延賀 海輝

日本丸天醤油株式会社という兵庫県の古い会社の社長です。色んな意味で開かれた会社になるべ…

延賀 海輝

日本丸天醤油株式会社という兵庫県の古い会社の社長です。色んな意味で開かれた会社になるべく、思ったことや考えていることを書いていくことにしました。気軽に読めるものを目指します。

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食品業の片隅からみた紅麹の一件

今回は昨今世間を騒がせている紅麹の一件について私見を述べたいと思います。但し、政府や大阪市が進めている原因追求に意見するつもりは一切ありません。食品製造業を担う一つの会社としての思いの様なものを述べます。 私達は醤油や調味料を造る事を生業としています。乳製品には乳製品の、生鮮品には生鮮品の、そしてサプリメントにはサプリメント、それぞれの技術的な難しさや規制、ノウハウがあるわけです。食品市場は非常に広大で、専門性も分かれていますので、よそから偉そうに物言うことは失礼であるとさえ

    • 物語を紡ぐ作業

      最近映画を見たり小説を読むように意識しはじめたことについて。 元々文章を読んだり書いたりするのは嫌いではない 私は子供の頃からそんなに本は嫌いではありませんでした。凄く本を読んだ時期と、ホントにマンガしか読んでなかった時期があり、ムラッ気も凄いんですが、基本的に読むことも書くことも苦ではありません。 ところが、社会人になってからは仕事柄もあって、報道記事や専門のレポートにばかり目を通すことが多く、手に取る書籍も新書や専門書に偏りがちでした。読みたいから読むというよりは、必

      • 食料事情と国際ニュースのあれこれ

        醤油屋をやっておりますと、どうしても海外のことが気になります。食品製造に携わらない方々はあまり海外のニュースなどに興味は無いかもしれませんが、ここ10年くらいで様相が変わってきた様に思いますので、皆様見た方がいいですよというお話です。 醤油は大体輸入材料で出来ている 醤油の原料は主に大豆と小麦と塩と水と麹です。塩と水は国内で何とかなりますが、少量生産の蔵でなければ大豆と小麦は国産ではどうにもなりません。特に、醤油にとって油は不純物ですので(醤油の「油」とはとろりとした液体

        • 客を育てる

          書きたくなるテーマがなかなか見つからず更新が遅れました。(言訳 さて、世の中には「お客さんを育てないといけない業界」というものがあります。なんだか上から目線の様に聞こえるかもしれませんが、「知ってもらって良さを理解させる努力をしないとハマってもらえない、ご新規さんに来てもらえない」ということです。おお、文章力が無くて更に上から目線に。笑 もう少し柔軟な表現にしましょう。「普通に生活していると接点がなかなかない業界」ということです。 良く言われる業界が「歌舞伎」です。普通に

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          ストーリーが分からない?

          先日ある話がちょっとTwitter(現X)でバズりました。 という趣旨のものでした。インターネット仕草というか、インターネットに健全に相対する基本は、こういう話が出た時に「ホントにいるのかそんな人?」という風に疑ってかかることです。センセーショナルな内容だし、「出来ない人を下に見る」というのは人間だれしも気持ちよく共感できるので悪魔の味なんですよね。でもよく見るとこの人の身近な話であって、一般化(どこでも起きている)できる根拠も特に無いわけです。勿論この主に悪意が無い可能性

          ストーリーが分からない?

          個人の防災 新たな課題

          皆さまあけましておめでとうございます。 本年も引き続き駄文を綴っていきたいと思います。 今年は元旦から地震に襲われるという惨事でスタートしました。被災された皆様にはお見舞いを申し上げるとともに、1人でも多くの方が助かり、1日でも早く通常の生活を取り戻される事をお祈りしております。 このnoteでは以前から個人で災害に備えることの重要性を述べてきましたが、今回の災害で漏れ伝わってくる情報を見聞きするに、もうちょっと前提を考え直さねばならないかもしれないという思いに至りました

          個人の防災 新たな課題

          何かと不安定な昨今

          なんとか年内もう一回更新できそうなので、振り返りと来年に向けたお話なんかをしたいと思います。 やたらと不安定だった2023年 コロナ(2020)からこっちずっとそうなんですが、2023年も落ち着かない年だったというのが私の記憶です。 大きなところから行くと、海外を見ればウクライナでは戦争が続行され、今度はパレスチナで戦争がはじまりました。干ばつでオレンジは無くなり(オレンジジュース売ってないでしょ?)、オリーブも大不作になり、インドはコメの輸出を停止し、エネルギー価格が高

          何かと不安定な昨今

          食品と衛生

          このネタは以前もここで触れた気がしますが、またぞろ最近「デスマフィン」だのなんだのという話が出ておりますので、あの事件の原因追求ではなく、食品業界のすみっこで禄を食んでいる人間として、食品と衛生を取り巻くあれこれに触れて読者のみなさんの役に立つ話をしたいと思います。 衛生とは 「食品衛生」の「衛生」とは何か。語源を検索した範囲でまとめると、どうやら中国から伝わった書物に登場しているようで、文字通り「命をまもる(衛る)」という意味で使われていたものを、明治時代に英語のhyg

