もく

51歳女、よくわからんが独身。

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最近の記事

エドルミズが効いている話 ~母のこと(3)~

母は肺がんのステージⅣで、今は麻薬性鎮痛薬も使っている状況だが日常生活は送れている。しかし歩くスピードはゆっくりになった。呼吸苦があって、息をするたびにヒューヒューという音がしている。 母は状態がよくなることを心から望んでいる。抗がん剤は副作用が強くてやめてしまったが、民間療法などに頼りつつ望みをつないでいる。 そんな母が2カ月ほど前に食欲がなくなって、というか食べるとムカムカと気持ち悪くなり「これはこのまま衰弱して終わってしまうのだろうか」と感じた。症状はガンの悪液質か

    • 偶然が起きる話

      私が初めての海外一人旅に行った先はカリフォルニアだった。そこで観光してヨセミテへ行って。そんな旅程だった。 話は変わるが、私が一番好きな映画というのがあって。それは名作ではないんだけど『シティ・オブ・エンジェル』という作品だった。『ベルリン・天使の詩』のリメイク作品だ。とても素敵な図書館が舞台になっていて、ニコラス・ケイジとメグ・ライアンが恋に落ちていく内容だ。私はこの図書館を素敵だと思ったが、どこにあるのかは知らない。 そして話はカリフォルニアに戻る。地図を眺めていたら

      • 私の命綱

        世の中には「健康だけが取り柄で」という人がいる。そういう方は別として、人は何らかの病気を抱えたりするものだ。私の場合は2歳からのぜん息で、その人生を変えたのが吸入ステロイド薬。これを欠かしたら私の命はないだろう。 薬がないと生きられないだなんて、悲しい。一生病人だなんて、悲しい。そんな気持ちもわからなくもない。でも薬で救われる程度の病気は、ありがたいのだと私は思う。なんとか日常生活を送れるだけで、どれだけありがたいのか。 だから、だからそれを受け取っている人は、一生懸命生

        • 団地の最上階に住んでいたとき

          私の住んだ団地は5階が最上階で、エレベーターはなくて。どんなに重いものを持っていても徒歩で上がらないといけないところだった。上がるのが大変だけれど、上階からの騒音はなくて見晴らしも良くて好きだった。 間取りは6畳と4.5畳の2部屋。キッチンとお風呂とトイレが一つずつ。家賃は東京都町田市と、仮にも東京都とはいえ36,000円位という激安団地だ。毎朝南と北の窓を開けて空気を通すのが私の習慣で、リセットされる気分になった。 一人でこなす生活というのは快適で、特に団地は草取りとか

        エドルミズが効いている話 ~母のこと(3)~

          パターゴルフ ~母のこと(2)~

          思い出作りというのではないけれど、母が得意なパターゴルフに行っている。 以前は私と母の二人で行っていたのだけれど、ここに兄家族を混ぜることにした。兄は父とケンカをして、実家に入らないと約束してしまっている。だから母と兄家族が触れ合えることはあまりなくて、その仲介をしたようなものだ。 兄も父も我が強いから、お互いに引くに引けなくてそんなことになっているが、ちゃんとそこに気を遣ってパターゴルフに誘ってあげた妹の私の偉いことよ。誉めてもらいたいくらいだ、盛大に。 兄たちとは3

          パターゴルフ ~母のこと(2)~

          終末期を感じて ~母のこと(1)~

          親がもう老年期で、そろそろ終末が見えてきた歳なのだけれども。今回書くのは母のこと。 母は必ずしも良い親ではなかった。そこをグダグダいうのは好きではないので割愛するが、がんじがらめにするタイプだった。あれこれひと悶着どころか、数十年をかけた苦悩と戦いの末に結局は和解した。それからは比較的、良好な親子関係だ。 母が肺がんのステージ4だと言われて「終わったのだな」と思ったが、実際はまだ元気だったころから始まっている。最近は横になる時間も増えて不調の日が続いているが、でも炊事はや

          終末期を感じて ~母のこと(1)~

          隠居を考える

          隠居を考えている。とはいっても経済的にはとても隠居できそうにないので精神的隠居である。 精神的に隠居するというのは、私の定義では欲を減らすってこと。大人しくなるってこと。これけっこう難しい。たとえば素敵な男性が現れれば惹かれてしまう。そういうのをなくす。 割と最近まで私は誰かパートナーが欲しくて、でも叶わなくてジタバタしていた。こういうのもやめる。仕事でいろいろ成功するってのももう時期が遅いかなという気がしている。50代でありますし。 そう、50代というのは還暦を迎える前

          隠居を考える

          盗聴器を仕掛ける同僚

          とある同僚男性は派遣あがりなんだけれども、あんまり仕事をしないし、すぐキレるし、かというとコミュニケーションが普通に取れる人でもないし。いわゆる「かかわりが難しい人」だ。 人畜無害ならいいんだけど、彼は時々、ボイスレコーダーを使って盗聴するんだよね。私がその人がいない時に、その人のことを話そうとしたら、慌てて周りが止めに来て、何かと思ったらその人のスマホをみんなが指さすわけ。近寄ってみたら録音マークが点滅している。 彼は定時に退社したと思ったら、1時間後くらいに「定期忘れ

