魔石取集者

ヒヒヒッ、旦那ァ。
魔石、あるよォ…。高純度だよォ…。
ヒヒヒッ、どうです凄いもんで御座いやしょう。
そんじょそこらの店じゃ、見れない純度でしょう。
…この魔石をどうやって手に入れたかって?
ヒヒッ、そいつァ企業秘密ってヤツでさ…。
えェ…、えェ…、仰る通りで御座ぇます。
ギルドを通さぬ品ですよ…
高すぎる?ですがね、旦那。考えてもみてくださいよ。
この純度の魔石をギルドの連中から買おうとすると倍の金額じゃおさまりませんぜ。
ふむ…、なるほど。でしたら旦那、不躾ですが探索者稼業を始めて何年になります?
ほォ…6年。その間ずっと潜られていたんで?ちなみに獲物は?
ほォ、ほォ…そいつは結構な事で…。
でしたら旦那、一つ相談なんですがね…
あっしが魔石を取りに行くのを手伝っちゃくれませんかね…
えぇ…流石に無料でとは言えませんがね…これくらいでどうでしょうか
えぇ…えぇ…勿論。道中で出た屑魔石は旦那の物にして構いません。
…ではそういうことで。旦那、分かっているとは思いますがギルドの連中や商売敵に目を付けられるとロクなことになりやせん。
今日の真夜中、誰にも付けられずにまたここに来てください。
ではまた後程…


ほォ…素晴らしい。こりゃ6年間潜っていたってのも嘘じゃなさそうだ。たかがゴブリンとは言え一撃で首を刎ねるってのは中々できる事じゃありませんよ。
いやいや、すいやせん。ただ旦那もご存じでしょうが探索者稼業のお方は見栄を張りたがる方が多いのでね…その点旦那は素晴らしい!自分の状況を正直に話すなんてのは中々できる事じゃありませんよ!
えぇ、約束通りそのゴブリンの魔石は旦那の物ですよ…
ほぉ、ゴブリンにしては中々の魔石ですね。2年ものって所ですかね。
おや、ご存じない?
魔石ってのは格の高い生き物が長く迷宮に滞在するほど大きく、高純度になっていくんだそうですよ。学者のセンセイ方によると生物としてのマナ許容量の限界と迷宮内の高純度のマナ循環との関係がナントカって話らしいですけど何のことだかサッパリですよ…。
あぁ、そうだ。お疲れでしょう。この先もう少し戦闘が激しくなります。
何かありましたらこのポーションをお使いください。いえいえ、御代は結構ですよ、旦那に何かあったらあっしも困りやすからね…


旦那ァ…どうされたんで?
やはりあっしの様な役立たずを連れての探索でお疲れですかい。
いや、しかたない事でさぁ…少しここで一休みしやしょう。
先程の戦闘でポーションが切れてたでしょう。遠慮せずにこの新しい物をお使い下さい、ヒヒッ。
……………ヒヒッ、旦那ァ、さっき言ったモンスターと魔石の関係なんですがね、人間も例外じゃないんでさぁ…。
ヒヒヒッ、もう聞こえちゃいないでしょうがね、6年間それなりに深く潜っている探索者がどれほどの魔石を蓄えているかなんて、そそると思いませんかねぇ…、ヒヒッ…。

ヒヒヒッ、お嬢さん…。
魔石、あるよォ…。高純度だよォ…。
ヒヒヒッ、どうです見ていくだけでも、損はさせませんよォ…ヒヒッ。


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