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キリスト教関連文書を英語訳から重訳していきます(適宜原語も参照しています)。誤り等あれ…

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キリスト教関連文書を英語訳から重訳していきます(適宜原語も参照しています)。誤り等あればコメント等で教えてください。[ ]内は基本的に原文に含まれない補足です。

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  • ペラギウス派に関連する諸文書

    ペラギウスは5世紀のブリタニア地方の神学者であり、有徳の人として知られた彼に追随する勢力がローマを中心に栄えた。原罪論、全的堕落を強調するヒッポ司教アウグスティヌスと対決し、人が全ての神の命令に従うことは理論上可能であることを強調した。「ペラギウス主義」は「行為義認論」の代名詞として使われるが、ペラギウスが行為義認論者であったかは疑わしい。(→『ローマ書注解』参照)

  • 独自研究メモ

    聖書を読んでて気づいたことや調べたこと、また教会の兄弟と議論したことのメモ。聖句引用は多くの場合は口語訳より。 ※思想や解釈には変化がありますが、いちいち過去の文章を訂正できないので、あくまで「その当時の私の解釈」として読んでください。

  • 後ニケーア古代教父・資料

  • 聖書本文・古代訳・正典関連

  • 前ニケーア教父・資料

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私だけの十戒

[第一戒] 私の存在の意味や目的をどんな特定個人にも特定事物にも託してはならない。《我の他に神無し》 [第二戒] 自他に関するどんな物語も無制限の解体に値する。《汝、偶像を拝すことなかれ》 [第三戒] 私に自他を断罪する権威はなく、自他を正当化する権威もない。《汝、虚無に神の名を用いることなかれ》 [第四戒] 自然性の傾斜に抗して立ち止まる瞬間のみが人間の自由の存する場である。《安息日を祝別せよ》 [第五戒] 全て自分の過去を責任主体として引き受けなくてはならない。《

    • 私の「原理と基礎」

      ① 万事を働かせて益と成すお方に私の生の目的は、神が決めることであるが、 私はこの生を通じて神にその回答を提出する責務を負っており、 神はこの生の内で私にその答えを示す義務を負わない。 私はなぜ神に応える責務を負ったのか。 それは、私が、神は「万事を働かせて益と成す(ローマ書簡 8:28)」お方である、と知らされたからである。 この責務は私的啓示に由来するものであり、全ての人が負っているものでも、負うべきものでもない。 それで、私の生きる目的は、以下のようにも表現できる。

      • 『手引書』26章「神の主権的善意志の勝利について」(ヒッポのアウグスティヌス c. 420)

        Enchiridion on Faith, Hope and Love [100] これらは、「主の業は偉大であり、主のすべての意志的行為において熟慮されたもの」である。 それで、その賢明な熟慮は [以下のようなことを可能に]した。すなわち彼の天使と人間の創造物が罪を犯したとき(つまり、彼の意志ではなく、それが意志したことを為した時)、それでも彼自身の意志したことを成し遂げることができたし、これを、創造主の意志に反する最初の行為がそれによって行われたのと同じ被造物的な意志に

        • 第二オランジュ教会会議の決議文

          英訳からの重訳。 ::::: 法令1 もし誰かが、[以下のようにする者] であるならば、その者はペラギウスの誤謬に欺かれている。  アダムの罪という違反によって「より悪しきものへと変化」したのは、全人間、[つまり] 身体と魂の両方、であることを否定する [者]  魂の自由は無傷なまま、身体だけが腐敗にさらされると信じる [者]。 [その者は、以下のように] 述べる聖句に矛盾している。  「罪を犯した魂は死ぬ」[エゼキエル 18:20]  「従順な奴隷として誰かに身をゆ

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        私だけの十戒

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        • ペラギウス派に関連する諸文書
          4本
        • 独自研究メモ
          57本
        • 後ニケーア古代教父・資料
          52本
        • 前ニケーア教父・資料
          25本
        • 聖書本文・古代訳・正典関連
          20本
        • アリウス派に関連する諸文書
          12本

