見出し画像

猫の歴史の改竄者

この世界の猫は人間に可愛がられ、癒しの象徴として掲げられるものである。
しかし、ただ一人ある男だけが、本当の猫の姿はそうではないことを知っていた。
猫は実は知性的で暴虐的な生き物であったことは、その男しか知らない。
その男は猫に嫌われていた。
道を歩き猫がいるとみなその男に威嚇する。
ある日男は一匹の威嚇してこない猫と出会う。
男はその猫に興味を抱き、後をついていくことにした。
猫は餌をやると甘えてきたため、家に連れ帰った。
これはどういうわけか確認するためだ。
猫はその男のことを知っていた。
そして、家にいる時、男の寝ている時を狙って殺そうとした。
猫は猫集団のスパイだった。
男は猫が寝首をかこうとしたことに気が付き、止めた。
しかし、男に猫は殺せなかった。
男は猫の歴史の改竄の仕事のために、今まで猫に愛されることはなかったが、初めて仲良くなった猫だったからだ。
大昔の人間同士の戦争の敗者が猫に変えられたという歴史を皆の記憶から消したのが男であった。
猫はそれから何度も男を殺そうとしたが、失敗に終わった。
男と猫は次第に打ち解けた。
長い歴史の雪解けが起こっている。

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?