meteo

大学1年生。暇な時に書くことにした。

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最近の記事

違法散歩

たかが散歩で法律を犯すことは非常に難しい。犯罪者の思考においても、気分転換中に犯罪を犯すのはリスクを伴い、非合理的である。 だが、私はそれをしばしば行う。万引きや窃盗など、私に利がある仕方で犯罪を犯すわけではない。私はただ、不法侵入を散歩中に行う。散歩中に何軒不法侵入を行えるか、私は個人的に毎日競っている。 私は今日、最も難しいミッションに挑戦している。とはいっても趣味の範疇で、このミッションには何の意味もない。 今日のターゲットは港区に本社を構えるカノンという大企業で

    • ものづくりのサンタ

      その町のサンタはプレゼントを全て手作りしていた。 それがサンタのプライドだった。 子供が何を欲しがろうと、その年一番熱意を込めたテーマのプレゼントを全員に配った。 それは、その町の風習として根付いた。 サンタはそれを数百年続けた。 サンタが作れるものはかなりの数になった。 ただ、サンタは新しいものに挑戦することをやめなかった。 ある年、サンタは錬金術をテーマとした。 それはある意味、サンタの今までの集大成のようなテーマだった。 サンタの人生自体が、ものづくりであったからだ。

      • 月星人の月売り

        月、買いませんか? 見た目は普通の人間の、月星人と名乗る男から話しかけられた。 僕は暇だったのでふと窓から月を眺めていると、急にこの男が現れ、話しかけてきたのだ。 あなた今月見ましたよね?お月様は我々月星人のものなんです。見たなら見た分のお金を払ってください。 僕は論外だと思ったので、話は聞かないことにした。 それからその男は僕が月を見るたびに、お金を要求してきた。 僕が見るたびに現れる。 そのうちニュースでわかったのだが、この男のようなことを言ってくる人があちこちに現

        • ボディシートの使徒

          あらゆるものには使徒がいるらしい。 僕が今日使ったボディシートにもどうやら使徒というものがついていたようだ。 ボディシートの使徒が話しかけてきた。 使っていただきありがとうございます。私はボディシートの使徒です。天から命令を受けて、あなたに伝えにきました。あなたはボディシートを使いすぎなので、一週間ボディシート禁止となります。 僕は聞いてみた。 使ったらどうなるんですか? 使徒は答えた。 使うことができません。あなたはボディシートを見ることも感じることもできません。

        違法散歩

          猫の歴史の改竄者

          この世界の猫は人間に可愛がられ、癒しの象徴として掲げられるものである。 しかし、ただ一人ある男だけが、本当の猫の姿はそうではないことを知っていた。 猫は実は知性的で暴虐的な生き物であったことは、その男しか知らない。 その男は猫に嫌われていた。 道を歩き猫がいるとみなその男に威嚇する。 ある日男は一匹の威嚇してこない猫と出会う。 男はその猫に興味を抱き、後をついていくことにした。 猫は餌をやると甘えてきたため、家に連れ帰った。 これはどういうわけか確認するためだ。 猫はその男の

          猫の歴史の改竄者

          魂のおでかけ

          人間が寝てる間、意識は何を見ているか。 無論、夢である。 その時、魂はおでかけをしている。 超物質的な世界で、夢の国を散歩しているのである。 男はその日、疲れていた。 どれだけ現実逃避しようと、迫ってくる現実から逃げられずにいた。 だから眠りについた。 できるだけ忘れられるように、遠くの世界に行きたいと思った。 魂は体を抜け散歩を始めた。 夢の国は実に愉快である。 あらゆるものに秩序がなく、とんでもなくふざけている。 甘すぎるお菓子のようである。 魂はそこで、断片的に生きる。

          魂のおでかけ

          エコノミカルコメディー

          笑いが全てのエネルギーを生み出すようになった世界。 人々のお金は全て笑いにのみ支払われる。 自ら払うのではなく、笑ったら自動的に支払われる。 そんな世界で、絶対に笑うことのない男がいた。 彼は今まで一度もわらったことがない。 彼は世界一ケチな男と言われた。 しかし彼自身、笑いを我慢しているわけではなかった。 笑いたい時には笑いたかった。 けれど、笑いたいと思った時に、自分の貯金と未来のことを考えてしまい、緊張感で笑えなくなる。 彼はそんな男だった。 今日もまた笑いのショーがあ

          エコノミカルコメディー

          三つの橋

          この世界には大人になるために渡らなければならない三つの橋がある。 一つが欲望の橋。 二つ目が恐怖の橋。 三つ目が論理と感覚の橋。 少年は今大人になるためにこれらの橋を渡り始める。 少年は欲望の橋を渡り始めた。 ところどころに少年の好きなお菓子が置いてある。 少年はそれを取って食べようと思ったが、そこには大きな穴があり、取りに行くと落ちてしまいそうである。 少年は気持ちを何とか抑え、橋を渡りきった。 次は恐怖の橋だ。 辺りは真っ暗で、悲鳴や慟哭が聞こえる。 門番にこの橋はまっす