        記事

          使徒行伝の構造

          リチャード・ボウカム氏の本を読んでからルカ文書の証言構造に注意して読むようになったので、使徒行伝について注意深く記事と記事を切り離しながら今後の考察のためのメモにしたい。 ◉序文 1章1-2節◉キリストの復活後の言行 1章3節, 4-11節●言行記録① イエスの命令 1章4-5節 ・ルカ伝24章では十二弟子への最初の現れの記事の直後に配置されているが、その時の命令かは確実でない ・ヨハネ伝20章でも「聖霊を受けよ」の命令が十二弟子の最初の現れの記事に含まれているのでやは

          使徒行伝の構造

          『ティマイオス』27-29 (プラトン)

          より。英訳からの重訳。適宜以下のギリシア語を参照。 :::::以下訳文::::: [27] クリティアス: ソクラテスよ、我々が準備した通りに、宴の順序を考えよう。ティマイオスが我らのうちで最良の天文学者であり、この万物の性質について学ぶべく、それを自分の特別な仕事としているのだから、この宇宙の起源から始まって人類の産生に至るまで、彼がまず話すのが、我々にとって良いと思われる。彼の後で、彼の語りによって既に[話の中で]造られた人類[の話題]を彼から引き継いで、また最高

          『ティマイオス』27-29 (プラトン)

          [メモ]イエスの婚約者(2)サマリアの女とサマリアの神々

          これ↑のつづき。 イエスにもし婚約者がいると仮定したならば、そのような候補となる人物は正典中に登場するだろうか。ここで即座に「イエスの婚約者と言えばマグダラのマリア…!」のような推測をするには、まだ聖書中の根拠が弱い。マグダラのマリアについて正典中からわかることは以下。ただし他にマルタとラザロの姉妹であるマリアというのも登場し、カトリックなどでは同一視されるが、プロテスタントではこちらを「ベタニヤのマリア」などと呼んで区別している。ただし「ベタニヤの」という区別の呼称は聖書

          [メモ]イエスの婚約者(2)サマリアの女とサマリアの神々

          『教会史』第3巻 第11章 シメオンがエルサレム教会をヤコブの後に統治したこと

          1 ヤコブの殉教と、それに直ちに続いたエルサレムの征服の後で、まだ生きていた使徒たちと主の弟子たちは全ての方角から、肉において主の親族である者たち(まだ彼らの大部分も生きていた)と共に集まり来て、ヤコブを継承するに相応しい者が誰かについて合議した。 2 彼ら全ては一致を以て、シメオン、クロパの息子なる者(彼[クロパ?]についてはかの福音[書]も言及を為している)をその[エルサレム]管区の監督座に相応しいと宣言した。彼はかの救助者の従兄弟であると言われる。というのもヘゲシ

          『教会史』第3巻 第11章 シメオンがエルサレム教会をヤコブの後に統治したこと

          黙示録の執筆年代はいつか:『ヨハネの黙示録』が紀元54年以前に書かれた可能性について

          "わたしはキリストにあるひとりの人を知っている。この人は十四年前に第三の天にまで引き上げられた――それが、からだのままであったか、わたしは知らない。からだを離れてであったか、それも知らない。神がご存じである。 この人が――それが、からだのままであったか、からだを離れてであったか、わたしは知らない。神がご存じである――パラダイスに引き上げられ、そして口に言い表わせない、人間が語ってはならない言葉を聞いたのを、わたしは知っている。わたしはこういう人について誇ろう。しかし、わたし自

          黙示録の執筆年代はいつか:『ヨハネの黙示録』が紀元54年以前に書かれた可能性について

          『異端反駁』第5巻 第30章(エイレナイオス)

          1 そうなっており、そしてこの数字[黙示録13:18]は最も認められ古代のものである[黙示録の]写本群からも見つかっており、またヨハネを顔と顔を合わせて見た人たちも[それについて]証言を持っているからには、そして理性で考えても、このように結論できる。つまり獣の名の数字は、[名が]含む諸々の文字をギリシア語の計算方法に従えば、六百六十六になるのである。これは、十の個数が百の[個数]に等しく、百の個数が一単位の[個数]に等しいということである。[(ラテン訳補遺:)…というのも表

          『異端反駁』第5巻 第30章(エイレナイオス)

