感情知性の高め方：感情に責任を持つ生き

笠原彰　とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員　プロメンタルコーチ　作新学院大学教授

2024年1月29日 09:52

感情は私たちの日常生活に大きな影響を及ぼす要素です。自分の感情を認識し、それに責任を持つことは、単に心の強さを示すだけでなく、生活の質を大きく左右するスキルです。感情を無視したり、適切に扱わないと、メンタルヘルス、人間関係、さらには生活全体に悪影響が及びます。

たとえ感情を無視しようとしても、感情は消えることはありません。感情が無視されると、内部で悪化し、不適切なタイミングや形で現れることがあります。無視された感情はストレスや不安、怒りへと変わり、心の重荷となります。

感情を抑圧することは、人間関係にも悪影響を及ぼすことがあります。抑え込んだ感情は、受動攻撃的な行動や突然の爆発を引き起こす可能性があります。さらに、感情の長期的な抑圧は身体的な健康問題にもつながることが研究で明らかにされています。

状況に対する外的刺激と内的反応の間には、短いながらも重要な時間が存在します。この瞬間にどのような選択をするかは、感情的知性に深く根ざしています。

対立や衝突の瞬間に問題に取り組む選択は、建設的なマインドセットを示します。これは問題の理解、解決策の検討、オープンなコミュニケーションを伴います。
逆に、状況を避ける選択は、離脱や撤退を意味し、恐怖や不快感、衝突回避の欲求に基づいています。これは一時的な安心を提供するかもしれませんが、根本的な問題には対処せず、成長の機会を逃します。
問題に対して攻撃的なアプローチを選ぶと、人間関係を損ない、問題解決を妨げ、対立をエスカレートさせる可能性があります。

感情に責任を持つことは、自分の感情を理解し、制御することで、状況に効果的に対処し、健全な人間関係を築くことを可能にします。

以下は感情に責任を持つための具体的な方法です。

自己のナラティブ（物語）を吟味する
情報が不十分なとき、私たちは独自の物語を作りますが、これが現実を正確に反映しているとは限りません。自分の仮定の妥当性を疑い、他の可能性を検討することは、ネガティブな感情を緩和する鍵です。
身体感覚に注目する感情は身体にも影響を及ぼします。
激しい感情が生じたときは、筋肉の緊張や心拍の増加などに注目しましょう。身体的なサインに気をつけることで、反射的な反応を避け、落ち着いて対処できます。

感情に責任を持つことは、困難な状況に対処し、人間関係を築く上で非常に重要です。感情に責任を持つことで、感情的知性を高め、より充実した人生を送ることができます。

笠原彰心理学的分析：

感情に責任を持つことは、感情的知性（EQ）の高まりと密接に関連しています。EQは自己認識、自己調節、社会的スキル、共感、動機づけといった要素を含んでおり、これらはすべて感情の健全な管理と深く結びついています。

自己認識: 感情に責任を持つ最初のステップは、自己の感情を理解することです。これは、自分自身の感情がどのように影響を受け、どのように反応するかを知ることを意味します。ナラティブを吟味するプロセスは、この自己認識の一環であり、現実と誤解の間のギャップを埋めるのに役立ちます。
自己調節: 感情を認識した後、それらを適切に管理することが重要です。これは、感情を制御し、適切な時に適切な方法で表現する能力を指します。例えば、身体感覚に注意を払うことは、感情の自己調節に役立ちます。これにより、過度な感情的反応を避け、冷静な判断を下すことが可能になります。
社会的スキル: 感情に責任を持つことは、人間関係の質を向上させます。感情を適切に管理することで、他人とのコミュニケーションがスムーズになり、対人関係における衝突を減少させることができます。
共感: 他人の感情を理解し、共感する能力も、EQの重要な側面です。自己の感情を理解し管理することで、他者の感情に敏感になり、より共感的な反応を示すことが可能になります。
動機づけ: 感情に責任を持つことは、個人的な目標に向けた動機づけを高めることにも繋がります。感情的に安定していると、困難に直面しても落ち着いて対処し、目標達成に向けて前進しやすくなります。

笠原彰プロフィール：

作新学院大学メンタルトレーニング教授
とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員
プロメンタルコーチ
自己肯定感養成プロコーチ
ライフバランスアーティスト
健康運動指導士
メンタルヘルスファーストエイダー
メンタルヘルス運動指導員

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