接キスをしながら、バスが来ないバス停で隣に座って、喫煙し続けるワンレンロングのスタイルのいいコリアン女性からのレズビアンのお誘いか、それもいいか、と思い始めた矢先に、彼女が身の上話を始めた。

韓国にいるときから付き合い始めて、日本に一緒に来てからも、四年一緒に住み続けたアメリカ人男性と今夜別れたらしい。だから私は飲みまくって吸いまくりたいの、と話した。私も同じく、と二人の間にあるストロングゼロを指した。

そして、私は、素晴らしい夫と男の子と住んでいるけど、この世界には、素敵な人やものがありすぎるの、だから一人になりたくてここでこうしているの、と明かした。それでも、私は夫と息子を愛しているから、この生活を変えないだろう、とも。

ユアブレイブ、と言ってくれ、全ての人に色んなことが起きる、そして、今後きっとよくなる、と私の目をみてくれた。you too,という多分間違った英語を返して、because you are beauty,I think so.と伝えた、スペル合ってる?
そして、彼女がとっくに煙草を吸い終わっていたことに気がついた。

お互いに、泣くのを堪えたような笑顔で別れ、日本人の私は暫くもう二本、ストロングシガーを吸ってストロングゼロを飲みきってから立ち上がった。帰りに目をやると、コンビニ前のベンチを占領してた長電話男はもういなくなってた。

彼女の英語はとても上手だった、英語がわからない私でも理解できるほど、伝わるほどそして学べるほどに。一瞬で私の英語レベルをわかって、それでも一緒に過ごしてくれた。それで、彼女がそのアメリカ人とどんな年月を過ごしたか馳せてしまって、今は家に帰ってきて、少し泣きそう。


あの狂ったように暑かった今年の夏のお盆過ぎから、私のモラトリアムは息を吹き返してきて、こんな嘘みたいな物語めいたことが、しばしば起こる。

それは、実際、そういう時期なのか、単に、私がまた、私的な世界の中心に戻って来て、周囲をストーリー的に、あるいは慰藉する妄想のように、捉え始めたからはわからないけど。
それでも、出会いがある現実は捨てたものじゃない。

お互いの名前を知ることのないこんな一期一会を、一瞬を、これからも忘れずに愛おしんで行こうと思った。
そして、秋も夜中も更けているというのに、10代のmixi日記のように、忘れないうちにキャミソール一枚で今キーボードを叩いている。明日も起きなければならないのに。

それっぽいことを言いながら、愛すべき夫と息子が寝てる横で、一人居間で夜明かししながら、台所文学みたいなことを、ぼやいて呟き叫んでいる。

天下の台所と言われた歴史的な街の深夜の通りで綺麗な外人女と酒と煙草と愛と自意識に溺れながら起こった話。いま、居間で、もしくは家庭の中心で、天下の台所で、愛を叫ぶ。

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きれいな外国のひと、あなたが一番、ストロングな女だよ、
と思って、いまは微笑める。

あれから10日ちょっと経った。

それにしても、私こそをヤバいやつだとは疑わずに、煙草をねだる彼女、

謎に見る目のある女、

やっぱりCIAやらFBIだったのかしら。

まさかね。

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