〈キトランク〉冒険者名鑑①

〈光り輝く〉ジェルハ
単独にて世界迷宮89層までを攻略した記録保持者
現在に至るまで彼の到達記録は個人、パーティを問わず更新されていない。
その来歴はその他の冒険者と同じく詳らかにはされていないが、冒険者らしい奔放さの中に高い教養と気品が見え隠れする人物。
光を操る魔術に長けており、ランタン等で両手が塞がらない事、窮地に追い込まれたときに目晦ましで仕切り直しを図れた事等がダンジョンアタックの安定に寄与したという事は言うまでない。〈光り輝く〉とは彼の高貴さと戦闘スタイルを合わせて呼称されたものである。
89階層を攻略した夜、故郷からの手紙を受け取り迷宮都市を後にした彼をその後見たものは居ない。

〈綺羅星〉セジュロ
遙か東の彼方より来たと嘯く軽薄な剣士。兎人族に伝わるカタナと呼ばれる切れ味凄まじい剣を用いる。兎人族ならぬ身にして兎人族を遙かに上回るカタナ術を収める彼の来歴は謎に包まれている。噂によると彼の家から盗まれた刀剣の類を追い求めて各地を旅しているらしい。
この世ならざる美貌を持つ星見の女が常に傍らにおり、彼女の占いによって旅の行き先を決めているようだ。
また、〈奉龍教国〉卑龍山にて発生したワイバーンの異常発生において、街に降りてきたワイバーンの首を一太刀で両断した事は、当時事態解決に集まった冒険者の中で語り草になっている。

〈砂塵〉のアディール
都市の頃15~6の少年のような見た目をした男、あくまでも見た目が若いだけであり実際にはそれなりに年を重ねているらしい。その言葉に違わず非常に聡明であり、かなりの知識を蓄えている。
〈南砂王国〉に多くみられる褐色の肌をしているが、その生まれについては多くを語りたがらない。冒険者なぞという職種を選ぶ人間には話したくない過去の十や二十はあってしかるべきである。
現在は師に与えられた課題の為、迷宮に潜る日々を過ごしている。彼が師について語るとき、畏敬と親愛の情が色濃く表れる。

〈灯〉のシュカ
剣にも魔法にも特筆すべき点はないが、人を愛し人に愛される事を知る少女
その小さな輝きは、絶望という闇の中で一際輝きを増し、人々へと燃え移りやがて大火となる。

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