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東京サバイバルガール

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バツイチアラフォー女子の東京体験記。こんなに人口密度が高いのに、どうしてこんなにもさみしいのか。東京は、異常で特殊な街。「夢」がなければ生きてはいけない。ファッションという名の鎧…
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【忘れられないお客様】 キャバクラで出会った余命3か月のおじさん

【忘れられないお客様】 キャバクラで出会った余命3か月のおじさん

20歳で結婚してから31歳まで専業主婦。
夜の世界とはまったく縁がなかった私が、離婚後キャバクラで働いていたときに出会った方のお話です。
人生の谷間でもがく私とおじさん。不思議なめぐり合わせでした。

そのタイミングで彼と偶然会ったのは必然のような気がしました。
お会いしたのは一度きり、お酒の場での数時間の出来事ですが、ずっと私の深いところにしまわれ、折に触れては思い出します。
私の大切な思い出な

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あの日、午前3時。中野のバーで知らない大人と夢を語った(2)

あの日、午前3時。中野のバーで知らない大人と夢を語った(2)

「じゃあ、自己紹介しましょうか!それぞれ、自分の昔のあだ名と、『夢』を語ってください」

銀行員だという小川くんことオリバーは、コラージュ作品を作るのが好きで、いずれ銀行員をやめて絵本作家になりたいと語った。

目をキラキラさせて夢を語る姿に、ほろ酔いのテンションも手伝って聞いてるほうまでワクワクが伝染してくる。

それまで10年間、本当にせまい世界で暮らしてきた私には、誰かの夢を聞く経験など初め

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あの日、午前3時。東京の隅っこで知らない大人と夢を語った(1)

あの日、午前3時。東京の隅っこで知らない大人と夢を語った(1)

もう、かれこれ7年前。
32歳で離婚し、無謀にもひとり「昔からの夢」だけを手に、東京にやってきたときのことを思い出す。

仕事も家もお金もない。子どもの親権も取られ、東京には友だちもいない。そして履歴書に書ける経歴さえない。

持っていたのは、たったひとつの夢だけ。

 

子どもの頃から空想の世界に入り浸り、いつもボーッとしていたので”夢見る夢子ちゃん”と呼ばれていた。

18歳で進路を決める時

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社会の底辺は、一度見ておくべき。

社会の底辺は、一度見ておくべき。

「苦労は若いうちにしておけ」みたいなことは、本当によく聞く教訓だけれど。それを別の意味で捉えると「若いうちの苦労は、苦労にならないから」というのもある。

夢があり、自分にはまだ眠っている才能があると信じ、若いというだけで無条件で未来に希望がある20代。若い頃なら、ボロアパートに住んで月末まであと数百円しかない、みたいな状況でも笑って楽しめる余裕があったりする。(経験者は語る)

「夢を叶える過程

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世界をずっとキラキラした目でみていたい。

世界をずっとキラキラした目でみていたい。

その方はこうおっしゃった。「どうしようもなく愛してるものだけで、クローゼットを埋めつくしたい」と。

先日の取材で、とても素敵なお宅に伺ったときのこと。

そのおうちはクローゼットのみならず、隅々にまで「LOVE」が溢れていた。

ファッションもインテリアもいくつになったって、冒険して時には失敗して。自分の「好き」を極めたい。楽しみたいんだもの。

そんな想いでいっぱいのお宅だった。

大人になる

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「1人で生きていく」と決めた。

「1人で生きていく」と決めた。

そう決意したものの、今思えば、その時は「ひとり」の意味を本当に理解していたとはいえなかった。

目の前にみえる「自由」。それだけが、私の希望だった。

あいつの隙をついて、旅行かばんひとつで修羅場と化した家から走って逃げ出した。すべてのチカラを振り絞って。

「今、ここで逃げ切れるかどうかが私の人生を変える」それは確実だった。必死だった。

風がふくたび、ぶたれた頬がじんじんする。うっすらと青あざ

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トーキョーシティ。

トーキョーシティ。

この街はどうして、こんなにも"さみしい”んだろう。

あふれるほどの人がいるのに、まるで「まわりはみな透明人間」かのように振る舞う。

電車に乗る人はイライラしているか、思い詰めたような顔をしている。

100m毎にあるコンビニは、24時間煌々と無機質な光を放っている。

いつでもなんでも手に入る。なのに、肝心なものはないみたいだ。

モノで溢れてるのに、本当に欲しいものは手に入らない。

この街

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