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講師道 #29|オンラインセミナー 〜一割増し〜

「おもっているほど このオンライン会議は難しくなかったようだな
今後のオンラインセミナーもこのオレひとりで講演してやるぜ…」

2020年はコロナウイルスの影響もあり、オンライン対応が増えました。セミナーも然りです。これからの講師には、対面でもオンラインでも講演できることが求められることでしょう。

対面の講演ができれば、オンラインもできます。ですが、対面と全く同じではありません。また、オンラインといっても会議とセミナーは異なります。

オンラインセミナーで講演するには、相応の準備や工夫が求められます。恐れることはありませんが、冒頭の茶番のように舐めてかかると痛い目を見ます。

ということで、今日はオンラインセミナーのお話です。なお、特定のオンライン会議ツール*の紹介や操作方法の解説ではない旨、ご了承ください。
*Zoom / Microsoft Teams / Cisco WebEx / Google Meetなど

1.オンラインと対面の違い

オンラインと対面での講演の大きな違いは、お客様・講師ともに互いの様子が分かりづらい点にあります。

基本的に、講義中のお客様のカメラはオフです。進行上の特定の場面(挨拶、質疑、グループワークなど)を除けば、一般的にカメラのオン・オフはお客様の自由だからです。講師としては、お客様の様子・反応が見えないことになります。

また、カメラ越しのため、お客様にとっても講師の様子は見えづらくなります。とくに、身振りや熱量などは伝わりづらいです。

これらを踏まえ、オンライン講演に対応することが求められます。本記事では、環境・進行・シーン別機能活用の3点で説明します。

2.環境面の準備

レジメを使って進行するような一般的なセミナーの場合、デュアルディスプレイ環境を準備することを強く推奨します。講師は画面共有するため、1つの画面は共有用に専有されます。チャットや参加者一覧を閲覧できないと、進行に遅延が生じることもあります。そのため、1つの画面は共有用、もう1つの画面はチャットや参加者一覧用といった具合に、画面の用途を分けます。

また、声の音質を高めるために、PCの内蔵マイクではなく専用のマイクを使うことを推奨します。といっても、大抵の場合はヘッドセットで事足ります。これはセミナーに限らず、会議などでも言えることです。

3.進行の工夫

進行については、次の3点で工夫が求められます。
①振る舞い
②説明箇所の示し方
③ワークの指示

①振る舞い
カメラ越しにも講師の様子が伝わるよう、対面よりも大げさに振る舞うとよいです。振る舞いとは、表情、身振り、声の強弱や間のとり方などを指します。これらを、対面の一割増し程度で行います。何割増しでもよいのですが、あまり増しすぎてガス欠しないようご注意ください。

②説明箇所の示し方
レジメなどを画面共有して進行する場合、対面と異なり、手や指示棒やレーザーポインターなどでスクリーンを指し示せません。そのため、口頭や拡大・マーキングツール(ZoomItやスクリーンペンなど)で示すことが求められます。詳しくは、# 27「示し方」もご参照ください。

なお、細かい話ですが、画面共有中に拡大・マーキングツールを使うと、主催者のチャットなどが参加者にも見えてしまうことがあります(本来は見えません)。そのため、デュアルディスプレイ環境以外では、拡大・マーキングツールは使わない方がよいです。

③ワークの指示
ワークについては、対面よりもゆっくり・はっきりと指示します。対面と比べて、進め方に誤りがあった際の対処に時間を要するためです。特に実機操作は、充分過ぎるくらいの間を確保するとよいです。オンライン講演用にタイムテーブルを見直すことも多々あります。

オマケ:心がまえ
これらの工夫を行っても、お客様の様子が見えないことは不安です。それでも、自分の説明は相手に伝わっていると信じ、進行しましょう。自分を強く持ってください。

4.シーン別機能活用

次の3シーンに分けて紹介します。
①質疑応答
②グループワーク
③意見収集(簡易アンケート)

①質疑応答
対面のように講師が「質問はありますか?」と問う場合は、質問がある方が自分でマイクをオンにして質疑応答します。質疑応答を終えたらマイクをオフにしていただくことを忘れないようにしましょう。

オンラインの場合、上記に加えてチャットも活用できます。講師が説明中でも自由にチャットに質問を書いてよい運用にすると、対面よりも多くの質問を得られやすいです。いきなり質問を書くのには気が引ける方もいるので、セミナー冒頭で書き込みやすい空気を醸成しておくとよいです。たとえば、一言挨拶をチャットに書いてもらうなど。ただ、チャットへの書き込みには抵抗がある方もいるので、強制することは避けた方がよいです。

②グループワーク
ブレイクアウトルームを使用します。ただ、講師はファシリテーター役として、各ルームを回りましょう(介入するかどうかはさておき)。これは、対面と同じです。

③意見収集(簡易アンケート)
アンケートとありますが、セミナー終了時のアンケートではなく、セミナー中にお客様の情報や考えを収集するためのものです。これには、投票機能を使用します。オンライン会議ツールに備わっている機能でもよいですし、Google FormやMentimeterなどを利用してもよいです。

5.おわりに

オンライン講演では環境の準備や進行の工夫が求められ、一見すると対面よりも面倒そうです。ですが、オンラインならではの機能を活用することで、対面とはまた違う価値提供にもつながります。

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