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個人の防災 新たな課題

皆さまあけましておめでとうございます。
本年も引き続き駄文を綴っていきたいと思います。

今年は元旦から地震に襲われるという惨事でスタートしました。被災された皆様にはお見舞いを申し上げるとともに、1人でも多くの方が助かり、1日でも早く通常の生活を取り戻される事をお祈りしております。

このnoteでは以前から個人で災害に備えることの重要性を述べてきましたが、今回の災害で漏れ伝わってくる情報を見聞きするに、もうちょっと前提を考え直さねばならないかもしれないという思いに至りました。情報は1月7日時点ですので、間違いがある可能性はご承知いただいて、以下まとめます。

地域丸ごと孤立した

まずは3日ごろの能登半島の道路の状況をご覧ください。

朝日新聞より抜粋

いくらかの幹線は通行可能ですが、各町につながる道はかなり損傷しており、これ以外の細い道は把握も出来ていません。実は東北沖地震の際には、発生から24時間以内に高速道路は復旧しています。もちろんそこには多大なる技術者技能者たちの努力があったわけですが、今回は3日経っても被害状況すら全ては把握しきれていない様子です。応援でかけつけた医療部隊もどうやって地域の医療施設に行けばよいのか、何をもっていけばよいのか分からない状況であるとの報道もあります。(6日現在)

半島なのだから海からはどうか、と誰もが思いますが、実は今回の地震では半島北部の海岸線は隆起してしまい、港湾施設は台無し。他の港湾も被害を受けている所があるようです。こうなっては接岸できません。

ということで、しかたないのでホバークラフトを使う判断をしたようですが、残念ながら物資の搬入能力が限られてしまいます。

能登半島の多くの町(金沢側の南半分は大丈夫です。観光もできます。)が孤立してしまっているということです。これが半島ゆえに起きた、半島すぐ北の断層が震源であったために起きた、とすることも出来るかもしれませんが、「道路が限られる内陸地の田舎でも起きるのではないか」「100万人単位の大都市が被災した場合も輸送能力が制限されたら同じ状況になるのではないか」という懸念が私の中に残りました。

避難所生活

各自治体はその地域に合わせて災害時の避難所を定め、そこで3日間は過ごせるように食料や毛布を備蓄しています(国の指示による)。また今回も山崎パンさんが大活躍だったようですが、政府からの依頼を受けて製パン業、トラック協会が協力して出来るだけ迅速に食料を追加配布できる組織的な仕組みもあります。しかしながら、全人口分まで用意できているかは分かりませんし、避難所生活というものは想像以上に過酷なものです。
プライバシーはもちろん制限され、共用なのでトイレは不衛生になりがち、風呂はありませんし、集団生活なので1週間も経てば風邪など感染症が広がったりします。今回やこれまでの二つの震災の様に冬場に起きれば寒さとも戦わねばなりません。やはり、自宅が全半壊しない限りは自宅で過ごした方が明らかに楽です。しかし自宅の損壊が軽微だったとしても、食べ物や水が無ければ避難所を頼らねばならなくなります。

当然、「電気・ガス・水道が断たれた」という前提で自宅で過ごすのならば、そのような備えが必要です。食料・水・燃料(カセットコンロ)・簡易トイレといった物資になりますが、詳しくは東京都が作ったこちらをご覧ください。電子版なら無料です。よくできています。

さて問題は「何日分を目安に考えるか」です。一般的に自治体が呼びかけているのは「最低3日、出来れば7日」です。ところが、今回の能登半島北部では7日目を迎えようとしていますが、未だに十分な支援が入っていない地域があります。このこと自体も大変ですが、私たちも備えの日数を見直さねばなりません。
水だけ考えてみても1人1日3リットルが必要です。4人家族二週間を想定すると4×3×14=168リットル必要になります。500mlペットボトルのケースで24本入り12リットルですから、14ケース必要になります。10日分だとしても10ケースです。これに食料が必要ですから、カップ麺やパスタやレトルトカレーやパスタソース、レンチンご飯・米、缶詰、カロリーメイト、こんなところで168食用意しなければなりません。10日ないしは1日2食にしても120食ほど用意が必要です。仕舞っておく場所も含めて、このことは深刻に考えねばなりません。これはもはや防災リュック一つ二つで解決する問題ではありません。

家を守れるか

備蓄をしても自宅が倒壊してしまっては何にもならないわけですが、今回の地震では木造家屋もかなりやられているようです。

詳しくはこの記事を読んでいただきたいところですが、ポイントとしては①旧耐震基準は安全を担保しない。ということと②群発地震の場合は耐久性が下がっていく。ということです。耐震基準というのは法律で設計に組み込むべく定められた地震に耐える設計のことです。1980年に改定された基準、95年の阪神大震災を経て2000年に見直された基準があります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください(他にも開設サイトはたくさんあります)、2000年に改定された後その基準が試されたのが熊本地震でした。その時の調査結果がこちら。

上記サイトから抜粋

これくらい違うんですね。1980年以前の建造物では生き残るのも半々です。ですから、住んでいる家がどういう基準なのか、古いものなら耐震工事を検討すべきかもしれません。
さらに、能登半島ではここ2~3年の度重なる地震で木造住宅はだいぶ傷んでいたのではないかと言われています。基準を満たしていても、何回も揺らされると本震で本来の機能を果たせない可能性があるという事です。今後の調査結果が待たれます。
とはいえ、今回の地震では「リフォームした場所は比較的被害がマシだった」という話もあり、身を守るためにはどうすべきか、色々と考えさせられるところです。お金もかかる話なのでそう簡単な話ではないですが、考えてみる価値はありそうです。

とにかくできる所から手を付けよう

地震が元旦だったこともあり、帰省中だった妹を散々煽ったところ、帰宅後「防災バッグ点検したら食料全部賞味期限切ってた( ;∀;)」という報告が来ました。完璧は難しいですが、あの時やっておけばよかった、あの時言っておけばよかった、という後悔だけは少しでも減らしておきたいところです。
みなさんも備蓄であれお家のことであれ、出来ることから始めてみてください。なんだか上から目線なエントリで大変恐縮なのですが、今回の地震の報道で「何もできなかった」と落ち込んでおられる被災者の皆さんの映像を見るにつけ、寄付などの支援の他に私たちが出来ることは、次に備えることだなと痛感するのです。
私自身もこれまでの備えを見直しています。ご一緒にいかがですか?

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