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ただの授業じゃない。みんなの心に火をともす「総合的な探究の時間」

今、教育は「100年に一度の大改革期」にあるといわれています。暗記型の学習スタイルから脱却し、PBL(Project Based Learning)と呼ばれる「課題解決型学習」へ向かう潮流があります。そして2022年からスタートしたのが、高校の必履修科目「総合的な探究の時間」。「これからの大学受験は、就職の面接のようになる」という見方もあります。自ら考え、自分の意見を持ち、プレゼンする能力の必要性が高まっています。

そんな中、神奈川県立綾瀬高校で「総合的な探究の時間」の第2回目授業が行われました。第1回目の授業後には、スリーハイが抱える5つの課題のうち「どの課題を解決していきたいか」のアンケートを実施。図らずも配属部署がバランス良く決まり、第2回目の授業がスタート。

生徒アンケートの結果、全9クラスのうち、経営企画部が1クラス、営業部・人事部・広報部・商品開発部が各2クラスずつと綺麗に分散。全チームが希望通りの部署に配属された

今回の授業はスリーハイがどんな会社で、どんな思いでこの授業に挑んでいるか、そして323名の高校生に本気で期待していることは何かを伝える回でした。授業全体のスケジュールと本日の該当箇所は、以下の通りです。

12/11は体育館での2回目の全体講義で、スリーハイのことを知ってもらう授業

どうしても伝えたい「私たちの本気度」

今回どうしてもみなさんに伝えたかったのは、私たちが「本気だ」ということです。スリーハイには42人の従業員がいて、みんなで力を合わせて製品を作り、売っています。来年1月の授業には、スリーハイの社員も綾瀬高校に訪れます。社員は前回お伝えした「スリーハイが抱える5つの課題」について、自分の言葉で、具体的にどんなことに悩んでるかをみなさんに伝える準備をしています。

つまりスリーハイの社員たちは仕事のための時間を、
みなさんのために使っているんです。
みなさんも人生のうちで大切な時間を、使っている

だからこの授業は大切だし、スルーしちゃいけない。それだけ「本気で取り組んでいる」ということをわかってほしいし、そのつもりでアイデアや意見をぶつけてほしいと思っています。ではスライドを使って説明します。

社会に出ても重宝する「質問力」をつけるには?

まず私から1つだけ、お願いがあります。

今日のポイント。メモを取ることで、質問力を鍛えよう!

社会人にとっても、とても大事なこと。それは「メモをとる」ことです。「なんだそんなことか」と思うなかれ。スリーハイ社員もお客様のところに行って、メモをとらない日はありません。お客様が何を語っているのかを聞き取り、何に困っているのかを想像しながら、メモをとります。

大人になり、仕事をする上でも役に立つ「質問力」。
相手をきちんと知ろうとする姿勢や、メモをとることから身に付く能力

「この人はこういうことを言いたいのかな?」
「本当は何に困っているのかな?」

相手の立場に立って、思いをめぐらせながらメモをとると、いろいろな疑問が浮かんできます。

「これはどういうことですか?」
「似たような事例が、過去にありましたか?」
「今までは、どのような対応をしていましたか?」

そんな会話のキャッチボールをするうち、自然と身につくのが「質問力」です。「質問力」がない人は、ただ話を聞いているだけ。言われたことしかできない受動的な人に見えてしまいます。

もしあなたが社長で、言われたことしかできない、やる気のなさそうな人が面接にきたら、その人を採用しようと思いますか?いろいろなことに興味を持ち、質問してくる人の方が「この人はやる気があるな、採用しよう!」と思うはずです。「答えのない問いに挑む総合的な探究の時間」の授業では、大人にとっても大切な「質問力」が身に付きます。

スリーハイはこんな会社です

改めて会社紹介をします。地図で見るとスリーハイは、綾瀬高校の北東、横浜市都筑区にある、産業用ヒーターを作る会社です。

地下鉄グリーンラインの東山田という駅、行ったことがありますか?
同じ神奈川県内にある企業です!直線距離だと、意外と近く見えますね⁈

売上4億円って、どのくらいかわかりますか?私も実際に4億円の札束を見たことはありません。でもこの「売上」金額は、社員一人ひとりが頑張って作ったヒーターを、1年間かけて売った合計の金額です。数千万円あれば宇宙に行ける時代ですから、この売上は宇宙に20回くらい行ける金額ということになります。