          盗聴器を仕掛ける同僚

          看護師の新人いじめ

          看護師として採用されたところでは、いじめがひどかった、もうものすごく。 そもそも新人歓迎会で、現役生と他2人(40代前半の私を含む)のうち現役生以外の2人が「完全無視」される世界である。 存在しないかのごとく振舞われたのを見て、私は早々に「まずい世界に入ってしまった」と気がつくことになった。話を交換してくれたのは男性で、後にわかったのは医師であったということ。 たぶん現役生以外が最初から無視されたということは、少しでも年を取っていたらいらない、という部署からのメッセージで

          看護師の新人いじめ

          雑誌に載ってアイドルになった同級生

          とある中学時代の同級生は私と同じで田舎者なわけだが、私らはいそいそと原宿あたりに行くのがお楽しみだったりした。 今回は中学の同級生の話だが、時期は高校生のころだ。 まだポケベルも流行る前で、連絡手段は固定電話という時代。80年代後半のこと。 その原宿でですよ、同級生はスカウトを受けましてね、素人のかわいい子を探しては載せるという雑誌がありました。それにこともあろうかスカウトされた当日に、水着にまでなって写真を撮られて載ってしまった。 たぶん親は目ん玉が飛び出んばかりに驚い

          雑誌に載ってアイドルになった同級生

          日雇いバイトは変なところが多い話

          日雇いバイトはホワイトな職場と、ブラックな職場が分かれていて。比較的ホワイトなところというのは、物流倉庫や郵便発送業務のような日によって忙しさに波があるようなところとか、やはり余剰人員をあまり雇えないところが多い。仕事は単純作業だけれども、スピードを求められるのはだいだいどこも一緒。 あとホワイトだけれども変わっている会社は、たとえば段々と人材が選別されて、若い女性しか雇わなくなるところもある。これは現場の担当者がキャピキャピした若い女性と会話をして、楽しみたいからという邪

          日雇いバイトは変なところが多い話

          種だけ必要だという人

          種ってなにさ?って。言いにくいのですが、男性から出る種ですね。それだけでいいという女性がわずかにいます。私の人生で2人出会っているので、やはり少しはいるもよう。 私は人づきあいがそんなに得意な人間ではないので、本当はもっと多数いた可能性があります。 結婚したのは子どもが欲しかったから。夫は要らないって人がいます。それは結婚の前からそうなのか、それとも婚姻中に途中から変化したのかはわかりません。 でも煩わしいのか、稼がない夫なのか、理由は分かりませんが、夫と離れた彼女らは、子

          種だけ必要だという人

          自殺は世間体が悪いという話

          自殺はしてほしくないです。でも今日書くのは残された家族がどうなったかという話です。 私の伯母は、夫を自死で失いました。その夫は森に入って焼身自殺をしようとした様子だったらしいですが、それはできなかったようで白骨化してから見つかりました。 その自殺した夫は前からかなりわがままな人で、わがままを突き通して亡くなってしまったわけですが、その夫の親戚筋はかなり厳しい言葉を伯母に対して投げたようです。私の母方の伯母なのですが、私の母にもかたくなにその辺は語りませんでした。その頑なさ

          自殺は世間体が悪いという話

          やりなおし看護学生39歳

          どうやって看護師になるかといえば専門学校か大学になるけれども、割と入学倍率ってのは高いかと思われます。 私は10倍弱の社会人入試を通過して入学したクチですが、社会人入試でも一般入試でもコツはあります。 まずは「看護系学校予備校に入りましょう」ってのが一番効率よく入れるパターンです。これは事実で、入学してから「予備校使った?」って聞いたら、社会人入試などは特に使っている人が多かったです。 一般入試は学力順になるので、ひたすら過去問を見て勉強してくださいってことになります。実際

          やりなおし看護学生39歳

          カウンセリングルームで泣いたあと

          これは私が泣いた話ではない。泣いたという確証もない。ただ、こんなことがあったという、ちょっと怪しげな話だ。 私がとある精神科のカウンセリングにかかったとき、それは狭い部屋だったのだけれど「こんにちは」といってその部屋に入った瞬間。 私は号泣したくなった。 それは私の感情ではないことが、自分でよくわかっていた。そういう話をしにきたのではなかったからだ。 泣きたいという衝動とともに、この空間にいた前の人が、号泣したのだということを直感した。エネルギーのようなものが残ってい

          カウンセリングルームで泣いたあと

          「明日の神話」をみた時代

          渋谷駅の井の頭線へ向かうコンコースに、 岡本太郎作「明日の神話」という大作がかかっている。 渋谷でずっと仕事をする時期があって、ふと気が向くと、この大作を観に寄り道をした。そういう寄り道ができる東京という街で働くことが、私はとても好きだった。 私はその作品が芸術的に優れているかとか、そういうことは分からないけれども、岡本太郎という人の著作は好きで、よく読んでいる。 彼は感じたことを正直に表すこと、それこそが本当に生きていることだと信じていて、自分の作品にごまかしがないか、

          「明日の神話」をみた時代