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〈迷宮〉および〈魔女〉あるいは冒険者たちに纏わる様々な事柄

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コチラ世界に関する話題を纏めています。 昔話のような言い伝えから冒険譚、あるいは冒険者たちの日常を切り取ったものになります
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記事一覧

〈綺羅星〉セジュロ#0

 この世で最も強い生き物とは何か。酔うた冒険者達が度々口にするこの問いかけに、ある者は奉龍神殿に坐する六色の龍であるという。またある者は無慈悲な〈魔女〉とそれを守る〈騎士〉達であるという。いや龍殺しを成し遂げた冒険者であるとも、あるいは不滅の機工人たちであるともと、それぞれが思い描く最強の存在を口々にあげていく。
 では、この世で最も厄介な生き物とは何だろうか。地を這い毒を持つ大蛇か。群れで獲物を

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〈キトランク〉冒険者名鑑①

〈光り輝く〉ジェルハ
単独にて世界迷宮89層までを攻略した記録保持者
現在に至るまで彼の到達記録は個人、パーティを問わず更新されていない。
その来歴はその他の冒険者と同じく詳らかにはされていないが、冒険者らしい奔放さの中に高い教養と気品が見え隠れする人物。
光を操る魔術に長けており、ランタン等で両手が塞がらない事、窮地に追い込まれたときに目晦ましで仕切り直しを図れた事等がダンジョンアタックの安定に

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〈キトランク〉冒険者名鑑②

〈常夜〉のミェル
今代の黒龍巫女である盲目の少女。
その瞳に光なき故に黒龍の帳の奥、その真の姿を見る。
誰しもが光を失う帳の領域において、常から視覚を用いぬ彼女に敵うものは存在しない。その一歩も、息遣いも、マナの巡りですら彼女は【視て】いるのだ。

〈影渡り〉のシデムシ
複数の蟲人の要素を併せ持つ合成魔人、〈常夜〉のミェルの〈騎士〉
ツギハギだらけで無限に変化を続ける自分を醜いと感じており、影に潜

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砂漠の魔女と賢い王子

むかしむかしのそのむかし
あなたのおじいさんとおばあさんのそのまたおじいさんとおばあさんが、まだあなたと同じくらいの年齢だった時のお話です。
南の砂漠に、小さな小さな国がありました。
小さな国でしたが、おう様と国民が、ヒューマンとリザードマンが、協力してくらす国でした。

小さな小さな国には、大きな大きな川が流れていました。
どれくらい大きいのかというと、ジャイアントを10人縦に並べても、半分にも

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魔石取集者

ヒヒヒッ、旦那ァ。
魔石、あるよォ…。高純度だよォ…。
ヒヒヒッ、どうです凄いもんで御座いやしょう。
そんじょそこらの店じゃ、見れない純度でしょう。
…この魔石をどうやって手に入れたかって?
ヒヒッ、そいつァ企業秘密ってヤツでさ…。
えェ…、えェ…、仰る通りで御座ぇます。
ギルドを通さぬ品ですよ…
高すぎる?ですがね、旦那。考えてもみてくださいよ。
この純度の魔石をギルドの連中から買おうとすると倍

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マナと魔法の関係についての話。

どうも、バーチャル魔法生物のマネミックです!
今回はコチラの世界の魔法という概念についてお話します。

まず、コチラの世界にはマナという(呼び方は色々あるんですけど僕はマナと呼んでます)エネルギーがあります。
基本的に生物は自らの生命力によって生み出されるマナと世界に満ちているマナを呼吸の様に循環させながら生きているわけなんですけど。
このマナを吐き出す際に指向性を持たせ自らの望む現象を引き起こす

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魔法と魔術の違い、行使のために必要な物についての話

どうも、バーチャル魔法生物マネミックです!
今回は年末年始にTwitterで書いて放置してたコチラの世界の魔法という概念いついてその②になります!
マナと魔法の関係についての話は前回の記事を読んでもらうとして、今回は魔法を行使するとはどういうことなのかについてお話します!

再度の確認になりますが、魔法とは生命力であるマナを燃料にして望む現象を呼び起こす技能の事です。
これには規模の大小は有ります

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女騎士マルガレータの華麗なる食卓#1軟骨入りつくね

その日、マルガレータは憤っていた。
昨夜、酒場で食したつくねがなんかイマイチだった怒りが今になってぶり返してきたのだ。
マルガレータは馴染みの店を作らない。
迷宮都市の治安を預かる警邏隊の一員として、特定の店を懇意にすることで万が一にも癒着などを疑われてはならないからだ。
嘘だ、本当は数回行っただけの店で「いつもありがとうございます~」とか言われるとなんか気まずくなってその店から足が遠のいてしまう

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女騎士マルガレータの華麗なる食卓#2ミートソース

突然ミートソースが食べたくなった。
おおよそ半年に1度か2度マルガレータはミートソース欲に苛まれる。
この欲求に囚われるともう終わりだ。満足するまでミートソースを腹に詰め込まないと何も手に付かなくなってしまうのだ。
恐らくこれは郷愁なのだろうと内なる欲望の獣を抑えながら考える。
故郷を飛びだし、紆余曲折を経て迷宮騎士となったマルガレータである。
これまでの旅の道中、飯屋でミートソースを食べる機会は

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