マガジンのカバー画像

乳がんの妻 パニック障害の僕

18
運営しているクリエイター

記事一覧

#18 妻、精神科入院

#18 妻、精神科入院

友人の経営する精神病院に入院した妻。
とりあえずホッとしたというのが正直な気持ちでした。
なんせ、今まで見たこともないモンスターと化した妻の姿に戦々恐々でしたので。

入院した日も、点滴を倒すなど、ひと暴れしてたとのこと。

次の日もクルマで1時間かけ、妻が持ってきて欲しいという本や着替えを持って行ったのですが、コロナ禍のため本人に直接渡すことができないため、看護師さんに渡してもらうようにお願いす

もっとみる
#17 うつ病発症

#17 うつ病発症

膠原病内科の先生に相談したところ、同じ大学病院内の精神科へ紹介状を書いてもらえることになりました。
次の日、朝一番に妻を精神科へ連れて行くことに。

精神科の待合室は患者で溢れかえっていました。
ストレス社会の現代日本が反映されているようです。
朝の9時に行って待つこと7時間、妻はもちろん我々家族もぐったりしてしまいましたが、連れて帰ったところで我々家族には妻をどうしようもないので、診ていただくし

もっとみる
第三の試練

第三の試練

妻は何も食べなくなり、ますます弱ってきたので、匂いで食欲が出るかと思い、スパイスカレーを作ることにしました。

過換気症候群になってからエナジーゼリーしか食べなかった妻が、スパイスの香りに誘われてカレーに口をつけました。

とりあえず良かったと思いました。
ああ、やっと落ち着いた・・・と思いました。

しかし、それはまた、突然やってきました。

2021年8月10日
仕事から帰ってリビングに入った

もっとみる
#15 皮膚筋炎の治療の先に待っていたもの

#15 皮膚筋炎の治療の先に待っていたもの

乳がんの入院も長かったと思っていたのに、今度はその倍以上の1ヶ月以上の入院とのこと。

治療は大量のステロイドを服用して、徐々に減らしていくという治療のようです。
この入院もコロナ禍だったため面会禁止です。

妻の入院中は、また僕が子供たちの食事を作ったり、母に助けてもらったりしながら、なんとか5週間を乗り切りました。

退院することになった妻を病院に迎えに大学病院へ行くと、妻はステロイドの副作用

もっとみる
#14 妻と僕の新たなる闘い

#14 妻と僕の新たなる闘い

妻の背中の傷もようやく落ち着き始めてきたので、久しぶりにちょっと外へ出るか、ということで大阪城公園を散歩することにしました。

令和3年4月1日 空は晴れ渡り、とても天気の良い日でした。
桜の木を通して道にこぼれる陽の光が万華鏡のようで美しかったです。

肌が少しジリリとしてきましたので、30分ほど歩いて帰ることにしました。

そんなある日、、、

妻の顔が赤いことに気づいたのは、散歩に行って1ヶ

もっとみる
#13 シリコンで再建か、自家移植による再建か

#13 シリコンで再建か、自家移植による再建か

乳がん摘出をしたあと、乳房の再建をするのかしないのか、するなら同時にするのか後でするのか、どういう方法でするのか、を考えねばなりません。

過去に、乳がんの権威と言われるドクターによる自家移植乳房再建をしたという僕の友人ツナちゃんは、シリコンによる再建を勧めました。
再建した乳房の形が酷いものだったらしいのです。
その後ツナちゃんは、東京で乳房再建で有名は某クリニックにて、再度シリコンによる再建を

もっとみる
#11 乳房再建術

#11 乳房再建術

僕が大学附属病院の口腔外科に在籍していた頃、全身麻酔で目を覚ました患者さんが苦しそうにしてるのを見ていたので、妻にはそんな苦しい思いを何度もさせたくないというのが正直な気持ちでした。ゆえに同時再建を勧めたのですが、それでよかったのかどうかはわかりません。
人によって色々考え方も違うでしょうし。

また、術後に胸がぺたんこになってしまった現実を見ると、やはり女性は少なからずショックを受けると聞きます

もっとみる
#10 入院手続き

#10 入院手続き

詳しくは、このマガジンの第一話へとつながるのですが、結論を言ってしまえば、特別個室になってしまいました。
支払われる入院保険金をオーバーしますが、コロナ禍で一般個室は満床ですし、第一に妻がストレスなく病院生活送ることが大事ですので、個室が取れたことを良しとしました。

妻も僕も入院なんてしたことがなかったので、全てが初めてのことばかりで、選択が正しかったのかどうかなんてわかりません。
できる限りの

もっとみる
#9 弟に報告

#9 弟に報告

いつもは妻と二人で小学校の歯科健診へ行ってるのですが、妻が乳がんになってしまったので、弟に代わりをお願いすることにしました。

この日は、バイクでソロキャンプへ行こうと思って買った激安9,000円テントの組み立てテストを兼ねて、弟を誘って大阪近郊のキャンプ場にデイキャンプへ行き、そこで妻の病状について報告しました。

弟は大層驚いていましたが、健診の代診を快く引き受けてくれました。

頼もしい弟が

もっとみる
#8 乳腺外科受診

#8 乳腺外科受診

2020年10月某日

2020年10月、乳腺外科受診。
乳腺外科の先生から、死ぬかどうかではないという返事を聞いた時、心からホッとしました。
乳房の全摘になろうと、妻は生きてる。
それだけで有り難かったのです。

手術日はコロナの影響もあり、1ヶ月先の11月末とのことでしたが、急に進行するような種類の癌ではないので心配ないとのこと。
もうこうなると、主治医の先生を信じるだけです。

僕からの報告

もっとみる
#7 妻からの報告と家事

#7 妻からの報告と家事

まだ乳がんも繊維腫もできていなかった十数年前、「もし乳がんになって全摘出って言われても、とくに何も思わないわ。むしろ胸なんて邪魔なくらいやから、なくなったらスッキリするわ」と言っていたのだが、今回、実際に全摘出だと告げられた時に「えー・・・」と声をあげたというのを聞いて、あぁ、やはり今まであったものが無くなるというのは、本人が想像していたよりショックなのだなと思った。

「あの時、全摘でも気にせー

もっとみる
#6 新型コロナではなかったが・・・

#6 新型コロナではなかったが・・・



 僕は今回を含めて2度救急車で搬送していただいたことがあるが、毎回野次馬が出てくる。
 前回も今回も、救急車が到着する頃には症状がやや落ち着いてたりするのだが、「もう大丈夫ですから帰ってください」とも言えず、よく調べておいてもらうためにも救急車に乗る。やや朦朧としていても周囲の状況は把握できており、どこの家のオバハンが出てきたとかは覚えている。

 心は弱っていても脳はハッキリしてるので、薄れ

もっとみる
#5 待機中の不安

#5 待機中の不安



 2020年2月のダイヤモンドプリンセス号のニュースを見てるときは「乗ってる人ら、たいへんやな。金持ちじゃなくて良かったわー」と、まだまだ他人事だったのだが、4月に世界中の都市でロックダウンが始まったニュースを見ていたら、子どもの頃にみた小松左京原作の映画「復活の日」を思い出した。

 世界中でウィルス感染が拡がり、あらゆる生命体が絶滅していくという小松左京が1964年に書き下ろした小説を19

もっとみる