#エッセイ
「いいよ」という言葉をわたしは使わない。
◆「人に聞きなさい」幼い頃、わたしは自宅でもどこでも、
「トイレに行ってもいい?」
と両親に尋ねていた。
当然「行くな」だなんて言われるはずがないのだけど、
「もちろん、どうぞ」
と言われてから、わたしはタタタッと廊下を駆ける。
勝手な憶測ではあるけれど、これは、うんと小さい頃から
「わからないことがあったら、人に聞きなさい。みんなやさしいから」
というのが、厳しさのカケラもないわが家の、
唯一
別れるとき、さくらは流れた
冬は、リビングに駆け込むと、いつも石油ストーブのムッとするような独特の香りが漂っていていて、わたしはこれが特別に好きだった。
実家で過ごしていた頃の話だ。
母は働きに出てはおらず、1日のほとんどをこのリビングで過ごしていた。
娘のわたしが帰ると、必ず玄関まで迎えに来てくれる。
「寒い!寒い!!」
と慌てて靴を脱ぐわたしに、
「おかえり。お部屋あったかいよ」
といつもリビングの扉を開けて招き入れて
ちょっと、お暇いただきます。
まだまだ、どうにもすがすがしくはないけれど、
それでもどうにか2021年の幕は開いて、また新しい1年始まって。
今年は、うんといい1年になるといいな。
そんな中、近しいひとにはお伝えしていたのですが、
実はいま、わたしは仕事をしていません。
それは、例年の「お正月休み」ということではもちろんなくて、
職場では「休職」という扱いにしてもらっています。
「復帰」ということを前提にもらっているお休み