私の安全

感情を動かさないことによって
保たれてきた私の安全の為に
心は遮断された
思い出してはいけない場面は
記憶から抹殺してきた
叩き割った記憶を映す鏡の
小さな欠片に
見てはいけない昔が映っている
たった一つの粉々の
粉の一場面が
命とりになりかねないほどの
闇に沈む思考
今の私には
何もかも見えてしまう
解ってしまう
何事にも揺り動かされずにきた
私の安全が危ういことに
たった今確信した
それが喜怒哀楽の
始まった原因でもある
感情は消えない
手品みたいに扉の裏にしまって
隠してただけで
表の扉には
安全な私が立っていただけのこと

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