もく

50代女、よくわからんが独身。

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50代女、よくわからんが独身。

最近の記事

かわいい ~母のこと(9)~

母が私を見ると「かわいい、かわいい」といいます。もう50代の私が可愛いらしいのです。母がどんな状況で、どんな気分になり「かわいい」というのかを考えると、私はふと号泣しそうになるのです。 いつまでも続かない時間だという自覚があるから、可愛がりたくなるのでしょう。でも時間は止まりません。 可愛いと言って、いろんなことをしてくれます。息が苦しいのに食事を作ってくれて、私が美味しかったと食べると嬉しそうにします。洗濯物を取り込んだり、それを仕分けしたり、私のことを気遣ってくれたり

    • 抗がん剤への再挑戦 ~母のこと(8)~

      母の肺の腫瘍はだんだんと大きくなっているのだが。さすがに苦しさが増してきているため、主治医が再度の抗がん剤を勧めてきた。母も「また抗がん剤をやる」というようになったので、かなり苦しいのだろう。 ということでトントン拍子に治療話が進んだのだが、選ばれた抗がん剤は「ゲフィチニブ(イレッサ)」であった。一時期ニュースになったなコレと思い出して調べてみると、間質性肺炎が副作用として多いらしい。間質性肺炎になったら、ほぼおしまいだと私は思っているので、副作用にはかなり注意しないといけ

      • 父の偏食に翻弄されて ~母のこと(7)~

        母の記憶力が曖昧になりつつあって、それは脳転移を起こしているか、もしくはオピオイドであるMSコンチンが増量されたせいか、ちょっと判断がつかない。 でもとりあえずご機嫌さんなので、そのご機嫌が崩れないようにしたいところ。QOLが良くて進行が遅ければ、それだけでありがたいこと。 相変わらず食事作りもしてくれていて、手慣れているから安心感がある。 困っているのが父の事なんだけど、父が偏食になってきていて「牛肉もダメ、鶏肉もダメ、もやしもダメ、豆腐もダメ」とかキリがない程に「あ

        • カウントダウンをしてしまう ~母のこと(6)~

          母は相変わらず呼吸苦が強く、オピオイドも増量になった。 私は無意識のうちに母のカウントダウンをしてしまう面があり、反対に父は抗がん剤を使ってでも一日でも長く生きてほしいと思っているようだ。 カウントダウンは「もうダメかな、ダメかな」という心のせめぎあいで、自分でもあまり良くないとは思うが。これが私のストレスコーピングなのかもしれず、自分でもどうしたらよいのだかわからない。 でもカウントダウンはやめようと思う。私も一日でも長く生きてほしいと思っている。できれば苦しくなくい

        かわいい ~母のこと(9)~

          親孝行を考える ~母のこと(5)~

          親孝行というのができる時間も限られてきた。 母は日々の呼吸が苦しそうで、まだユックリ動作で日常生活はできているけれど、これがいつ寝たきりになるのかわからない。体重も減ってきているという。そのなかで、親孝行はしておきたいという話。親孝行したいときに親はなしという格言も聞いたりする。それは寂しい事なので何とかしたい。 今わたしは同居なので、一緒に居たり、毎日ちょっとした話を聞いたり、こちらから話したりすることが親孝行なのでは?と思って欠かさずやっている。 もう旅行などできな

          親孝行を考える ~母のこと(5)~

          呼吸苦が強くなって ~母のこと(4)~

          母が呼吸苦を訴えるようになって、ほぼ毎回の呼吸で「ヒューヒュー」と音が聞こえるようになった。たぶん本人的にも苦しいはずで、でも薬では(オピオイドを使っても)苦しさを取り切れずにいる。 今は家事に勤しんでくれているから、わざと任せている。病人ってのは病人扱いされるのが心底いやなものだ。だからやれるうちはやってもらっている。 もちろんこの状態がガラガラと崩れ、バトンタッチとなれば、すぐにでもできるように心づもりはしている。でも少しでも普段の生活を長く送って欲しいというのが家族

          呼吸苦が強くなって ~母のこと(4)~

          エドルミズが効いている話 ~母のこと(3)~

          母は肺がんのステージⅣで、今は麻薬性鎮痛薬も使っている状況だが日常生活は送れている。しかし歩くスピードはゆっくりになった。呼吸苦があって、息をするたびにヒューヒューという音がしている。 母は状態がよくなることを心から望んでいる。抗がん剤は副作用が強くてやめてしまったが、民間療法などに頼りつつ望みをつないでいる。 そんな母が2カ月ほど前に食欲がなくなって、というか食べるとムカムカと気持ち悪くなり「これはこのまま衰弱して終わってしまうのだろうか」と感じた。症状はガンの悪液質か

          エドルミズが効いている話 ~母のこと(3)~

          偶然が起きる話

          私が初めての海外一人旅に行った先はカリフォルニアだった。そこで観光してヨセミテへ行って。そんな旅程だった。 話は変わるが、私が一番好きな映画というのがあって。それは名作ではないんだけど『シティ・オブ・エンジェル』という作品だった。『ベルリン・天使の詩』のリメイク作品だ。とても素敵な図書館が舞台になっていて、ニコラス・ケイジとメグ・ライアンが恋に落ちていく内容だ。私はこの図書館を素敵だと思ったが、どこにあるのかは知らない。 そして話はカリフォルニアに戻る。地図を眺めていたら

