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「血流」と「気流」をよどませないこと

朝に目が覚めると、体の一部が布団からはみ出していて、すっかり冷えきっていた、ということがたまにある。こういう時は疲れも取れていない感じがして、「ああ、布団の中であったまって、もう一眠りしたい……」という気持ちになる。体が冷えると、そこを温めるために血液が使われて、「疲労回復」というところまで血がまわらないのかもしれない。

そう、体のあらゆる機能を支えているのが、この「血流」なのである。体を温めると免疫力が高まるのは、体が温まることで血流がよくなるからだろう。この血流が全身を巡って、体のさまざまな部分を機能させているわけだ。

そして僕たちの心身にはもうひとつ、「血流」と同じような機能を持つものがある。それが「気流」である。

身体を「血」が巡っているように、精神には「気」が巡っている。そして体を温めると「血流」がよくなるように、心を温めると「気流」がよくなる。この「気流」は「血流」と同じくらい大切なのだが、僕たちはついつい、こちらのほうはないがしろにしてしまいがちだ。

ではこの「気流」をよくするために「心を温める」とは、いったいどういうことなのだろうか。

それはおそらく、自分が楽しいと思うことをやったり、一緒にいると心が安らぐ相手と一緒にいたり、自然の中でリラックスしたり……。つまり、「心がよろこぶこと」をしてあげることで、心が温まり、気流がよくなっていくのである。

忙しい毎日を送っていると、この「心を温める」ということを、僕たちはついつい忘れがちになる。しかしこれは本来、毎日の食事と同じように大切なことのはずなのだ。精神科医で作家の樺沢紫苑さんは、著書の中でこう述べている。

「メンタル疾患の患者さんは、遊んだり、リラックスしたり、手を抜いたり、ほどほどにするのが、とても苦手です」(『神・時間術』大和書房)。

僕たちは食事によって血液を作り出し、体を温めているが、それと同じように、気を作り出すために、僕たちは心がよろこぶ「経験」を求めている。このことを毎日の生活の中で意識するだけでも、世界はずいぶん変わってくるような気がするのである。

「血流」と「気流」。

この二つを循環させ、よどませないこと。これが、心身を健やかに保つために、最も大切なことなのである。

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