8800円のスキル
近頃はフィットネスブームだ。ブームというかフィットネスや運動というものが、24時間制のジムやInstagramなどの台頭によって浸透してきたようだ。
運動することは何より心身の健康に良いので、どんどんやるべきだろう。
かくいう私も24時間制のジムの会員だ。適度な運動をいつも楽しませてもらっている。
私の行くジムには資格を持ったトレーナーさんが出入りしており、有料ではあるがパーソナルトレーニングを受けることができる。ジムの壁には在籍するトレーナーの一覧が張り出されており、それぞれの内容や料金が記載されている。
なんとなくその一覧を見ていた時に、ふと女性トレーナーの案内が目に飛び込んできた。一覧の中では唯一の女性トレーナーだ。確かにパーソナルトレーニングでは身体に触れる場面もあるため、女性客が男性トレーナーのパーソナルを受けるのは抵抗がある場合もある。女性×女性ならばその心配は無い。
そんなことを考えながら見ていると、その女性トレーナーの料金は1時間8800円だと記載されていた。私はとてもビックリした。この料金は他の男性トレーナーたちの1時間あたりの料金よりも高額だ。なかなか強気な値段設定だなと感じた。
それと同時に、1時間で8800円の設定ができるその自信やスキルを妬んでしまった。8800円の設定ができるのはそのトレーナーが8800円分のパーソナルトレーニングができると自負しているからだ。それは7700円ではダメで、8700円でもダメなのだ。
そのパーソナルトレーニングには8800円と同等の価値があるのだ。
単純にパーソナルトレーニングを受けるのは高いなと思ったが、それ以上に「自分には1時間で8800円設定できるスキルや知識があるのか?」と思った。私にはそもそも1時間で3000円をもらう能力すらないだろう。私の能力ではせいぜい良くて時給1500円程度だ。
そう考えると、「自分にはあまり価値やスキルがないなぁ」と思ってしまった。確かに労働力として人並みの仕事はできてはいるだろうが、それは決して時給8800円を取れる能力やパフォーマンスではない。悲観的な意味ではないが、特に人の役に立てるスキルや感動的な体験を与えることはできないということだ。
お金が全てではないが、お金は実際かなり、その人のスキルやパフォーマンス、モノの価値を示している。高額な価格であるということはそれだけ還元するモノや与える感動がそこにはあるということだ。それはストリートミュージシャンの演奏がタダで見られて、有名アーティストにライブチケットが何万円もすることを想像すればわかると思う。
もちろんハッタリで8800円を設定することは誰にでも可能だ。だが客にはすぐにバレるだろう。ハッタリで8800円を取れたとしても、顧客やリピーター、支持は得られない。その8800円は自信に満ち溢れた8800円なのである。
そう考えるとその女性トレーナーはスゴい。きっととても勉強して、努力されたのだろう。私も1時間8800円で売れるくらいのスキルや知識を身に付けたいところだ。
8800円で売れるか?
頂けたサポートは書籍代にさせていただきます( ^^)