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ふわふわ会計 ③会計の前提(1)


会計の基本的前提

今回は、会計の前提について確認をしていきたいと思います。
会計を行っていく上では、基本的前提が3つあります。
基本的な前提を、一般的に会計公準と呼びます。
会計基準とよく似ていますが、「基準」ではなく「公準」になります。
公準の言葉の意味を確認しておきましょう。

公準とは
1 科学的または実践的理論にとって、基本的前提として必要とされる命題。公理と同じく証明不可能ではあるが、公理のような自明性はない。

デジタル大辞泉(小学館)より

デジタル大辞泉の公準の意味からも、会計公準とは会計の理論として、基本的な前提を意味することになりますね。

会計公準には3つの公準があります。

  1. 企業実体の公準

  2. 継続企業の公準

  3. 貨幣的評価の公準

既に会計を学んでおられる方には大変有名な公準です。
会計公準について検索すると解説ページが山のように出てきますので、ご存じの方も多いと思います。

基本的な前提は、無意識の中にある

3つの会計公準は、会計業務を行う際の基本的前提になります。
前提は、常に意識しているというより、普段はあたり前の感覚として捉えており、意識することが少ない印象があります。
しかし、この普段無意識であることを、いったん意識してみることで会計の理解が深まると考えました。

今回のテーマ

今回は、3つの会計公準のうち、企業実体の公準について確認をしていきます。
ふわふわ会計では、会計を初めて学ぶ方へ、企業実体の公準について簡単に説明しながら、仕事などでおさえておきたい企業実体の公準の本質的な部分を確認していきたいと考えています。

企業実体の公準とは、企業は株主とは別の独立した存在と考えて、企業に関する取引だけを会計の記録や計算する対象とするという前提です。 

自分が所属している組織が企業以外の場合、例えば、社会福祉法人に所属している場合には、

企業実体の公準⇨法人実体の公準

と読み替えて考えていきましょう。

組織が、組織を構成する個人とは別の独立した存在であること、組織の会計は、その組織に関する取引だけを記録や計算の対象にする、という前提になります。

ここから、企業実体の公準について例を挙げながら、説明していきます。

ポイント

ポイントになるのは、企業と株主個人とは、別の存在である点です。

「企業の会計は、企業に関連する取引だけを記録や計算の対象にする」ということは、当然のことと感じられそうです。

この当然のことが、大切な前提にある意味を確認していきましょう。

企業(株式会社)は、株主から出資を受けて設立されることになります。
ここで、出資をした株主は、企業の社員(構成員)となります。

社員とは、組織の構成員のことです。

社員とは
会社一員として勤務している人。
社団法人の構成員。株式会社では株主とよばれる。

デジタル大辞泉(小学館)より

社員とは、私たちは1の意味でとらえることが多いですが、株主を社員と表すときには2の意味で用います。

企業と株主個人は、別の存在です。
例えば、自分がネット証券会社で上場会社の株を買ったとしましょう。

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