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講師道

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講師のプロフェッショナルとして10年以上にわたって20,000名を超える人材を育成してきたノウハウを書いています。 講師として登壇される方にお届けします。
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記事一覧

講師道 #29|オンラインセミナー 〜一割増し〜

「おもっているほど このオンライン会議は難しくなかったようだな 今後のオンラインセミナーもこのオレひとりで講演してやるぜ…」 2020年はコロナウイルスの影響もあり、オンライン対応が増えました。セミナーも然りです。これからの講師には、対面でもオンラインでも講演できることが求められることでしょう。 対面の講演ができれば、オンラインもできます。ですが、対面と全く同じではありません。また、オンラインといっても会議とセミナーは異なります。 オンラインセミナーで講演するには、相応

講師道 #28|レベル差への対応 〜八方美人〜

佳境に差し掛かった時 講師の話は お客様を 置き去りにした 質疑応答にてレベルの高い質問が続出した、ある日のセミナー。「今日のお客様はレベルが高いな。よし、じゃあレベル高めの内容で進めよう」と意気込む講師。「想定より内容が難しすく、ついていけなかった」といった言葉が並ぶアンケート‥‥ セミナーに様々なレベルの方が存在していると、どのレベルに合わせるか迷うものです。今日はそのようなときの対応、題して「レベル差への対応」のお話です。 1.レベル差への対応基本軸として、個々の

講師道 #27|示し方 〜羅針盤たれ〜

お客様の視線を誘導するとき、示し方がとても大切です。講師が説明する箇所とお客様が見ているものとが噛み合うことで分かりやすさが抜群に変わってきます。誘導についてこれないお客様に向かって 「馬鹿め!そっちは残像だぁ!!」 なんて言葉は講師が発してよいものでありません。 今日は「示し方」、お客様の目線を上手に誘導する方法です。 1.同じものを見る講師が説明箇所を示す効果に、お客様と講師の見ているものを一致させることが挙げられます。お客様が見ているものと講師の説明が噛み合わないと

講師道 #26|時間がないときの対応 〜動かざること山のごとし〜

「百戦錬磨の講師はセミナーが安易でないことなど知りつくしているのだ。セミナーとは不都合なものッッ!セミナーとは思い通りにはならないものッッ!講師にとって――――それがセミナーなのだ!!!」 セミナーはナマモノ、何が起こるかわかりません。たとえ完璧な準備をして臨んだとしても、お客様対応や、会場の都合等によって時間が足りなくなることも。プロ講師としての腕が試されるのはまさにこのとき、時間が無いときどう振る舞うか、です。 さぁ急ぎましょう、今日の話は「時間がないときの対応」です

講師道 #25|リハーサル 〜下ごしらえが逸品を生む〜

人間というものは都合よく自分の想像を作り出せる生き物です。子供の頃、テロリストが学校を襲撃して自分が撃退する妄想をした方もいらっしゃるはず。セミナーも然り。きっと皆さんもいろんな想像を働かせて本番に臨むでしょう。拍手喝采で迎えられたステージからの景色、言い淀みなくお客様に響く声、体重100㎏の巨大カマキリが侵入してきたときに素手で屠る姿・・・ しかし、脳内でどんなにイメージを膨らませたとしても 「いかに巨大化しようが想像はあくまで想像、実物の子犬にも劣るシロモノよ」 本番当

講師道 #24|時間管理 〜時を掌握する〜

「ジャスト一時間だ。――いいセミナーは見れたかよ?」 時間ぴったりに終わるセミナーほど美しいものはありません。延長はもちろん、早く終わりすぎてもよろしくない。決して短くないセミナーを時間通り終えることは講師にとっても、お客様にとっても高い満足に繋がります。 今日のお話は「時間管理」についてです。 1.タイムテーブルの力人間というものは不思議なもので、設定した締め切り丁度に仕事を終えるよう働くようです。セミナーも同じく、◯◯分まで△△を話す、と決めてしまえばそのとおりに勝

講師道 #23|言葉につまったとき 〜答は沈黙〜

人間、生きていればド忘れして言葉が飛んでしまうこともあります。日常会話であれば笑い飛ばせる話ですが、セミナー中の講師にとっては恐怖以外の何物でもありません。 ド忘れを100%防ぐことは不可能です。何百回、何千回と登壇した講師にもそれは起こりえます。でも大丈夫、そんなときは息をゆっくり吐いてゆっくり吸って、一度落ち着きましょう。そして、ド忘れは起こり得るものだと覚悟するのです。 そんなとき、どうすればいいか。①か②でお答えください。 ① お客様の前で必死にレジメを見返し、「