          三つの橋

          秩序の蜘蛛

          その蜘蛛は秩序が乱れたところに現れ、糸を使って治していく。 蜘蛛は今日、二箇所に現れた。 一つは国家間の交渉の場。 一つの失言と二つの暗略によって、世界の秩序は今にも壊れかかっていた。 そこに秩序の蜘蛛が現れ、糸を使って一つの国の首相を操り、秩序をもたらした。 二つ目は、出産の場。 一人の将来の英雄が生まれるという場で、人員不足により、出産は難航していた。 そこに秩序の蜘蛛が現れ、綺麗に赤ん坊を出した。 そして、今日最後の仕事が蜘蛛の前に現れた。 秩序の蜘蛛の家族が喧嘩を始め

          秩序の蜘蛛

          神様の休日

          神様は今日は休日。 神様はヒマをこいていた。 することもない。 娯楽も全て飽きてしまった。 とりあえず、トイレに小便をしに行った。 地球では、大雨が降った。 実にヒマである。 神様はくしゃみをした。 鼻がむずむずしたからだ。 地球では台風が起こった。 神様はだんだんとイライラしてきた。 神様はしきりに貧乏ゆすりをした。 ずっと続けた。 地球では地震が起こっていた。 台風に地震、地球では大混乱である。 神様を暇させてはいけない。 地球にいるものは、手紙でも送ったらどうだろう。

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          ケーキの舞

          ある市民体育館でケーキの舞というものが開催されているらしいことを聞いた。 なんでも、ケーキを取り囲んでみんなで踊るらしい。 参加するつもりはなかったが、怖いもの見たさで見に行くことにした。 そこでは、老若男女がケーキの準備をしていた。 そのケーキは、今まで見たことがないほど大きく、お城の形をしていた。 しばらくして準備が整うと、人々はケーキを取り囲んで音楽をかけた。 聞いたこともないような不気味な曲だった。 なにやら不気味な呪文を唱え、ケーキの周りを踊り出した。 踊り中に一人

          ケーキの舞

          たくさん見えるもの

          『パパー、たくさんあるね』 よく娘は一つしかないものを見て、たくさんあると言う。 僕は別に子供特有の不思議な解釈であるだろうと考えている。 『パパー、公園に行きたい』 今日は土曜日だが、娘が外で遊びたいと駄々をこねてきた。 僕は今日はゲームをしたい気分だったため、断ろうとすると、妻からの怒りの視線を感じた。 視線を感じたものの、本当に怒っているか確認することはない。 僕は人の顔をじっくりと見るのは苦手だったからだ。 だからいつも人と話す時は、他のところを見つつ話している。

          たくさん見えるもの

          クラウドセーターを探せ

          気分が重くなった人がみな救われると言う、伝説のクラウドセーターを探している。 そのセーターは、着ると雲のような軽い気分になると言う。 引きこもりがちな僕の重い気分を変えるべく、僕はクラウドセーターを探しに旅に出た。 あらゆるところを探した。 井戸の中や、土管の中、飛行機の荷物入れまで入念にチェックした。 しかしどこにもない。 僕はその旅の途中で、他にクラウドセーターを探している少年を見つけた。 彼もまた、重苦しい気分を漂わせていた。 彼は他にも探している集団がいると言っていた

          クラウドセーターを探せ

          リ・エボリューション

          千年後の人間の姿を見たことがあるか 僕が読んでいる本はこの一文から始まった。 僕はその本を初めから読んで、人間の今までの進化を辿っていった。 そして、2022年を超えた先、新たな人間の進化が始まることがわかった。 僕は読んでいてこの本はただの本じゃないことに気がついた。 この本を読んで僕は明確に原始時代から中世、近世、現代まで経験をした。 まるでその場にいたかのような臨場感で。 そして今からのページ、これは2022年以降である。 僕はページをめくった。 周りの人はずっと電子機

          リ・エボリューション

          ツメ磨き

          少年は爪をしっかり磨けと幼い頃から言われてきた。 少年の家庭は狩りをする一家だった。 狩りは素手で行われる。 それが、より己を鍛える術であるし、最も腐らない方法だった。 そのため、少年は狩りをするために爪を伸ばし、磨かなければならなかった。 少年は狩りが苦手だったが、それはさらなる爪を磨くことによって解決できると思っていた。 親に聞いても、ツメを磨けとしか言われなかったからだ。 少年は動物を殺したことがなかった。 狩の家に生まれ、ずっと狩りを行ってきたのにも関わらず、殺したこ

          ツメ磨き

          季節時計

          この世界には、季節を司る時計があると言われている。 その時計には設定された季節ごとの変わり目の日付と時間があり、その時間になれば季節が変わる。 これはこの世界の見えないどこかにあり、誰も知らない秩序とともに隠されたものだった。 ある日、夏物の洋服が売れ残ってしまった商人が路上で販売していた。 季節は秋だった。 彼は季節時計のことを知っていた。 しかし入手方法はわからず、特に欲しいとも思っていなかった。 商人は売れ残った夏物の服は来年まで待って来年売ればいいと考えていた。 彼は

          季節時計