          偶然が起きる話

          私の命綱

          世の中には「健康だけが取り柄で」という人がいる。そういう方は別として、人は何らかの病気を抱えたりするものだ。私の場合は2歳からのぜん息で、その人生を変えたのが吸入ステロイド薬。これを欠かしたら私の命はないだろう。 薬がないと生きられないだなんて、悲しい。一生病人だなんて、悲しい。そんな気持ちもわからなくもない。でも薬で救われる程度の病気は、ありがたいのだと私は思う。なんとか日常生活を送れるだけで、どれだけありがたいのか。 だから、だからそれを受け取っている人は、一生懸命生

          私の命綱

          団地の最上階に住んでいたとき

          私の住んだ団地は5階が最上階で、エレベーターはなくて。どんなに重いものを持っていても徒歩で上がらないといけないところだった。上がるのが大変だけれど、上階からの騒音はなくて見晴らしも良くて好きだった。 間取りは6畳と4.5畳の2部屋。キッチンとお風呂とトイレが一つずつ。家賃は東京都町田市と、仮にも東京都とはいえ36,000円位という激安団地だ。毎朝南と北の窓を開けて空気を通すのが私の習慣で、リセットされる気分になった。 一人でこなす生活というのは快適で、特に団地は草取りとか

          団地の最上階に住んでいたとき

          パターゴルフ ~母のこと(2)~

          思い出作りというのではないけれど、母が得意なパターゴルフに行っている。 以前は私と母の二人で行っていたのだけれど、ここに兄家族を混ぜることにした。兄は父とケンカをして、実家に入らないと約束してしまっている。だから母と兄家族が触れ合えることはあまりなくて、その仲介をしたようなものだ。 兄も父も我が強いから、お互いに引くに引けなくてそんなことになっているが、ちゃんとそこに気を遣ってパターゴルフに誘ってあげた妹の私の偉いことよ。誉めてもらいたいくらいだ、盛大に。 兄たちとは3

          パターゴルフ ~母のこと(2)~

          終末期を感じて ~母のこと(1)~

          親がもう老年期で、そろそろ終末が見えてきた歳なのだけれども。今回書くのは母のこと。 母は必ずしも良い親ではなかった。そこをグダグダいうのは好きではないので割愛するが、がんじがらめにするタイプだった。あれこれひと悶着どころか、数十年をかけた苦悩と戦いの末に結局は和解した。それからは比較的、良好な親子関係だ。 母が肺がんのステージ4だと言われて「終わったのだな」と思ったが、実際はまだ元気だったころから始まっている。最近は横になる時間も増えて不調の日が続いているが、でも炊事はや

          終末期を感じて ~母のこと(1)~

          隠居を考える

          隠居を考えている。とはいっても経済的にはとても隠居できそうにないので精神的隠居である。 精神的に隠居するというのは、私の定義では欲を減らすってこと。大人しくなるってこと。これけっこう難しい。たとえば素敵な男性が現れれば惹かれてしまう。そういうのをなくす。 割と最近まで私は誰かパートナーが欲しくて、でも叶わなくてジタバタしていた。こういうのもやめる。仕事でいろいろ成功するってのももう時期が遅いかなという気がしている。50代でありますし。 そう、50代というのは還暦を迎える前

          隠居を考える

          盗聴器を仕掛ける同僚

          とある同僚男性は派遣あがりなんだけれども、あんまり仕事をしないし、すぐキレるし、かというとコミュニケーションが普通に取れる人でもないし。いわゆる「かかわりが難しい人」だ。 人畜無害ならいいんだけど、彼は時々、ボイスレコーダーを使って盗聴するんだよね。私がその人がいない時に、その人のことを話そうとしたら、慌てて周りが止めに来て、何かと思ったらその人のスマホをみんなが指さすわけ。近寄ってみたら録音マークが点滅している。 彼は定時に退社したと思ったら、1時間後くらいに「定期忘れ

          盗聴器を仕掛ける同僚

          看護師の新人いじめ

          看護師として採用されたところでは、いじめがひどかった、もうものすごく。 そもそも新人歓迎会で、現役生と他2人(40代前半の私を含む)のうち現役生以外の2人が「完全無視」される世界である。 存在しないかのごとく振舞われたのを見て、私は早々に「まずい世界に入ってしまった」と気がつくことになった。話を交換してくれたのは男性で、後にわかったのは医師であったということ。 たぶん現役生以外が最初から無視されたということは、少しでも年を取っていたらいらない、という部署からのメッセージで

          看護師の新人いじめ

          雑誌に載ってアイドルになった同級生

          とある中学時代の同級生は私と同じで田舎者なわけだが、私らはいそいそと原宿あたりに行くのがお楽しみだったりした。 今回は中学の同級生の話だが、時期は高校生のころだ。 まだポケベルも流行る前で、連絡手段は固定電話という時代。80年代後半のこと。 その原宿でですよ、同級生はスカウトを受けましてね、素人のかわいい子を探しては載せるという雑誌がありました。それにこともあろうかスカウトされた当日に、水着にまでなって写真を撮られて載ってしまった。 たぶん親は目ん玉が飛び出んばかりに驚い

          雑誌に載ってアイドルになった同級生