食事を美味しく料理するには、その素材について詳しく知る必要がある、それが例え「モンスター」だとしても。|ダンジョン飯|九井諒子|連載中おすすめマンガ

[九井諒子] ダンジョン飯

ダンジョンの下層でドラゴンに負けて全滅してしまった冒険者・ライオスたち。金も食料も失い、再びダンジョンに挑む体力がない。そこでライオスは決意した。モンスターを食べよう――。

最新巻は第7巻。連載が始まった頃は、「飯系マンガ」がどのコミック雑誌でも流行っていて、猫も杓子も飯さえ食っていればいいんだろという風潮に、本当に辟易としていた。加えて個人的に、九井諒子が描くファンタジックな世界観がどうしても好きになれなかったので、ウェブ上で話題になっていても「ダンジョン飯」に関しては完全に読まず嫌いで放置した状態だった。どうせこれまでの作品と一緒なのだろうと。

暫くして、第5巻が刊行された頃から、巷で「ダンジョン飯」の評判が変化したことに気がついた。ただモンスターを食らうだけの奇を衒った「異色・飯系マンガ」ではなく、実は背景に非常に凝ったストーリーがあるのではないか、最近の展開が素晴らしく面白いぞ、と。ならば、最低でも第1巻は何も言わずに、おとなしく読むべきだ。

まずは純粋に、そのタイトルを楽しむ。モンスターを食べる、え、どうやって食べるの、それはどんな味なの、どうやって調理するの、これは読んでいるとどんどん惹き込まれるのだが、普通の「飯系マンガ」とは明らかに一線を画す。だって、読者は誰も食べたことがないから、そのモンスターを。勿論、九井諒子も食べたことはない。だからこその、このイマジネーションに感心すると共に、ハマってくる。次はどんなモンスターを食べてくれるのかって。

そして巻数を重ねる毎に気がつくのだが、「食べる」だけが楽しみではなくなってくる。どんなモンスターが出てきて、どんな生態を披露してくれるのか、子供の頃から遊び親しんだゲームでお馴染みのモンスターたち。ゲーム内ではあっさり倒して経験値にしていたあのモンスターたち、実際に現実で対峙したら、どうやって戦うのか、モンスターたちはどうやって生まれて、どうやって生きているのか。リーダー・ライオスのモンスターに関する気持ち悪い程のマニアックな知識が、ゾクゾクする程、面白い。もっと披露してくれと、いつの間にか願ってしまう。

マンガはとにかく魅力的なキャラクターとストーリーだと言われるが、とにかく、登場するキャラクターたちの独特な性格が、物語全体を惹き立てているのは言うまでもない。現実もきっとそうだ。多種多様な人間が集まり力を合わせるからこそ、生きるのが楽しい。同じような考えの同じような人が集まっていても、仕方がない。このパーティだからこそ、このキャラクターたちを生み出せたからこそ、この漫画は心から面白い。冒険漫画としての、確かに想像していなかった練られたストーリー背景には、敢えてここでは触れない。それも含めて、今後の展開が楽しみでしょうがない。

(CUTBOSS)

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