スリーハイが作っている産業用ヒーターは、一般家庭で使われる電化製品のようなものではありません。

シリコンゴムでできた厚さ1.5mmのシート状のヒーターが主流で、凍ったら困るジェットコースターの水中レールや、高地の天体望遠鏡、豪雪地帯の屋根、病院の給食運搬具などに使われています。200度、260度とかなり高温を維持できる産業用ヒーターです。

凍結防止、保温など、見えないところにスリーハイの製品が使われている

製品についてはこちらの動画もご覧ください。

スリーハイのヒーターは、寒冷地での凍結防止、雪を溶かす融雪、また結露防止や曇り止め、一定の温度を保っておきたい予熱や、200度以上に温度を保てる加熱・保温などの役割があります。とにかくなんでも「あたためる」のが仕事です。

今回の「総合的な探究の時間」で目指すゴールとは

私たちは日々、上記のような製品を作っています。しかし、解決できない課題も多く抱えているというのが現状です。困っている現状を、変えたい。

授業では書込み式のプリントが配られ、ここにメモして手を動かしながら理解を深めた

自社だけでは限界がある
私は22年もスリーハイで働いています。考え方が「スリーハイだけ!」と視野が狭くなりがちです。

新しい風を吹き込みたい
人が成長していく過程で必要なのが、新陳代謝。会社も同じで、3年、5年、10年と生き残っていくためには、現状に新しい風を吹き込んでいかなければなりません。いいものは取り入れ、世の中のトレンドに敏感に反応したいと考えています。

スリーハイには、今40名ほどの従業員がいます。でも綾瀬高校にはスリーハイの8倍の人がいます。新しい感性を持つみなさんの力で、綾瀬高校支店を盛り上げたいです。

\みなさんのアイデアで会社を活性化させたい/
会社が活性化すると、他社との差別化につながります。
他社との差別化がうまくいくと「信頼」されるようになります。信頼されると、より多くの人に知られ「認知度」が上がり、「売上」も自然と上がってくる、好循環が生まれます。

私たちが綾瀬高校支店のみなさんと積み上げていきたいのは、
この「信頼度」の向上です。

「総合的な探究の時間」でスリーハイ綾瀬高校支店が目指すゴール

企業が顧客のために製品やサービスを提供するのは当たり前。これからは商品・サービスの確かさに加えて、信頼を積み重ねる行動が必要な時代です。中小企業でもしっかり情報発信をして、地域の人や子どもたちと、顔の見える関係性を作っていきたいと思っています。

課題解決で実感できる大切なこと「3選」

最後にスリーハイ綾瀬高校支店の「課題解決プロジェクト」で、大切にしたいことを3つお伝えします。

第一にチームで大切にしてほしいのは「話し合い」です。
例えば5人のチームで、その中に1人声が大きい人がいたら、意見がそっちに引っ張られてしまう、というのはよくあること。「面倒くさいから、その人の意見にしちゃおう」というのは、一番ダメです。他の4人も声が大きい人に対して「いや、それもわかるけど、こっちの案もあるんじゃないか」と意見を出してほしいと思います。

第二に「スキルを身につけてほしい」。
答えのない問いに真剣に取り組むことは、大学入試の総合型選抜でのプレゼンにも役立ちます。大学に入ってから、また社会に出てからも役立つので、ぜひ積極的に課題解決や言語化、発表のスキルを身につけてください。

第三に大切にしてほしいのは「物事を多面的に見る」こと。
人間は、経験と学問、おおよそこの2つで出来上がっているので、物事を多面的にとらえることで成長します。だからこそ「総合的な探究の時間」は、無駄にしちゃいけない。みなさんの人生にとって、とても大切な時間になるはずだから。

綾瀬高校支店のみなさん、我々スリーハイにアイデアとヒントをください。私たちスリーハイ42人だけじゃなく、ここに座っている323人の綾瀬高校支店のみなさんと一緒に、未来を考えて、作っていけたらと思っています。

スリーハイのメンバーと
綾瀬高校支店の323名のみなさんがタッグを組んで、本気で課題解決していきます。


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