講師道 #22|テンション 〜緩急自在〜

「あたしのこと愛するようになるまでこの会場を出さないわ。絶対に!愛させてみせる!さもないと…延長してしまうかも…」 愛しいお客様と同じ空間で時を過ごせる贅沢、テンションが高くなるのも分かります。しかし、注意してください。煮えたぎる情熱を一方的にぶつけては、甘美な時間も台無しになってしまいます。 恋とセミナーは情熱の駆け引きです。今回はテンションについてお話します。 1.ハイテンションは続かない「講師に必要なものは熱意だ」と言い張る筆者ですが、ハイテンションをずっと維持す

講師道 #21|指示出し 〜講演におけるナビゲーション〜

「レジメはスタッフが準備しよう ワークシートもスタッフが配布しよう ホワイトボードを設置してポストイットを並べ 時計もスタッフが揃えよう だが 指示を出すのは講師の決意だ さあどうする命令を!!」 セミナーや研修の進行上、講師からお客様に指示を出すことがあります。「お客様に指示だなんてなんて畏れ多い!」と萎縮するかもしれません。しかし、セミナーの目的はあくまでお客様の成長。そのための指示であれば講師は毅然としてやってのけるべきなのです。 今日は、指示出しについてのお話です

講師道 #20|場づくり 〜感覚を刺激する仕掛けづくり〜

「(このグループ、)キンキンに冷えてやがるっ‥‥‥‥!」 主にワークショップでは、お客様同士がグループとなって共通の成果物をつくることが多いです。その際に重要となるのは、お客様同士の会話や協働が進みやすい空気をつくること、つまり場づくりです。冷え切った場はアウツ‥! 場づくりの立役者はファシリテーターです。ファシリテーターは五感を研ぎ澄ませて場や人の空気を読み、セミナーの目的と本人のスタンスに合わせた介入を図ります。これは経験と鍛錬を重ねてたどり着く領域であり、もはや職人

講師道 #19|抑揚 〜間を制するものが抑揚を制す〜

あの『つまんない講師』と知り合ったのはあたしがセミナーに行った時。この界隈じゃあ けっこうランクの高いセミナーだったし、講師は背も高いし…...。あたしの周りの同僚たちが当時『物静かでステキ!カッコイイ』ってうらやましがるもんだから、たいして好きでもないのに優越感ってヤツで受講してたら…...爆睡してた……。 あの講師は悪い男ではない。カリキュラムはしっかりしてるし、知識もちゃんとある。でも、つまんない男。 人間は刺激を求める生き物、単調なセミナーほどつまらないものはありま

講師道 #18|身だしなみ 〜信頼されるはじめの一歩〜

「こいつはくせえッー!○○以下のにおいがプンプンするぜッーーーッ!!」 講師たるもの、身だしなみは重要です。においを含め身だしなみが悪いと信頼されないことさえあり、せっかくのセミナーも台無しになってしまうかもしれません。 ということで、今日は身だしなみのお話です(正直なところ、講師というよりも社会人としての身だしなみなので、心得ている方はスルーください)。 1.清潔感とTPO見出しが全てを物語っていますが、少し補足しておきます。 まず、清潔感が最重要です。高額な衣服よ

講師道 #17|レジメづくり 〜全てをそこに置いておく〜

「あ…ありのまま今起こったことを話すぜ!(中略)な…何を言っているのかわからねーと思うが、おれも何を説明されたのかわからなかった…」 セミナーにおいて、資料(レジメ)は必須です。レジメなしで初見の内容を理解することは相当に大変ですので、お客様のためにもレジメを準備しましょう。 さて、レジメをお客様に配布するかどうかは、セミナーのタイプにもよります。TED系(価値などに共感いただく)の場合には、配布しないことも多いです。レジメよりも、プレゼンの熱意や想いの方が重要なので。一

講師道 #16|風邪への対応 〜己との闘い〜

講師にとって体調管理は仕事のひとつ。特に喉は大事です。 しかし、どんなに気をつけていても不調の波はやってきます。そんなとき、為す術なく病魔に屈服してしまっては講師の名折れというものです。 喉はガラガラ、体は極寒、頭は灼熱、中止にできない明日のセミナー。絶望を通り越して怒りがふつふつ湧いてくる。 「(風邪を)駆逐してやる!」 そんな貴方に送る特別編、今回は風邪を引いたときの荒療治を紹介します。 この方法を実践した翌朝、貴方はきっとこう言うでしょう。 「ああ…なんだ… 風邪