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講師道 #17|レジメづくり 〜全てをそこに置いておく〜

「あ…ありのまま今起こったことを話すぜ!(中略)な…何を言っているのかわからねーと思うが、おれも何を説明されたのかわからなかった…」

セミナーにおいて、資料(レジメ)は必須です。レジメなしで初見の内容を理解することは相当に大変ですので、お客様のためにもレジメを準備しましょう。

さて、レジメをお客様に配布するかどうかは、セミナーのタイプにもよります。TED系(価値などに共感いただく)の場合には、配布しないことも多いです。レジメよりも、プレゼンの熱意や想いの方が重要なので。一方、研修系(知識・スキルを習得いただく)の場合には、配布することが基本です。レジメがあった方が理解の助けになるので。

今日は、配布を前提としたレジメづくりのお話です(TED系のレジメではない旨、ご了承ください)。

1.レジメの価値

まずは、レジメを2タイプに大別します。

おおまか系
・話す内容のトピックだけ書いてある
・詳細は講師が補足する
・講師にとって、作成の負担が小さい
・お客様にとって、理解の負担が大きい

しっかり系
・一通りの内容が書いてある
・講師がその中から必要な箇所を話す
・講師にとって、作成の負担が大きい
・お客様にとって、理解の負担が小さい

セミナーの目的などにもよりますが、基本はしっかり系をオススメします。理由は次のとおりです。
① レジメを作成することで、講師の理解が深まる
② 登壇時の講師の説明負荷が小さくなる
③ ①②の結果、セミナーの質が高まりやすい
④ レジメを読み物として使え、お客様がセミナー後にも読み返せる
⑤ ④の結果、お客様にレジメにも価値を感じていただける
⑥ ①〜⑤の結果、セミナーや講師に対して価値を感じていただける

2.レジメづくりのすゝめ

しっかり系といっても、かけられるコストも有限のため、つくり込みすぎては割に合いません。この辺りのバランスは非常に悩ましいですが、ここでは量と質の観点で紹介します。
なお、ここではセミナーの設計が済んでいるものとして記事を書いています。設計については # 13 をご参照ください。

①量
基本は設計したアウトライン(章節項など)に準じます。とはいえ、スライド単位でどこまで細かくするかは設計段階で詰め切っていないこともあります。

そのような場合、時間を基に概算のスライド数を見積もるのも一手です。たとえば、通常のスライドは1枚あたり3〜5分程度、参考のスライドは1枚あたり1〜2分程度を目安とします。

②質
情報の深さや表現の工夫・きめ細やかさに該当します。深さは設計に準じます。表現の工夫の粒度は、性格やデザイン力にもよるため、基準を書くことが非常に難しいです。そのため、ここでは最低限のこととして、ホワイトボードに書くような内容は全てレジメで表現しておくことを記しておきます。

また、表現上のマナー(?)も併せて記しておきます。
・色に意味を持たせる(基調色は顧客やテーマと関連する色)
・色を多用しすぎない(できれば基調色と強調色程度)
・フォントサイズに意味を持たせる(強調・通常・参考などで分ける)
・無駄なイラストを入れない(内容に関係があるのであればOK)
・空白を恐れない(スライド全面を埋めなくてもよい)
・スライド下部はなるべく使用しない(見づらい会場もあるため)

3.おわりに

レジメはお客様の理解の助けとなるものです。講師の持つ全てをレジメに書き切るくらいの意気込みでつくりましょう(コストもチラ見しながら)。すると、読み返されるレジメが出来上がり、最終的にはセミナーや講師に対しても価値を感じていただけます。

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