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講師道 #20|場づくり 〜感覚を刺激する仕掛けづくり〜

「(このグループ、)キンキンに冷えてやがるっ‥‥‥‥!」

主にワークショップでは、お客様同士がグループとなって共通の成果物をつくることが多いです。その際に重要となるのは、お客様同士の会話や協働が進みやすい空気をつくること、つまり場づくりです。冷え切った場はアウツ‥!

場づくりの立役者はファシリテーターです。ファシリテーターは五感を研ぎ澄ませて場や人の空気を読み、セミナーの目的と本人のスタンスに合わせた介入を図ります。これは経験と鍛錬を重ねてたどり着く領域であり、もはや職人芸であり、言語化も困難です。

それで終えては身も蓋もないので、今日は初心者でも取り入れられる場づくりの方法を紹介します。それは、「仕掛けとしての場づくり」のお話です(ファシリテーション自体でなく、事前の仕込みが中心です)。

1.場と促進

どのような場をつくればよいのでしょうか。セミナーの目的やファシリテーターのスタンスにもよりますが、ここでは次の2要素としておきます。
・開かれていて、それでいて没頭できる場
・各人の個性を発揮し、相乗効果が生まれる場

さらに、このような場を形成するお客様の特徴を、「自由で深い思考」と「活発な言動・行動」としておきます。

では、どのようにして仕掛によって思考・言動・行動を促進できるのでしょうか。その一つの手段が、五感を刺激することにあります。

2.五感への刺激

①聴覚:無音でないこと
人は、うるさい環境では大きい声で、静かな環境では小さい声で話すものです。ワーク中に音楽をかけることで、メンバー同士の声量が大きくなり、話が活発になります。

逆に、講義中や個人ワーク中は音楽が邪魔になることもあるので、運用(On/Offを含めた音量調整)には気をつけましょう。もちろん選曲も偏らないように。

また、お互い話しやすくするために、座席レイアウトは島形式が基本です。これは、他の感覚とも関連します。

②触覚:静止していないこと
人は活発だから動くのでなく、動くから活発になるものです。手を動かす、席から立つ、移動する、といった動作が自然と促される仕掛けを考えましょう。

ワークシートへの書き込み、移動しやすい座席配置、ホワイトボードへの書き込み、ワークシートの貼り出し、エトセトラ、エトセトラ。もちろん、終始動き回る必要もありません。自由に動く空気が醸成されればよいのです。

③視覚:均一すぎないこと
目に映るものが多様だ(変化がある)と、気分や思考も自由になりやすいものです。モノの色・高低・大小などに変化がある環境が望ましく、フューチャーセンターやコワーキングスペースでなどはワークショップに適しています。

施設面以外では、小道具(ワークシート、ペン、付箋紙)の工夫や成果物の貼り出し、ホワイトボードの活用などで工夫を加えるのも一手です。

④⑤嗅覚・味覚
嗅覚と味覚は個人の嗜好や育った環境に依存しがちなので、無理に手を加える必要はありません。施設にもよりますが、ブレイクタイムでは飲食自由にしてコーヒーやお菓子の香りを共有する程度です。

3.オマケ:アイスブレイク

アイスブレイクは、参加者同士の固さをほぐすための代表的な手段です。アイスブレイクの内容はセミナーに関連する内容か、とことんシンプルなものかがよいでしょう。ちなみに、「結局、名刺交換が一番だ」と言う名ファシリテーターもいます。

4.おわりに

場づくりはファシリテーターの手腕に委ねられますが、事前の仕込みで促進されやすくなるものもあります。もし場づくりに対して無策でしたら、試してみてください。

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