クラウドセーターを探せ
気分が重くなった人がみな救われると言う、伝説のクラウドセーターを探している。
そのセーターは、着ると雲のような軽い気分になると言う。
引きこもりがちな僕の重い気分を変えるべく、僕はクラウドセーターを探しに旅に出た。
あらゆるところを探した。
井戸の中や、土管の中、飛行機の荷物入れまで入念にチェックした。
しかしどこにもない。
僕はその旅の途中で、他にクラウドセーターを探している少年を見つけた。
彼もまた、重苦しい気分を漂わせていた。
彼は他にも探している集団がいると言っていた。
僕らの人生にはこれしかない。
これを見つけるしかない。
僕はライバルである彼らと別れて再び探し始めた。
探しているうちに、熱が入ってきた。
熱が入ることのなかった僕の日々に熱が入った。
他のライバルたちも同じ気分だろう。
僕は道を駆け出した。
その内に足が浮き、空の階段を登り出した。
しばらくして雲の上に着いた。
雲の上には予想通りクラウドセーターがあった。
これを着た人は悩みを全て消せる。
しかし着た一人だけだ。
僕はそれを破り捨てた。
もう大丈夫なのだ。
目標を見つける楽しさを知った。
他の人もそうだろう。
目標を得て熱が入る楽しさを知ったから、もうこのセーターはいらないのだ。
もう僕らは普通のセーターで大丈夫だ。
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