【最近は、こんな感じ】 きっかけは地元友達。
上海で生活する女の子たちの日常って?
ファッション、メイク、食べもの、よく行くお店。あと、普段考えていること。悩んでいること。そして目標。
そんなあれこれを、同じ目線で聞いてみた。
@mie_shanghai
30 小条
「地方から出て来た子」には見えないのだ。
小条さんと、
その周辺の柳州出身の子たちは。
最新のカルチャーと上海の包容力を
さらっと味方にして、
いちばん自由な生活をしていて。
――長楽路のレコード屋さん『fRUITYSHOP』で会ったときから取材しようと思ってました。
小条 仕事場、変わってしまいましたが(笑)。
――ここはどんなお店なんですか?
小条 マルジェラやCDG、ヴィヴィアン・ウエストウッドなどを扱っている古着店です。3週間くらい前から働いてます。オーナーは日本に留学していた人。『Oto Space』という店名の『Oto』は、日本語で音楽の意味だそうです。
――古着店で働き始めたのは、洋服やファッションが好きだったからですか?
小条 お店のオーナーが友達の友達だったから。ファッションは、たくさんある好きなもののなかの一つです。好きなブランドとかもそんなにないし、参考にしている人もいません。でも、黒い服は好きかな。
――では、レコード店で働いていた理由は?
小条 あのお店も友達が働いていたから。でも、もともと音楽は好きでした。特にファンクやジャズが好き。クラブにもよく行きます。シティポップも好き。そのレコード屋さんの前は、外灘の近くのギャラリーで働いていました。展示の設営を手伝ったり、アーティストにインタビューしてSNSの公式アカウントのコンテンツを作成したり。
“外に出ない仕事ばかりだけど”
――えー、すごい。
小条 私も学生時代から絵を描いてるんです。いまも日々スケッチブックや水彩絵の具、色鉛筆とかを持ち歩いて絵を描いています。特に何を描こうというのはなくて、そのときの気分にまかせて描いている感じですが。
――働く場所選びがすごく理想的というか。
小条 そうですか(笑)。でも、ギャラリーではアーティストたちの創作の空間にいっしょにいることができたし、レコード店では毎日いい音楽を聴けた。古着店ではディスプレイやコーディネートを考えるのが楽しいです。あと、いまのお店はテラスがあるので、時間のあるときに庭のテーブルでタロットをやったり。
――タロット。
小条 はい。今後はタロット占いのお店でも働いてみたいなと思っています。全部、外に出ない仕事ですね(笑)。
――なぜタロット占いなんですか?
小条 私、キリスト教なんですが、密教とか宗教的なものに興味があるのと、あとは絵が好きなので描き手としてもカードの絵に惹かれます。タロットカードは、人を癒す力があると思うんです。たとえば失恋したとき、友達に悩みを話すよりもタロット占いをする方が心理的に助けられることが多い。ほかの人を助けられる占いだと思うからです。
――なるほどー。ところで、小条さんは柳州市出身ですよね? 上海に来たきっかけは何ですか?
小条 奕辰(※)です。同郷の友達も何人かいたから。
――奕辰は、「最初は上海に誰も知り合いがいなかった」って言っていた気がします。
小条 そうだと思います。彼が切り開いてくれた感じ。その後、私も含めて柳州の友達がどんどん上海に来て。いまは、それつながりで来た子は7人くらいかな。奕辰自体、もともと柳州に友達が多いんです。影響力もあって。
――なるほど。柳州市ってどんなところですか?
小条 養老(老後の生活)にはいい場所だと思います。山も水辺もあって、静かで。でも、帰りたくはないかも。
“上海はチャンスが多い街”
――上海のほうがいいですか?
小条 ファッションとか、クリエイティブな仕事で成功しようと思ったら柳州では難しいから。写真とかアートとか、そういうものに注目している人の数が全然違うから。柳州にいたら、毎日散歩、麻雀っていう感じ。でも、地元に残っている友達もいます。そういう子たちに「上海すごいよ。来たほうがいいよ。こんな老後の暮らしみたいな生活してないで」って言ってしまっていた時期があって。それはちょっと反省しています。住みたい場所は人それぞれですよね。幸せで楽しかったらそれでいい。
――でも、同年代の地元友達が上海にたくさんいるのは羨ましいです。
小条 みんなで飲みに行って、クラブ行って(笑)。いまは地元友達だけじゃなく、上海の友達もたくさんできました。このページで取材されていたMeikoや小凱も友達です。
――そうなんですね。お店同士が近いからですか?
小条 いや、あのエリアで働く前から友達です。みんな『MANUAL ESPRESSO BAR』(延慶路15号)に集うから、そこで。
――なるほどー。やっぱりあのカフェは拠点みたいな感じなんですね。いつも個性的な人が集っていて。
小条 あと、上海はやっぱりチャンスが多い街だと思います。学歴がなくても才能があればチャンスをつかめる。人を見るときに、学歴をフィルターにする人が少ない街だと思います。
――そうかもですね。では、いまは毎日すごく楽しい?
小条 それは、なるべく平常心を保つようにしています。すごく楽しいと、嫌なときにストレスを感じやすいから。なので、どちらかにブレないように日々平常を心がけています。
(取材日:2024年3月27日 撮影地:興国路『Oto Space』)
<彼女のお勧め>
『All club』(上海市徐匯区襄陽北路17号2楼北)
☆家から近くて、ハシゴにも便利な場所にあるクラブ。音楽のジャンルも多元的。まわりの友達もみんな好きなクラブなので、出かけるときに意見が食い違わないから。
『迷你椰・泰式大排檔』(上海市静安区華山路480号)
☆タイ料理がすごく好きだから。このお店、おいしい。なので、好きなレストランを聞かれたらいまはここかな。
text
萩原晶子
フリーライター。上海にて2007年頃よりガイドブック、ファッション誌、機内誌、ウェブなどの記事を手がけている。
カルチャー誌『Ketchup.』(上海と東京で販売)など。
ins:@hagiwara_akiko_
微博:Akiko06
photo
阿部ちづる
2006年にフォトグラファーとして独立。ファッション誌、ビューティー誌、週刊誌、写真誌等のグラビア、ポートレート写真を撮影。アイドルグループやグラビアモデルからのアーティスト写真撮影で指名されることも多く、女の子の新鮮な表情を切り取る。
佐々木希『ささきき』(集英社)、武田玲奈『Rena』(集英社)ほか多数。
ins:@chizuru0821
https://lov-able.com/photographer/chizuru-abe
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