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東京と地方

東京と地方ってよく比べられますが、実際の所何がどう違うんでしょうか?
都会?便利?物価が高い?でもどちらにも住んでる人は居るんだし、親戚がいるという人も居るでしょう。
東京と地方って隔絶してて、東京って特別な場所なんでしょうか?というお話です。

首都東京~住宅事情編~

東京と言えば世界に知られる日本の首都です。2200㎢ほどの土地に1400万人が住んでいます。東京都23区に限れば630㎢ほどの土地に977万人が住んでいます。もう少し広げて東京への通勤通学者が多い埼玉千葉神奈川、その他もろもろの周辺市町を加えて関東大都市圏という統計基準で考えると3700万人が暮らしています。日本の人口がおよそ1億2000万人ですから、3人に1人近くが関東大都市圏に住んでいることになります。

当然それだけ狭い所にひしめいているので、不便もあります。例えば最近高騰していると言われるマンションですが、首都圏のマンションを高い方から30個並べても余裕で坪単価1000万円を超えています。70㎡が21坪くらいなので、70㎡のマンションでも2億越えということになります。こっわ。

では地方ではどうでしょうか?我らが兵庫県のランキングもあったので見て見ましょう。トップでも高級住宅地芦屋市のマンションでも坪単価664万円でした。なんだろう…急に割安感出ますね…。(んなわけない)
ちなみに兵庫県は土地の広さはともかく、人口では540万人で7番目です。決して小さな県ではありません。東京・神奈川・大阪・愛知・埼玉・千葉、そして兵庫の順です。

~物価指数編~

では物価を見て見ましょう。政府の統計で消費者物価地域差指数というのがあったので見て見ます。これは全国平均を100とした時に、各都道府県での物価がいくつくらいになるのかを集計したものです。

これを見ると東京都は104.7と最も高い数字で、兵庫県は99.4でした。5ポイントほど差がありますね。とはいえ、これはあくまでも「全国平均に対する指数」なので、なんでもかんでも東京都では兵庫県より5%程高いというわけではありません。例えば100円ショップはどこでも100円です。
電気代などはあまり差が無く、食品や娯楽、教育(塾や習い事)などで差がついているようです。気になる方は上記リンク先をご覧ください。

~サービス編~

東京には色んなものがあり、サービスがある。文化資本も沢山ある。というのは良く言われることです。商業施設の多さ、高級ブランドの直営店の多さ、博物館や劇場の多さ、美容関係、医療関係、大学を始めとした教育機関、交通サービス、各種イベントの多さ(広告)、アミューズメントパークなどなど、やはりサービス業は人口集約しているところに集中します。博物館や大学の様な公共性を帯びたものでも、やはり東京にまず行ってしまうのはいかんともし難いものがあります。東京ディズニーランドは千葉ですけど。

余談になりますが、実は日本のGDP、国内総生産においては、製造業よりサービス業の方が割合が高くなっています。工場が海外に移転したことも有るとは思いますが、日本は既に統計上ではものつくり立国ではなくサービス立国です。

経済産業省資料より抜粋

さて、大企業の本社が東京に多いのには理由があります。それは端的に言えば情報です。様々な情報が得やすいのはやはり東京です。特に霞が関がありますので、様々な行政情報が取りやすいこともあります。また、上場すれば機関投資家とのコミュニケーションも必要ですから、それらが集中しているので企業の財務(ファイナンス)の中心地は東京なんですよね。専門性の高い人材採用がしやすいこともあるでしょう。

法人税は本社登記されている場所で課されます。東京は大きな企業の本社が多いですから、大変法人税で潤っているわけです。地方でも事業所税、従業員の地方税といった収入も明確な恩恵ですが、利益の23%が課される法人税が取れる東京は、交付金を国から受け取らない位には潤っており、その分様々な公共サービスが実施できる立場にあります。(とはいえコロナ対策でだいぶ財政傷みましたが)

東京と地方の共依存

ここまで見ると、東京はお金持ちの全くの別世界であるかのように思えますが、実は東京と地方は「共依存」状態にあります。共依存とはあまりいい意味ではありません。精神科など医療寄りの用語で、「特定の誰かと誰かがその人間関係にお互いに依存してしまっている状態。もう少し具体的に言うと恋人にすんごい依存されて、日常不便なんだけど「こいつも私が居ないとダメだからなぁ」とか思ってしまってお互い離れられなくなるような状態」です。

