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講師道 #19|抑揚 〜間を制するものが抑揚を制す〜

あの『つまんない講師』と知り合ったのはあたしがセミナーに行った時。この界隈じゃあ けっこうランクの高いセミナーだったし、講師は背も高いし…...。あたしの周りの同僚たちが当時『物静かでステキ!カッコイイ』ってうらやましがるもんだから、たいして好きでもないのに優越感ってヤツで受講してたら…...爆睡してた……。
あの講師は悪い男ではない。カリキュラムはしっかりしてるし、知識もちゃんとある。でも、つまんない男。

人間は刺激を求める生き物、単調なセミナーほどつまらないものはありません。お客様のまぶたに極端に重力がかかっているのが見て取れた場合、それは貴方の話の中身がつまらないのではなく、話し方に抑揚が足りないかもしれません。
今日はセミナーを刺激的にする「抑揚」のお話です。

1.抑揚は極端につける

「抑揚がない」は、人前で話す仕事を初めたときに誰しもが受け取るフィードバックの一つです。そして、「いやいや、すごく抑揚つけてますよ!」と反論されることも多いです。

結論から言いますが、まだ足りません。自分が思っている以上に、お客様からはそれは感じ取ってもらえません。一度録音して聞いてみると良いでしょう、棒読みだと気づくでしょう。

講師業を初めて間もない頃は、気持ち悪く感じるくらいに抑揚をつけましょう。それくらいがお客様にちょうど良いのです。

2.間

抑揚をつけるうえで、いちばん大事なのは「間」でしょう。間はお客様に思考を整理する時間を与えます。間が入ることによって、意味のまとまりが捉えやすくなるのです。間が取れるようになってくると、「早口だ」と言われることが少なくなるのは、それが理由です。逆にゆっくり話しても間がなければ、意味の理解は難しくなるのです。

文章を読むイメージですと、以下に注意すると良いでしょう。
・読点の前後は空ける(段落では3秒くらい空けても構いません)
・名詞は一息で読む

空白の時間が非常に長く感じられますが問題ありません。お客様にとっては初めての情報も多いでしょうので、それくらいの間は自然なのです。どうしても無音に耐えられないのであれば動きでカバーしましょう。会場全体をゆっくり見渡し、お客様の様子を確認するのです。それで、音がない時間にも講師にとっては意味が生まれます。

3.声の大小

もちろん、大きいに越したことはありません。ただし、常時一定の大きさでは単調に思えてしまいます。基本は聞き取りやすい大きさで話して、セミナーのポイントは意図的に大きくするようにしましょう。

また、テクニックとして意図的に小さくする、という方法もあります。ヒソヒソ話はナイショの特別な情報、というイメージです。そのときは、直前に大きな間をとってお客様を注目させると良いでしょう。

どちらにしても、ギャップをつけることが大事です。

4.速さ

緩急をつけましょう。といっても、緩急が多すぎるとお客様は疲弊しますので、ほどほどに。重要度と絡めて速度調節をするのが一般的でしょう。

具体的には以下のとおりです。
・具体例、事例など聞き流しても意味が捉えられるものは速めに
・重要単語、初めての情報はゆっくりめに

5.おわりに

「わたしは……このセミナーを……!この『講義』を……!!わたしはこの講師のことを……様々なセミナーを受けてきて、初めてこの人を『なんてロマンチックなの』────と思った」
そう思っていただけるかは抑揚が鍵を握ります。貴方の貴重な情報を価値あるものとしてお客様に受け取っていただけるよう、抑揚を意識して話しましょう。

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