          黙示録解釈…「女」の逃避

          ◼︎12章 … 「女」の逃避 12章では「女」が「龍」(「サタン」の象徴として説明される)から逃れて荒れ野で千二百六十日間の間、匿われるということが語られている。 "また、大いなるしるしが天に現れた。ひとりの女が太陽を着て、足の下に月を踏み、その頭に十二の星の冠をかぶっていた。この女は子を宿しており、産みの苦しみと悩みとのために、泣き叫んでいた。また、もう一つのしるしが天に現れた。見よ、大きな、赤い龍がいた。それに七つの頭と十の角とがあり、その頭に七つの冠をかぶっていた。そ

          黙示録解釈…「女」の逃避

          黙示録解釈…「鉄の杖で治める者」

          ◼︎12章、17章…鉄の杖で治める者 "また、大いなるしるしが天に現れた。ひとりの女が太陽を着て、足の下に月を踏み、その頭に十二の星の冠をかぶっていた。この女は子を宿しており、産みの苦しみと悩みとのために、泣き叫んでいた。また、もう一つのしるしが天に現れた。見よ、大きな、赤い龍がいた。それに七つの頭と十の角とがあり、その頭に七つの冠をかぶっていた。その尾は天の星の三分の一を掃き寄せ、それらを地に投げ落した。龍は子を産もうとしている女の前に立ち、生れたなら、その子を食い尽そうと

          黙示録解釈…「鉄の杖で治める者」

          黙示録解釈…「七つの頭と十の角を持った獣」

          ◼︎17章「七つの頭と十の角を持った獣」 大淫婦がエルサレムを意味するとすると、この大淫婦が乗っている「七つの頭と十の角を持った獣」とはなんだろうか。これについては、御使さんによる解説が黙示録に付けられている。 "すると、御使はわたしに言った、「なぜそんなに驚くのか。この女の奥義と、女を乗せている七つの頭と十の角のある獣の奥義とを、話してあげよう。あなたの見た獣は、昔はいたが、今はおらず、そして、やがて底知れぬ所から上ってきて、ついには滅びに至るものである。地に住む者のう

          黙示録解釈…「七つの頭と十の角を持った獣」

          黙示録解釈…「大いなる都、大淫婦バビロン」

          ◼︎**17-19章 … 「大いなる都、大淫婦バビロン」 **"御使は、わたしを御霊に感じたまま、荒野へ連れて行った。わたしは、そこでひとりの女が赤い獣に乗っているのを見た。その獣は神を汚すかずかずの名でおおわれ、また、それに七つの頭と十の角とがあった。この女は紫と赤の衣をまとい、金と宝石と真珠とで身を飾り、憎むべきものと自分の姦淫の汚れとで満ちている金の杯を手に持ち、その額には、一つの名がしるされていた。それは奥義であって、「大いなるバビロン、淫婦どもと地の憎むべきものらと

          黙示録解釈…「大いなる都、大淫婦バビロン」

          黙示録と紀元70年の神殿崩壊までに起こった出来事

          上記メモでみたように、『ヨハネの黙示録』が福音書中の「小黙示録」と呼ばれるイエスの神殿崩壊の予告のいわば説明・解説書であると考えた時、またイエスの予告した神殿崩壊が紀元70年のユダヤ・ローマ戦争による神殿崩壊であると考えた時、ではそれらの予兆として語られる福音書中の諸々の出来事や『ヨハネの黙示録』で予告される出来事は、歴史的にはどのようなできごとと対応するのだろうか。随時考えていく。 鍵となる概念 ■17-19章 …「大いなる都、大淫婦」 ■17章 … 「七つの頭と十の

          黙示録と紀元70年の神殿崩壊までに起こった出来事

          [メモ]黙示録と小黙示録の対応づけを考える。

          前の記事: https://note.com/makojosiah/n/n81edd7efb952 「キリストの再臨」をテーマに黙示録全体を概観すると、以下のようになっています。 ●1章 「再臨」?の予告 "見よ、彼は、雲に乗ってこられる。すべての人の目、ことに、彼を刺しとおした者たちは、彼を仰ぎ見るであろう。また地上の諸族はみな、彼のゆえに胸を打って嘆くであろう。しかり、アァメン。" - ヨハネの黙示録 1:7 2-3章 7つの教会への宣告 4:1 「ここに上っ

          [メモ]黙示録と小黙示録の対応づけを考える。