東京と地方はこの共依存の状態にある、というのが私の持論です。ではまずその結論の証となるこちらをご覧ください。

ばばーん。結構ネットを探し回ってようやく公共データを見つけました。少し古い資料ですが、端的に特徴が出ていますね。ここまで触れてきた様に東京もしくは首都圏というのは物価やサービス価格が高く、人口も多いため、商品販売額は全国の半分近くを占めます。ところが東京都は殆どモノを作っていません。そうです外から購入して人々の生活が回っているという事です。
ここまで土地がどうした人数がどうしたという話をしてきましたが、土地が限られ、人数が多ければ、企業のオフィスや住宅にした方が付加価値が上がりますし、東京の高い人件費で工場を動かせば製品価格が高くなってしまい競争に負けます。そう考えれば製造業の拠点に土地も人も割り振られることが少ないのは当たり前であり合理的です。

しかしそれでも人が居れば着る服は必要だし三度三度の食事は必要です。そこで、他所より稼げているその稼いだお金で買ってくるわけです。これは日本という国が海外から石油や天然ガスを輸入している状態と同じです。
地方では今人が減っています。少子高齢化であったり、東京を始めとした大都市部に移動してしまうからです。しかしその東京は地方で作られた食べ物や家電製品が無ければ生きていけません。地方は人の数が減って行くので、身の回りで商売をしようとすると厳しくなっていきます。日本が輸出でお金を稼ぐように、地方は東京など大都市に物を売ってお金を稼ぐ形にしないとプラスが出て来ないのです。
他方、東京は地方から持ってきてもらうものが無ければ即座に生活が詰みます。私の妹も東京で暮らしていますが、関東大震災のようなものが起きて国道や高速道路が寸断されたりすれば3000万人が飢えることになるので時々心配になります。
この様に地方と東京は共依存状態にあるわけです。それぞれが人も多く独立して経済圏を回していければ良かったのですが、今となっては共依存状態でやっていくしかありません。

持ち味をイカせッ

小見出しはマンガ「グラップラー刃牙」の有名なセリフのパクリですが、最近東京出張してても思うのはホントにコレです。東京は便利だし才能ある人も多いし楽しいですが、綺麗に見えるソレはいろんなものに支えられて成り立っています。地方は地方で人口減少など色々な問題を抱えていますが、自然は多くまだまだいろんなものを作り出せる余地があります。どちらで生活したいかは人それぞれ無理ない方を選べばいいのですが、東京が地方のような自然を作ろうとしたり、地方が東京の様な発展の仕方をしようとすると大体上手くいきません。
そしてお互いに隣の芝が青かったりします。東京の人は「もうちょっと広い家に住みたかったなぁ」「もう少し自然のあるところで子供を育てたかったなぁ」などと思い、地方の人間は「ここは何もないなぁ東京は便利でいいなぁ」などと思っています。ならばお互いの良いところを活かしてやっていけばよい。

東京は「来たい人は遊びに来たり、就職誌に来たりすればいいんじゃない?」と構えていればいいし、地方は「しゃーねえなぁウチの美味いもん送ってやるか」で良いのです。とりあえず東京は高いホテル宿泊料金なんとかしてください。出張のついでに友人と飲みに行けないでしょ。(心の叫び

私は地方の人間なので最後は地方目線で締めくくりますが、地方は別に卑屈になる必要もないし、もっと自分たちの作っているもの、サービスに自信を持つべきです。昨今のコロナの騒ぎやインフレを見ているとものつくりが復権してきたなという気がします。モノが貴重なので作れる側が強くなるのです。デフレ時代は逆でした。
そして東京など大都市や海外に売り出していくことで地方に入ってくるお金が増えて、生活が豊かになるのです。物価指数でも出しましたが兵庫県一つとっても東京の104に対して99ですからね、同じ1000円でも東京より出来ることが多いです。

そんなこんなで、東京から製品を求められるような企業になりたいなぁという話を一般に拡大してお話しました。

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