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何かと不安定な昨今

なんとか年内もう一回更新できそうなので、振り返りと来年に向けたお話なんかをしたいと思います。

やたらと不安定だった2023年

コロナ(2020)からこっちずっとそうなんですが、2023年も落ち着かない年だったというのが私の記憶です。
大きなところから行くと、海外を見ればウクライナでは戦争が続行され、今度はパレスチナで戦争がはじまりました。干ばつでオレンジは無くなり(オレンジジュース売ってないでしょ?)、オリーブも大不作になり、インドはコメの輸出を停止し、エネルギー価格が高騰しました。

国内ではコロナ明けの需要が戻ってきたのは良かったのですが、人手不足が方々ですごいことになり、外国人観光客が増え、物価がかなり上がり、北陸や東北で大雨による災害が発生し、処理水で貿易に圧力をかけられたり、挙句の果てには裏金問題で政治も停滞しています。その他にも私達の生活に直結しないところだと、ビッグモーター、ジャニーズ、難民、WBC、阪神と、悪いことばかりではありませんでしたが、浮き沈みの激しいテンコ盛りの一年だったことが分かります。こんなの予想するの無理。

このnoteでは政治・戦争関係は詳しく書かないことにしていますので(専門外のことに偉そうに触れて良いことは無いので)これ以上は触れませんが、どれもこれもそう簡単に、そして短期間で解決しそうにありません。

一方私の身近なところだと、会社としては値上げをせざるを得ない状況にありましたし、先日発表しましたが来年も値上げをお願いすることになりました。(個別に何がどこでいくらになるというのは様々な要因によって決定されますので個別のお問い合わせはまだご遠慮ください)
また大型の設備投資も年をまたいで実行中です。工事の準備で大変なのに、一方で最近取り組んでいる新たな営業活動が盛況で、おかげさまで部下はみんな多忙です。多忙なのはいい事の様に見えるかもしれませんが、そうでもなく、多忙は継続の危機です。人が疲れてしまったり、無理な生産計画を立てる様になったら突如大ピンチに化ける場合があります。長期的に供給ラインを考えておかねばなりません。これは私の仕事です。

どうしようもないものを嘆かない

さて、予想を超えてぐちゃぐちゃになった2023年をふまえて来年に向けてですが、まず先のことを考える大前提として、個人的な信条ですけれども「自分でどうしようもないものは嘆かない」ことです。今の戦争も、政治も、ガソリン価格も、そういったものを今すぐ私の力でどうするこうするということは不可能です。当然ですよね。笑
ですから「今の政治はなってない!」とか「エネルギー価格さえ安ければ」なんてことは考えないようにしています。言い訳にしかならないからです。勿論色々思うことはありますが、経営者という立場でこれらに触れることはありません。私の仕事は「ではその与えられた環境下でどうするか」を考え、決めることであって、偉そうに論評することではないのです。そんなことはもっと詳しい専門家がすればよろしい。

外的要因だけでなく、内的要因にもどうしようもないものはあります。「人の心」なんてものはその典型です。例えば、会社を辞めたいと心に決めて辞表を出して来た人を引き留めるのはとても難しい事です。本人が散々考えた末の結論であるという事もありますが、そもそも他人を変えることは出来ないからです。せいぜい出来ても「変わることを促す」ことであって、直接的に変えることはできません。「もっと優秀な人が社内に居ればなぁ」ということも同様に意味のない考えで、そんなこと考えている暇で「今いるメンバーでどうするのがベストか」を考えた方が建設的かつ意味のあることだと思っています。そうでなきゃ今一生懸命やってくれてる人達にも失礼ですよね。