          東京と地方

          東京と地方ってよく比べられますが、実際の所何がどう違うんでしょうか? 都会?便利?物価が高い?でもどちらにも住んでる人は居るんだし、親戚がいるという人も居るでしょう。 東京と地方って隔絶してて、東京って特別な場所なんでしょうか?というお話です。 首都東京~住宅事情編~ 東京と言えば世界に知られる日本の首都です。2200㎢ほどの土地に1400万人が住んでいます。東京都23区に限れば630㎢ほどの土地に977万人が住んでいます。もう少し広げて東京への通勤通学者が多い埼玉千葉神

          一生モノの出会い~追悼元上司~

          先日、前職で大変お世話になった上司が亡くなったという連絡を受けました。お歳もお歳でしたし、癌も一度患っていたので、全く考えないことも無かったのですが、たまに来るメッセージは元気そうだったので油断していました。会いに行っておくべきだったと後悔することしきりです。 前職を辞してもう14年になりますが、今もって「あの上司で良かった」と思えるし、大切なことを沢山教わったと思える、そんな第二の父と呼んでも差し支えない一生モノの出会いでした。 いや、どちらかというとあまり子供に関心が

          一生モノの出会い~追悼元上司~

          子供は多くの大人と接する方が良い?

          もうどこで見たのか忘れてしまったので引用出来ないのだけれど、先日ネットのどっかである人が「自分の経験から言って子供は色んな大人と接した方が良い。昔は祖父母が近くに居たけど今はそうでは無いので難しい。別に面倒を見てもらうとかではなく、単に世の中色んな考え方の人が居る。親の意見だけが全てではないと知ることに意味がある」という様なことを言っていて、「なるほどなー」と思いました。 もしかしたらこの方は「親の考えに縛られて身動きがとれなくなってしまう」ことを防ぎたい、いわゆる「毒親」の

          子供は多くの大人と接する方が良い?

          四十にして惑わず……ず?

          「四十にして惑わず」とは時に目にする一節ですが、これをして数え歳の40歳(一般的な39歳)を「不惑(ふわく)」と言ったりします。語源は孔子の論語で、「子曰く、吾十有五にして学に志す、三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳順う、七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず(のりをこえず)」という節に依拠します。その意味は「先生は仰る。私は15歳にして学問を志し、30歳にして学によって自立し、40歳にして迷うことが無くなった。50歳にして天より与えら

          四十にして惑わず……ず?

          節約術とは

          今日ラジオでたまたま節約の話になったので、また独断と偏見に基づく妙な持論を展開してみたいと思います。 何のために節約するのか まずそもそも論ですが、何のために節約するのかを考えるべきです。「いやぁ最近収入より支出の方が多くなっちゃって」というのであれば早急にしないといけませんよね。他方、「最近物価も高いしなんとなく」という方も多いのではないでしょうか? 「子供がこれから中学校にあがるので部活とか塾とか色々物要りで」とか「親が入院したので看病にもお金がかかるし」とかそういう

          節約術とは

          むき出しの感情

          ちょっとバタバタするとすぐ更新が遅れます…。 3月のライオン さて今回は大好きなコミックの紹介から。 ご存じの方も多いかもしれませんが、「3月のライオン」という作品があります。 作者は櫻井翔さんと蒼井優さんでドラマ化もされた「ハチミツとクローバー」という作品でも有名な羽海野チカ先生です。私これまでの人生で1万冊はマンガ読んで来てますが、羽海野先生の作品はポジティブな感情もネガティブな感情も、感情という感情が、心の上に抜き身の刀を置かれるようにヒタリと、それでいて怒涛の様

          むき出しの感情

          せっかくお盆なので故人のことでも

          盆と言えば旅行に行ったり子供を遊びに連れて行ったりと子育て世代は忙しかったりしますし、普段激務の方は静養されることもあるでしょう。毎年決まって帰省されるご家族もあるかもしれません。 とはいえ本来盆は仏教イベントで、正式名の盂蘭盆会(うらぼんえ)とか起源とか調べだすと結構面白かったりするのですが、それは今回置いておいておきます。日本では先祖の霊をまつる儀式です。胡瓜とナスで馬と牛を作ったりしますよね。あれもご先祖に速くやってきてゆっくり帰ってほしいという象徴です。 そんなこと

          せっかくお盆なので故人のことでも

          スズキ(鱸)をいかに美味しく食べてもらうか

          KissFM朝の番組シャカリキ内の「はいこちらひょうご食材丸天開発室」のコーナー、今回はテーマがスズキでした。先日無事メニュー提案の様子が放送されましたので、裏側を少しお話します。 「じゃなくてもいい魚」スズキ 今回兵庫県農水産部さんから指定の食材は魚のスズキ(鱸)でした。 「ブリと同じく出世魚、有名な料理は「洗い」」くらいしか私も知らない魚で、周囲に聞いても「あー、結婚式で出て来たかも」くらいしか話題になりませんでした。そう、「一般家庭ではほとんど食べない魚」というこ

          スズキ(鱸)をいかに美味しく食べてもらうか