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ティモ・トルキ、投げ銭からの再スタート

今から20年。いや、25年ほど前でしょうか。ティモ・トルキはメタル世界の中心にいました。ティモのバンド STRATOVARIUS は、日本はもとより、欧州、南米で巨大なファンベースを獲得し、アルバムも売れに売れていたのです。

あれからいろいろなことがありました。ティモの分身にも思えた STRATOVARIUS に、彼はもういません。それどころか、ティモ・トルキの名前を聞くことさえ、最近ではほとんどないと言わざるを得ません。才能が衰えたのか?ギター・プレイが時代遅れなのか?ティモの答えは否。否。否。ティモが今、強いられている臥薪嘗胆は、音楽ビジネスの変遷/衰退と、レコード/ライブ運営会社の強欲のせいだと彼は考えています。

ティモの言葉をすべて鵜呑みにするのは考えものです。しかし、一理あると言わざるを得ない説得力も、彼の言葉には秘められています。どう感じるかはあなたの自由。たしかなことは、かつてメタル世界の中心にいた伝説が、"Pay What You Want"、投げ銭方式でまさに一から再出発を切るという事実。その気持ちに嘘はありません。やる気、元気、本気のティモ・トルキです。どうぞ。


レコード会社は今や時代遅れになった。彼らは本当にお金を稼ぐためだけに存在している。最近、多くのメジャーなアーティストが、自分のカタログをすべて大企業に高額で売却していることを見ればわかるだろ?

これには理由がある。それは音楽業界全般が長年にわたって衰退してきたからなんだ。

それに、ツアーは Live Nation などの大企業が大きく支配している。

質の高い音楽を作ることが、企業の利益になると考えるのは、非常に甘い考えだろう。今までも、そしてこれからも、企業はただ株主やオーナーのためにできるだけ多くの利益を生み出すためだけに存在するのだから。

Covid-19の影響で、音楽家全体の収入も激減している。特に私のような下位リーグにいるアーティストにとっては。

その上、ストリーミングサービスが私のようなアーティストに支払っている金額は、本当に冗談のような微々たるもの。

現在、私が音楽で稼いでいる総額は、正直言って、かつての15%程度なんだ。

私が STRATOVAIRUS に書いた最も重要な曲、"Black Diamond" や "Hunting High and Low" などは、再生回数が2500万回を超えているにもかかわらず、支払われる収入は全く馬鹿げている。

ネガティブな言い方はしたくないが、状況は非常に厳しい。これはまさに厳然たる事実だ。誤解しないで欲しいんだが、Spotifyなどを悪者にしたいわけではないんだよ。そうやって音楽を聴くことが便利なことも理解しているし。私はこれを理解し、受け入れているんだ。

ただ、私は、自分の音楽を自分の言葉でリリースし続けるために、新しく創造的でポジティブな方法を探していく。

これまで説明してきたように、道徳的・倫理的な理由から、私のソロアルバムや今後リリースする楽曲は、どのストリーミングサービスでも配信されないことに決めた。

10年か20年前、Nuclear Blast、Sanctuary、Frontiers といったレコード会社は、まだ我々にアルバムをレコーディングするためのきちんとした予算を与えてくれていた。でも今はもうそうじゃない。これはもう仕方がないことだよ。

質の高いアルバムを作るにはお金がかかる。様々な名盤を愛聴している私にとって、音楽作品のリリースはますます難しくなってきているんだよ。

実は、ここ数年、私は多くの人がやっているようなこととは逆の道を歩んでいる。

私はすべてのレコード会社や音楽出版社から距離を置き、多くのコンサート・プロモーターとも距離を置くことにした。

現在、私のソロアルバム "Classical Variations and Other Themes", "Hymn To Life", "Saana-Warrior of Light pt1" の全権利は私が所有している。ストリーミングサービスから外しているんだ。

そうして、今後数ヶ月の間に、24bit・リマスター版として、過去の作品をいくつかの素晴らしい特典を付けて再びリリースする予定だよ。これらはすべて、私のウェブサイト tolkki.art からしか入手できない。

独立した音楽家であることに誇りを持ち、今後を楽しみにしているよ。

それから、質の高いアルバムをリリースし続け、同時に家賃や生活費を支払うことができるようにするにはどうしたらいいか、いろいろ考えてみたんだ。

そう、これを読んでいる皆さんと同じように、私も生活するための費用を支払わなければならないのだから。私は30年以上、プロの音楽家として活動してきた。これまでのキャリアで、60カ国、5000回以上の公演を行ってきた。

でもね、2022年10月に中南米ツアーを大成功させた後、本当にじっくりと考えるようになったんだ。アレッサンドロ・コンティ、アレックス・ランデンブルグ、ヤリ・カイヌライネンとの友情と仲間意識は、私にとって特別なものだった。私たちはとても親しくなり、あのツアーほど楽しくて笑えた記憶はないほどでね。

こうして得たポジティブな気持ちで、2023年から2025年にかけての計画を立てたんだ。その結果がとても嬉しかった。とても面白い音楽ができそうなんだ。この企画が実現することを心から願っているよ。

私は今、2023年3月1日のメキシコシティを皮切りに、アレッサンドロ・コンティとラテンアメリカでのアコースティックツアーに出かける準備をしている。 驚きの選曲でツアーをするよ。楽しみにしてて。

まあそんな思いから、"Renaissance Acoustica" という新しいアコースティック・アルバムをリリースすることになった。STRATOVARIUS のために作曲した曲を集めた作品で、そのバージョンは必ずしもオリジナルを踏襲しているわけではなく、むしろ全く新しいものを作り出している。

このアルバムは、前回のツアーで稼いだお金で自腹を切って作ったんだ。楽しい体験になるように一生懸命に作ったので、みなさんにも気に入ってもらえたら嬉しいね。

このアルバムは私のウェブサイトのみで販売されるよ。発売日は2023年2月17日。ぜひぜひ!


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