で、変わらず不安定そうな2024年をどうするか

先のことを考える時、同じように「外のこと(どうにもならん事)」と「内のこと(何とかなるかもしれない事)」に分けます。会社のことに沿って整理すると「エネルギー価格や原料価格はどうなるかな」とか「天候は安定するかな」といった外のことと、「○○くんの育成はどうなりそうかな」とか「設備入れて次の合理化をどのあたりで出来そうかな」とか「災害や原料不足に対して備えは万全かな」といった内のことです。
もう少し詳しく分けると、「外のこと」は天候や景気、政治といった大きなことと、競合やお客さんが考えていそうなことという二つに分けます。「内のこと」も同様に人のことと、仕組みのことに分けて考えます。
この時に一番大事なことは「見たくないものを直視する」ことです。都合の悪いものに蓋をして見ないふりをしてはいけません。最も緊急度が高いものから最も適切な対処をしないといけないからです。勿論すべてを予想するのは難しく、1年が始まってから見えてくることもあります。いずれにしても「何でそんなことになっているんだ」ということは真っ先に処置をしなければなりません。逆に良かった話なんか勝手に回ってくれてればいいのです。嫌な物から処理していると、あら不思議結構いい会社になっていたりします。

これらを踏まえて来年留意しておかなければいけないことは、「外のこと」としての筆頭は「原料の安定調達」です。昨年はポン酢の原料である果汁が大幅に不足し、とても苦労しました。秋の収穫は何とか例年通りでしたが、業界全体で不足しているので価格は値上がりしました。その他にも鯖節のような頻繁に使う出汁原料が不足し始めています。昨今の戦争で物流ルートも異変が起きています(スエズ運河ルート)し、天候不順で不安定になっている物流(パナマ運河ルート)もあります。何が起こるか分からない状態です。食品は傷むので買い込んで備えるということが大変難しい為、緊張感をもって情報収集を欠かさないようにするしかありません。
その次は消費行動の変化です。物価が上がっているので、消費者は買う量を減らしたり、プライベートブランドや100均などを上手に使っていくようになるでしょう。他方で給与が上がっている人達も居るので、「こだわる分野にはお金をかけたい」という2つの傾向がよりはっきり分かれてくるのかなと予想しています。私達食品関係者にとっては良い分野と悪い分野両方出てきそうなので、それぞれに見極めていかなければなりません。

「内のこと」、つまりこちらでコントロールできることとしてはいくつかあるのですが、今丁度仕掛かっている大規模な設備投資はまず完遂しなければなりません。ここまで大きいのはン十年ぶりなのでね。そしてそれを一つのキッカケにして生産の合理化を進めなければと思っています。それは先の外のことにもつながるのですが、世界中探したってもう「安い材料」は何処にも無いのです。ですから、価格改定はお願いするものの、生産性を上げなければ限界が来ます。原材料の値上がりがゼロになる日は来ないのです。
そして最後に色んなお客さんのこだわりの製品を作るお手伝いをすることです。今年はそれで随分忙しく過ごしました。これは来年も続きます。

ものをつくるということ

最後に最近特に強く感じることを書き足します。
コロナ、インフレときて思うことは「物が作れることの強み」です。スマホに始まるインターネットサービスの充実で、ここ15年溢れる物作りはデフレで軽んじられてきましたが、今まで経験しなかった様な事態(疫病・戦争・災害)になった時、物を作れることはとても強いのだということです。今政府が必死になって半導体を国内で作れるように誘致をしているのはその最たるものです。特に私達が携わっている「食」という分野は、足りないとなると社会に対して大変なストレスを与えるものです。「オレタチの時代が来たぜ」という話ではなく、「ちゃんと供給を継続できるように、人の教育と設備の更新、管理の強化は考えておかなければいけないという使命感」を感じるということです。もちろん醤油の替えなんていくらでもあるわけですが、家庭の食卓や外食の運営を預かっているのは事実ですので、その自覚は必要だなということです。目先の利益がどうしたこうしたということに振り回されず、一本筋を貫いていけるように努めます。

それではこれで今年最後のエントリを締めくくります。気が付けばこのnoteも4年目に突入します。来年もどうぞ宜しくお願い致します。

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