見出し画像

月星人の月売り

月、買いませんか?
見た目は普通の人間の、月星人と名乗る男から話しかけられた。
僕は暇だったのでふと窓から月を眺めていると、急にこの男が現れ、話しかけてきたのだ。

あなた今月見ましたよね?お月様は我々月星人のものなんです。見たなら見た分のお金を払ってください。

僕は論外だと思ったので、話は聞かないことにした。

それからその男は僕が月を見るたびに、お金を要求してきた。
僕が見るたびに現れる。
そのうちニュースでわかったのだが、この男のようなことを言ってくる人があちこちに現れているらしい。
そしてそのさらに後にニュースで言っていたことによると、この国の総資産が明らかに減っているらしい。
月星人とこの件の関係を調べた学者によれば、月星人とは確かに存在していて、月を見ることに専売特許的なものを設けていると話した。
この国の人々は、月見を封じられた。
僕はそれでも月を見続けることにした。
総資産など関係ない。
月星人が現れようが、問題ない。
月は確かに我々の文化に根付いていて、この地球から見える月は、僕らの方が遥か昔から眺め続けていたはずだ。
月は僕らのものでもあるのだ。

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?